'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
12月23日時点1569勝
土日でトライアルに騎乗!好相性の中山で星を伸ばすか
2016/3/4(金)
土日でトライアルに騎乗!権利獲得なるか?
-:今週は土日にわたって3歳重賞が行われます。騎乗馬は上位人気が予想されているわけではありませんが、クラシックのトライアルレース。重要な一戦になりますね。まずはチューリップ賞(G3)のラベンダーヴァレイ(牝3、栗東・藤原英厩舎)からお話をお聞かせいただけますか。
戸崎圭太騎手:追い切りに乗せてもらいましたが、ここへ向けて順調に来ているとは感じています。もともと大柄な馬でもないので、仕上がりに苦労するタイプではないと思いますが、休み明けということは心配なさそうですね。
-:前走は2戦連続で東京への輸送がこたえたのか、馬体も大きく減らしていましたね。レース自体は大きく崩れたわけではありませんが、その影響もあったのではないでしょうか。
圭太:いま思えばそれもあったかもしれませんね。ただ、今回は近郊でのレースになるので、そこは良い材料だと思います。
-:ベルキャニオン、キラウエアなどこの馬のお兄さんにも乗ってこられましたよね。
▲重賞制覇の期待がかかるラベンダーヴァレイ
圭太:そうですね。ファンにもおなじみの血統だと思いますが、どの馬も素質の高さは共通していると思います。
-:日曜日の弥生賞(G2)はイマジンザット(牡3、美浦・斎藤誠厩舎)とのコンビです。2走前に手綱をとられましたね。
圭太:すごく乗りやすいタイプで課題という課題のないタイプ。あとはファンの皆さんも思うかもしれませんが、ライバルたちにどこまで食い下がれるか、というところですね。
-:土曜阪神から千里山特別のルミナスウォリアー(牡5、美浦・和田郎厩舎)、播磨Sのセイラ(牝7、栗東・今野厩舎)はいかがでしょう。
圭太:ルミナスウォリアーは若干ですが、距離を短くしてもらったので、良い方向に出るとは見込んでいるのですが、そこがどう出るか。 前走はけっこうなスローでしたが、2着に残ってくれたように大崩れはしませんが、本来は上りがかかって欲しいタイプ。この距離と展開でどれだけ決め手が引き出せるか期待しています。
セイラは他のジョッキーが乗っている時もそうですが、どうしても展開頼みな面はありますね。ハマればこのクラスでも上位には食い込めますが、とにかく展開待ちですね。行ったら行ったで終いは甘くなってしまうと思いますから。
-:日曜中山6Rのヨンカー(牡3、美浦・和田郎厩舎)、潮来特別のサブライムカイザー(牡4、美浦・池上弘厩舎)はいかがですか?
圭太:ヨンカーは前走の勝ちっぷりからも、このクラスでやれて不思議ではないですよね。サブライムカイザーはどうしても速い脚がないので、このコースでどんな競馬になるかなというところです。
-:サブライムカイザーはやはり東京のほうが良いということですか?
圭太:いや、そういうわけではないのですが、器用さに欠ける反面しぶとさはありますからね。位置取りや展開次第といった印象です。
-:昨夏に乗られたとき、先着した2頭がアルバートとシュヴァルグラン。のちに出世していたので、「この馬も」とは思っていました。
圭太:あ~そうでしたね。条件がかみ合えば期待できると思いますよ。
充実の中山開催!さらに上を目指して
-:続いて先週の話題もお願いいたします。中山記念(G2)のフルーキー(牡6、栗東・角居厩舎)はあのメンバー相手に4着でした。
圭太:すごいメンバーではありましたが、各馬、仕上がりなど付け入る隙はあったと思ったので一発を狙っていました。ただ、最後は先着した馬たちが強かったですね。それでも、4着と目途のつく走りだったと思います。
-:一方、土曜中山メインのゴールデンバローズ(牡4、美浦・堀厩舎)はなかなかスランプから脱せません。
圭太:う~ん。「最後に踏ん張りがきかなくなってきているので、終いを伸ばすようなイメージで乗って欲しい」とのことだったので、ああいう形になりました。以前に比べれば砂をかぶったり、モマれたりする面にも我慢はきいてきているので、今後につながるレースだったと思います。
-:勝ったレースではスキャットエディ(牡3、美浦・斎藤誠厩舎)、ヒカリトップメモリ(牝3、美浦・池上弘厩舎)はいかがだったでしょうか。
圭太:スキャットエディは東京の方が良いんじゃないかと思っていたのですが、強い競馬をみせてくれましたね。その前のレースもすごく上手な走りをしていましたし、センスはありますよね。距離は1200~1400というタイプかと思いますが、頑張ってくれました。ヒカリトップメモリはもともと脚元に弱さがあって、ダートだったようです。
-:確かにハービンジャー産駒でダートの千二というのも意外でした。
圭太:そこが良くなってくれば芝でも問題ないかと思いますよ。
-:そして、中山は5勝、日曜は4勝と固め打ちでしたね。やはり中山は特に心強い印象です!
圭太:いやいやそんなことないですよ。たまたま抜けた馬に乗せてもらっているだけで……。僕としては前半戦で勝って、後半で失速するケースが最近、多いのも気になっているので、うかれられません。
-:といっても、リーディング争いもハイペースの戦いの中を上位につけていますからね。
圭太:後半のレースになればなるほど馬の力が接近しているという面もあるのかと思いますが、そういう時こそ、騎手の腕でカバーしなくてはなりませんから。
-:謙虚な言葉が続きますが、開催替わりの中山コースの印象もお聞かせいただけますか。
圭太:ダートは1月の開催のイメージもありますが、乾きだすと、重いダートになりますよね。小柄な馬やパワーのない馬は走りづらい印象です。少し暖かい時季にもなりつつあるので、傾向は変わってきそうですが……。芝については逃げ一辺倒ではないと思います。そういう意味でも、レース運びで結果も変わってきますし、本当に面白いですよね。レースの組み立ては。
-:ちょうど移籍から3年。「東京コースが面白い」と仰られていた頃とは全く違いますね。
圭太:ええ。ガラッと印象は変わりました。
-:結果を残して、もっと楽しくなるような中山開催になるといいのですが、今週は交流重賞のエンプレス杯(Jpn2)ではヴィータアレグリア(牝5、美浦・高柳厩舎)に騎乗されましたね。惜しいレースでした!
圭太:追い切りでどんなタイプなのかは掴んでいましたし、そのイメージ通りに運べたと思います。一瞬はやったかと思ったくらいです。
-:実績的には格上のアムールブリエに迫った内容からも非常に中身の濃い2着ですね。そして、次週は中京、中山での騎乗とのことですね。
圭太:ファントムライト(牡7、栗東・藤原英厩舎)とルージュバック(牝4、美浦・大竹厩舎)ですね。頑張ります!
-:引き続き充実の春競馬となるよう楽しみにしております。
圭太:ありがとうございます。
※次回は3月11日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。