'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
11月18日時点1558勝
急転直下の皐月賞参戦決定!中山開催を締めくくる騎乗馬ズラリ
2016/4/15(金)
急転!皐月賞で騎乗決定!打倒3強の手応えは?
-:騎乗予定だったハートレー(牡3、美浦・手塚厩舎)がまさかの戦線離脱。皐月賞(G1)の乗鞍はなくなったかと思われたところで、プロフェット(牡3、栗東・池江寿厩舎)の騎乗が決定!こちらも驚かされましたね。
圭太:ええ、僕もまさかでしたが、馬自体は乗りやすいイメージ。レースまで少しでもイメージを膨らませて挑みたいですね。
-:基本、騎乗経験を振り返っていただくテーマのコラムなので、なかなか聞ける範囲が限られてしまいますが、現時点(木曜日)では日曜は道悪の可能性もあるようですね。
圭太:えっ?それは初耳です。ただ、あくまで見た目だけならば、馬場が渋れば他が苦労する分、有利に働くかもしれませんね。洋芝でもこなせているような馬なのでね。
-:他馬に乗られて上位人気が予想される馬たちの実力は肌で感じてこられたと思います。今の見立てでは操縦性と馬場適性が武器になりそうですね。
圭太:そうですね。せっかくのチャンスですから、何とかモノにしたいと思います。
京成杯を制したプロフェット 巡ってきたチャンスを活かして一発なるか
-:さて、ここからは騎乗経験を語っていただきたいのですが、春興ステークスのテンダリーヴォイス(牝4、美浦・萩原厩舎)はここ最近、ふるいませんが、いかがでしょうか。
圭太:もっと走れて良い馬なんですけどね。僕も乗っていて邪魔されてしまったりと、スムーズさを欠いてしまっていて、それでどうも走る気を損ねてしまっています。
-:以前も、「昔の不利が尾を引いているかもしれないが、能力ならクラスを突破できる」と教えていただきましたね。
圭太:そうなんです。それだけに外枠でも引いて、スムーズな競馬が出来ればと思いますよ。
-:ただ、バリバリのディープ産駒らしいといいますか、道悪はプラスには……。
圭太:確かに渋った馬場よりは良馬場が歓迎のクチですね。
-:京葉ステークスのマキャヴィティ(牡5、美浦・萩原厩舎)は久々のコンビですね。
圭太:僕が乗っていた頃と違って、千二のダート戦で良い脚を使ってますよね。こういう競馬が板についている印象ですので、良いところを引き出したいです。
好相性の陣営サクラアンプルールは連勝が懸かる
-:全日本2歳優駿でも騎乗されましたが、一時は新潟2歳ステークスでハープスターやイスラボニータと一緒に走った経験も懐かしいですね。鹿野山特別のサクラアンプルール(牡5、美浦・金成厩舎)は前走の勝ち時計こそ目立ちはしませんが、勝ちっぷりは良かったですね。
圭太:時計はそれほど気にならなかったですよ。良い雰囲気の走りをしてくれましたし、ここでも良い勝負になるんじゃないかと思います。2走前と違って、前走は行きっぷりも違いましたからね。あの手応えならば、と力の入るところです。
-:意外と言ったら失礼かもしれませんが、サクラさんの勝負服や金成厩舎さんとも好相性。そこにも期待しています。
圭太:良い時に乗せてもらっていますからね!
-:平場のアオイオンリーワン(牡4、美浦・古賀慎厩舎)(日曜中山7R)、コラージェン(牡3、美浦・小笠厩舎)(土曜中山3R)はいかがですか?
圭太:アオイオンリーワンはなかなか良いモノを持っていますよね。ひと叩きで前進があるかと思います。後者は前走でダート替わりが良いんじゃないかと思っていた通りです。一度、使った慣れにも期待したいですね。
恩師に捧げる交流重賞制覇
-:そして、昨日は船橋のマリーンC(Jpn3)をヴィータアレグリア(牝5、美浦・高柳厩舎)で制覇!おめでとうございます。
圭太:ありがとうございます。ブチコが一本かぶりで除外になるアクシデントもありましたが、前走も良い競馬をしていた通り、充実ぶりを見せてくれました。道中からも良い勝負になると思っていた通りの結果になりましたよ。
-:ちなみにブチコが除外、他の人気馬が見せ場なく敗れる、いささか波乱のレースでしたね。他馬の話題で申し訳ないのですが、客観的に見て敗因はどう感じますか?除外で待たされた分も影響したのかなと思いました。
圭太:と言っても、古馬ですからねえ。そこだけがそんなに影響したとは思えないですが、地方のぬかるんだダートも独特の砂質ですから。そういうところも合わなかったのかもしれませんよ。
-:ちなみに、船橋のナイターは初勝利と。昨年から始まったハートビートナイターですが、意外な記録でした。
圭太:そもそも乗っていなかったですからね。ただ、このナイターも(恩師であり故人の)川島(正行)先生が提唱して、ようやく実現されたものだと思っています。それだけに普通の一勝よりも嬉しかったですし、このナイターでも早く乗りたいと思っていたんです。
-:恩師に捧げる一勝だったわけですね。そして、桜花賞(G1)はラベンダーヴァレイ(牝3、栗東・藤原英厩舎)とのコンビ。どんな競馬になるのかな、と思っていたところ、結果的には好位からのレースとなりました。
圭太:先行できる脚質なので、無理に下げるよりはということで、あの位置から。しかし、外枠にすれば、収まりのいい所にハマりましたよ。最後は踏ん張りきれませんでしたが、ここまでの敗戦内容よりも、今後走ってきそうな雰囲気は感じましたよ。
-:今までで一番評価は高いですね。
圭太:ええ、徐々に力をつけていけば、上を目指せると思います。
-:ちなみに直線でもメジャーエンブレムを締めにいって、勝負に行ったレースでしたね。
圭太:見る人によって意見は変わるかもしれませんが、あそこは僕の進路だと思っていましたし、締めに行ったというより、ライバルに易易と行かせてはなりませんからね。僕は当たり前の競馬をしただけです。
-:勝負に行かれていたので、一瞬は勝ち負けなるかと思いましたが、ラベンダーヴァレイの今後にも期待したいですね。同じく藤原厩舎の話題が続きます。クリプトグラム(牡4、栗東・藤原英厩舎)は上がり勝負の競馬を鮮やかに差し切りましたね。
圭太:そうですね~。返し馬から良い雰囲気を感じていたのですが、なかなか届くかな、というところで良い脚を使ってくれました。それに良い時に乗せてもらったことが大きいですよ。
-:ただし、一方でストレイトガール(牝7、栗東・藤原英厩舎)は直線で失速。9着に終わってしまいました。
圭太:少し間隔も開いていたことが影響したかもしれませんね。目標はヴィクトリアマイルですし、ひと叩きしての変わり身に期待します。
-:そして、次週から連続で東京開催がスタートします。改めて意気込みを聞かせてください!
圭太:勝ち鞍は良いリズムで来られていると思います。このペースを崩さなければ、食らいついていけると思いますからね。
-:もちろんジョッキーの手腕が大事ではありますが、ここまでのハイレベルな争いになると、良い馬を依頼される環境も大事になってきますよね。
圭太:そう思います。本当に感謝しなくてはなりませんし、しっかり流れを掴んでいきたいですね。
-:ちなみに、他のトップジョッキーはテレビ番組で特集されたりとメディアで競馬が扱われる機会が見受けられます。戸崎騎手の出演情報はありますか?
圭太:う~ん、いや、ないですね。まあ、出なくても良いかな(笑)。
-:相変わらず謙虚といいますか。控えめというか。
圭太:その分、競馬に集中出来ますからね。何とか大きいところでも勝ちたいですし、東京でも頑張ります。
-:わかりました。その通りですので(笑)、引き続き東京開催も楽しみにしております。
※次回は4月22日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。