'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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勝利数
11月18日時点1558勝
ルージュバック&タイニーダンサーと重賞連勝!さあ勝負の夏へ!
2016/6/17(金)
2歳時以来の走りをみせられたルージュバック
-:終わってみれば、この一週間は本当に話題が豊富でした!まず、昨日の関東オークス(Jpn2)はテン乗りのタイニーダンサー(牝3、美浦・伊藤圭厩舎)で見事に制されましたね。こちらのお話からよろしいですか?
圭太:ええ。北海道でも強い競馬をしていましたからね。中央に来てからは結果を残せていませんでしたが、自信を持って臨みましたよ。
-:あのラブミーチャンと同じ父サウスヴィグラス×母父アサティスという血統や、戦歴からも距離を心配する声は多かったと思います。
圭太:先生からも「折り合いには気をつけてほしい」という話もあったのですが、思っていたより全然大丈夫でしたよ。スタートも無事に決まって、位置取りもいいところをとれましたし、今回はいい時に乗せてもらいましたね。強かったです。
-:そして、エプソムC(G3)でもルージュバック(牝4、美浦・大竹厩舎)で快勝。正直に言えば、戦前の口調では半信半疑なのかな?と思っていただけに、ビックリしました。
圭太:ようやくと言いますか、ルージュバックの本来の走りが出来ました。仕上げは陣営に任せているだけですし、返し馬の行きっぷりは良かったものの、特にここ一連と大きく変わったというポイントはなく、何が違うのかはわかりませんが、とにかくこの馬の走りが出来ましたよ。
-:あれだけのパフォーマンスですと、あの斤量差も反則のように思えたほどです。
圭太:54kgと斤量は軽かったですが、あれなら、他と同じような条件でもやれたと思いますよ。
-:そして、レース後は「G1を勝ったくらい、勝つよりも嬉しい」という言葉が印象的でした。そのこころはどんな理由からですか?
圭太:ずっとルージュバックの走りが出来ていなくて、もどかしく、悔しい思いをしていました。ファンの皆さんや関係者の方々も相当な期待をし続けてくれていたと思いますからね。今回の末脚はファンの皆さんが観てもわかるように、何時ぶりか……。きさらぎ賞に挑む前くらい、下級条件を走っていた時あたりのインパクトがあったと思うんです。これがルージュバックだ!という競馬をみせられて、ホッとしていますよ。とにかく強くて驚きましたね。
▲ゴール前では珍しくガッツポーズ!表彰式でも笑顔が弾けた
実績以上に手応え滲ませるオデュッセウス
-:今の競馬界でこれだけ同じコンビを組み続けている人馬も珍しいですが、それだけに悔しい思いもひとしおだったわけですね。秋が楽しみです。さて、今週は土曜が東京、日曜が函館とのこと。まず、函館から伺いたいのですが、函館スプリントS(G3)はオデュッセウス(牡3、美浦・手塚厩舎)に騎乗されます。
圭太:以前、乗せてもらいましたが、当時から魅力を感じていました。もともと北海道でデビューしていますが、洋芝の適性云々以前に高い能力を持っていると思います。走りからは短いところがあってそうですね。
-:日頃はこれだけ騎乗依頼が集まっている中で、まだ重賞も勝っていない馬で遠征するとは、少し意外に感じました。能力を評価されているわけですね。
圭太:ええ。ユニコーンS(G3)にも乗馬がいなかったのも事実ですが、この馬も楽しみですよ。僕が乗った時は少し折り合いが難しい印象も受けたので、そこは気をつけなければいけませんね。以前も同じ馬主さんで北海道の重賞(アイムユアーズでクイーンS)を勝たせてもらっていますし、新馬のモンドキャンノ(牡2、栗東・安田隆厩舎)も同じ馬主さん。良い日曜になるよう楽しみにしています。さっきは大地震もあったようですが、無事にやれたようで何よりです。
-:地震は少し心配ですが、馬主さんとの相性も良さそうですね。同じく日曜函館の条件戦ですが、9R(3歳上500万下)のテオドール(牡3、美浦・国枝厩舎)。この馬のお姉さんも、お母さんも洋芝実績が高くて、これは血統的にもチャンスではないでしょうか?
圭太:洋芝自体は良さそうですね!ただ、テンションの高いところがあって、そこが噛み合ってくれるかどうか……。滞在だったりしたら、より安心して挑めそうですが、そこ次第です。
-:滞在競馬ならより合いそうですが、今回は当週に輸送したようですね。コパノマリーン(牝3、美浦・斎藤誠厩舎)は8R(3歳上500万下)ですが、クイーンCで乗られた当時は「もう少し走ってもおかしくない」とおっしゃっていたことを覚えています。
圭太:そうなんですよね~。今回は距離が短くなりますよね。その点で良い方に向いてくれればと思います。
-:土曜の話題に移りますと、相模湖特別のテンダリーヴォイス(牝4、美浦・萩原厩舎)はここ最近ふるいませんが、評価の高い一頭ですよね。
圭太:そう、好きなタイプの馬なんです。降級ですし、結果を出したいところです。僕が乗るときは中山ばかりですが、器用な馬なので、コース替わりも悪く無いはず。前回はキッカケを掴むために、ペースに関わらず、後方からの競馬を決め打ちしましたが、復調してほしいですね。
-:そろそろと期待したいのが6R(3歳未勝利)のミスドバウィ(牝3、美浦・斎藤誠厩舎)です。今回は千四になりますが、前回も勝ったかと思うほどでした。
圭太:距離が短くなるのは問題ないですね。ブリンカーが良いのか、東京が良いのかはわかりませんが、さすがに決めたいところですね。
「いつも『ミスを減らさないと』とは散々言っていましたが、正直にミスは少なくなってきている実感はありますよ。 ファンや関係者の人がどう思っているかは知りませんが、自分の中では成長を感じているので、もっと上を目指したいですね」
-:先週の話題もよろしくお願いします!木曜は北海道スプリントC(Jpn3)でレーザーバレット(牡8、美浦・萩原厩舎)に騎乗されましたが、まさかの5着。戦前は意気込みの高さを伺っていただけに、意外な結果でした。
圭太:これはプラス13キロが堪えましたね。ブリンカーをつければ、千四よりも千ニで期待できるとは意気込んでいましたし、天気も悪くて軽い馬場でしたが、そういう問題でななく、今回は状態面に尽きます。
-:同じく門別では認定競走をピンクドッグウッドで勝たれましたね。南関東以外でエキストラ騎乗も珍しいですね。
圭太:そうですか?以前もこのレースは乗ったことありますよ。
-:それはリサーチ不足。失礼いたしました(汗)。しかし、このレースを勝ったことでJRAに遠征してくる可能性もありそうですね。
圭太:ええ。おとなしくて乗りやすい馬でしたね。芝の適性?JRAに行ける権利はとれましたよね。決してダート一辺倒ではない雰囲気ですし、トライしてみても面白いかもしれませんね。
▲ピンクドッグウッドで(JRA認定)ウィナーズチャレンジをV!
-:先週の東京はヤングマンパワー(牡4、美浦・手塚厩舎)やチャーリーブレイヴ(セ6、美浦・尾関厩舎)と実績馬で久々の勝ち星です。
圭太:ヤングマンパワーはアンタラジーをはじめとして、良い馬が揃ったレースでしたよね。その中でもいいメンバーを相手に強い競馬をしてくれました。乗り味はやっぱり良くて、オープンでも戦える馬ですよ。チャーリーブレイヴは前走よりも具合が良かったですね。それは先生も言っていたのですが、全然違いました。展開的にも、あの馬の競馬を見せられたと思います。
-:そして、次週はステファノス(牡5、栗東・藤原英厩舎)と宝塚記念(G1)ですね。
圭太:ハイ。追い切りにも栗東へ乗りに行く予定です。楽しみですよ。宝塚記念があるので、東京で乗るのは来週土曜が最後になりますが、この夏は主に福島、新潟を予定しています。
-:詳しい話はまた来週ということで、そういえば、戸崎騎手も尊敬するメジャーリーグのイチロー選手が日米通算で史上初の安打数を記録されましたね。
圭太:スゴいですね。別次元の存在過ぎて……。
-:戸崎さんもまだまだ騎手としてはまだ先が長いでしょうし、何かしらの記録を期待したくなりますね。
圭太:足元にも及ばないので、そんなん無理です(汗)。まあ、僕はせめてリーディングを続けてとっていければと思っています。
-:そういうところでは、先週も6勝をマーク。ルメール騎手不在の中、リーディングはトップに立たれましたね!
圭太:まあ、そうですね。いつも「ミスを減らさないと」とは散々言っていましたが、正直にミスは少なくなってきている実感はありますよ。ファンや関係者の人がどう思っているかは知りませんが、自分の中では成長を感じているので、もっと上を目指したいですね。
-:まだまだ成長があるということは素晴らしいこと。引き続き好プレーを期待しています!
圭太:頑張ります。
※次回は6月24日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。