'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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戴冠目指しルージュバックと毎日王冠へ!南部杯はベストウォーリアで3連覇狙う!
2016/10/7(金)
秋のG1戦線の幕開けは、残念ながら思うような結果で迎えることはできなかったが、この3日間開催は日曜にルージュバック、翌月曜日にベストウォーリアとお馴染みのパートナーたちとの騎乗を控える戸崎騎手。当欄では幾度となく話題にしてきたお手馬ではあるが、前者は悲願のG1制覇へ向けての始動戦、後者は3連覇が期待される立場と、重責を担うことになる。その他、特別、平場、先週のレースとこの時期ならではの素質馬がズラリ。今週も注目レースの見どころを語ってもらった。
東京開催がスタート!ベストウォーリア&ルージュバックと重要な一戦へ
-:先週は今秋、最初のG1・スプリンターズS。残念ながら、13着という結果に終わってしまいましたが、いかがでしたか?
圭太:戦前の時点で内枠が欲しいと思っていただけに、あの枠を引いて、どういう競馬をしようか、悩みましたね。あまり外を回りたくはないですし、一連の成績を見ても、テンのスピードは鈍っているイメージがあったのでね。
-:結果、後方からの競馬でこの馬も脚を伸ばしてはいるのですが……。
圭太:そうですね。イメージとしては中団くらいにつけたかったのですが、枠も考えると、なかなかそうはいきませんでした。年齢的にも行きっぷりは少しまったりしてきているでしょうからね。
▲ジョッキー、厩舎と残念ながら連覇ならず
-:あれくらいのペースになったとして、そこはジョッキーも流れを読んだ競馬は出来るはずですものね。話題は変わりますが、今週は月曜が盛岡で南部杯(Jpn1)に騎乗。ベストウォーリア(牡6、栗東・石坂厩舎)とのコンビとなりますが、まずはここから伺えますか?
圭太:ここ2戦、乗せていただいていますが、コーナー4つの競馬でもありますからね。成績を見ての通り、連覇している舞台。改めて見直したいです。
-:地方の雄とはいえ、ソルテに続けて先着を許していたので、現状の力量が心配になりましたが、もとはといえば、コーナー2つの競馬がベストですよね。
圭太:コパノリッキーやホッコータルマエなど、例年以上にメンバーは揃ったといえますが、中央、地方を通しても、ベストウォーリアにとって最高の舞台なのではないかと思います。期待を持って挑みたいですね。
▲ベストウォーリアとは実に14度目のコンビとなる
-:さあ、続いて、日曜の毎日王冠(G2)はルージュバックで挑みます。
圭太:前回の走りはうっぷんを晴らしてくれるようなパフォーマンス。あの走りが出来れば、この相手でもと思うほどですよ。
-:確かに、前走は強かったですねえ~。
圭太:ええ、正直、僕は乗っていただけのような。ただ、戦歴を見ての通り、持っている力が発揮できるかどうか、というのがこの馬のテーマです。
-:幸いコースは同じですから、引き続き楽しみにしたいところです。以前、と言っても、だいぶ昔ですが、ぬかるんだ馬場に脚をとられていた、と言ったお話をされていました。週末は雨模様ですが、いま、道悪で走ったらいかがですか?
圭太:いまなら大丈夫だと思いますよ。馬もしっかりしてきましたからね。
-:先週もルージュバックをG1馬にしてほしい、というファンからの声も届いていました。この後は天皇賞(秋)という選択肢も見えてきていると思います。意気込みをよろしくお願いします!
圭太:僕もこの馬には2歳から乗せてもらって、縁があると思っていますし、なかなか勝たせてあげられなかったことが悔しかったですからね。大きなタイトルも手に出来る馬だと思うので、この秋に期待したいです。
未勝利勝ちの前走に手応え!ロジムーンでサウジアラビアRCへ
-:その他の見どころにも伺いたいのですが、土曜5R(2歳新馬)のサクラメジャー(牝2、美浦・田島俊厩舎)は自厩舎であり、お馴染みの馬主さんですね。
圭太:追い切りに乗せていただきましたが、水準のモノは感じましたよ!マイルも良いのではないでしょうか。
-:本栖湖特別のサブライムカイザー(牡4、美浦・池上弘厩舎)は降級していただけに、北海道の2戦が意外でした。考えうる敗因はありますか?
圭太:理想をいえば、中山がベストのタイプですね。それに、今週末も雨模様のようですが、あまり渋ると良くないタイプ。北海道は洋芝も良くなかったのかもしれませんし、馬場もこたえたかもしれません。
-:そして、サウジアラビアRC(G3)のロジムーン(牡2、美浦・萩原厩舎)ですが、前走の未勝利勝ちは通算600勝を達成されたので、そちらばかりに注目してしまいましたが、時計は平均といったところ。相手関係が楽だったのか、この馬の変化がみられたのか、気になるところです。
圭太:前走の前に追い切りに乗せていただきましたが、良くなっていると感じ取っていましたよ。それだけに、前走の結果は僕も納得。今回はクライムメジャーやダンビュライトなどの手強そうな相手もいますが、力試しですね。
-:2走前は道中もなかなかリズムを欠いていたように見えたのですが、前走は明らかに変わり身がありましたものね。その前々走は馬場も渋っていましたが、馬場状態は問うタイプですか?
圭太:そこはこなせるんじゃないかと思います。
-:ムーンリットレイク、バリーアーク、パンディアらこの馬の上にけっこう乗られていたようですね。兄弟で似ている部分はありますか?
圭太:えっ?それは初耳でした。でも、バリーアークなどもイイ馬でしたよ。また、それとは違った雰囲気ですが。
-:日曜は六社特別にチョコレートバイン(牝5、美浦・加藤征厩舎)、最終レース(3歳上1000万下)のタイセイスペリオル(牡3、美浦・池上弘厩舎)と以前にも伺った馬が出てきますね。
圭太:チョコレートバインは使える脚が長くはないので、理想をいえば、中山が良かったかと。タイセイスペリオルはオーナーのインタビューにも載っているということで、僕に合わせて、この条件を使わせてもらうことになりました。1400がベストでしょうが、1400を使ってしまうと、短距離一辺倒になってしまうかもしれないので、マイルでも良かったのですが、是非ということで。結果は残したいですね。
-:前走も他の馬が上手いことフタをしていたのに、それを挽回するのだから、なかなかの勝ち方でした。
圭太:そうですね。このクラスでもやれて不思議ではない存在ですよ。力は上のはずです。
凱旋門賞はムーアの騎乗に興奮!
-:先週のレース回顧もよろしくお願いします!モンドアルジェンテ(牡4、美浦・萩原厩舎)の1番人気は当然だったと思いますが、人気に堪えられず、惜しくも3着でした。
圭太:課題としていたゲートも克服出来ましたし、二の脚もついていましたね。結果的には前の馬たちもこのクラスでは上位の存在でしたね。
-:前回、コンビを組まれて勝った時は休み明け。今回は中間に蟻洞を患っていたようで、その時以上に間隔が開いていました。
圭太:正直、最後は内にササっていたように、苦しがっていたのは久々の分ですね。現級は勝っていますから、本来の力を出せれば見直せるはずです。
-:タイムトリップ(牡2、美浦・菊川厩舎)は申し分のないレース運びでしたね。
圭太:いやあ、これは馬が抜けていましたよ。外から来られても、怯むことなく走り抜けてくれましたからね。
-:グリントオブライト(牝3、美浦・戸田厩舎)は外から抑圧されるような格好でしたが、そこでスパートをかけて、上手く併せる形でしのぎきりましたね。
圭太:以前、未勝利で乗せていただいたのですが、その時の比較から言えば、ここではどうか?と思いました。着実に成長していますね。
▲ジョッキーの思惑通りダートで替わったブランシェクール
-:ブランシェクール(牝3、美浦・高柳厩舎)はダート替わりでしっかり結果を残されました。
圭太:芝でも走れますが、やっぱりダートの方がいいですね。ゲートもソツなくこなしてくれて、今後も楽しみでしたね。
-:ストレンジクォーク(牡4、美浦・小島太厩舎)やグランシルク(牡4、美浦・戸田厩舎)はどうでしたか?
圭太:ストレンジクォークは内枠だったので、どう乗ろうかな、と思いましたが、結果的に上手く運べたと思います。ただ、最後の伸びがないので……そこは計算外でしたね。グランシルクは敗れたものの、以前と違ってモタモタするところもなく、よくなってきましたね。
-:今なら東京でも?
圭太:ああ、そうですね。僕は中山向きと思っていましたが、今なら良さそうです。
-:そして、凱旋門賞(G1)はどう観られましたか?
圭太:さすが、ライアン・ムーア(※)!どんなレースを魅せてくれるのか、ワクワクしながら観ましたが、さすがでしたね。レース展開などは僕もヨーロッパで乗ったことがないし、わかりかねる部分はありますが、ライアンはスゴイなと。刺激になりましたよ!
(※)もともと戸崎騎手はムーア騎手を敬愛しています!
-:毎度のことですが、ムーア騎手に対する尊敬の念が伝わってきますね(笑)。そして、次週は京都で秋華賞(G1)へ。ビッシュ(牝3、美浦・鹿戸雄厩舎)とのコンビですね。
圭太:シンハライトがいなくなったのは残念ですが、居なくなったとしても、お客さんに満足してもらえるよう、頑張ります。
-:次週もよろしくお願いします!
圭太:ありがとうございます。
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は10月14日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。