'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月11日時点1556勝
さあ秋華賞!「相性の良さを感じた」ビッシュと牝馬最終冠ゲットなるか!?
2016/10/14(金)
他に自らが騎乗してきた馬もいた毎日王冠だったが、ルージュバックとのコンビで挑み、見事に優勝。人馬ともに秋のG1戦線へ高らかに名乗りを挙げた。勢いに乗って今週はビッシュとのタッグで秋華賞(G1)へ向かう戸崎騎手だが、これまでにG1を制してきたパートナーは牝馬ばかりながらも、ことさら相性の良さを感じているよう。自身にとっても3歳牝馬G1初勝利が懸かる一戦。手応えのほどを直撃した。
もはや名コンビ ルージュバックと重賞連勝で完全復調アピール!
-:先日は毎日王冠(G2)をルージュバック(牝4、美浦・大竹厩舎)で制覇。おめでとうございました!
圭太:ありがとうございます。
-:新聞でも報じられていたのですが、中間はじんましんの兆候などもあったとのこと。僕は状態のアップダウンが大きい馬という認識を持っていただけに、不安を一蹴する走りでした。
圭太:僕もそういう話は聞いていたのですが、(大竹)先生も「いい状態には持ってこられた」と聞いていましたし、返し馬では雰囲気の良さを感じました。先週も話したように、力通りならばここでやれて不思議ではないと思っていたので、その通りにはなりましたね。
-:確かに外差しがきいてきたとはいえ、あの位置からアンビシャスを降すわけですからね。天皇賞ともなれば、斤量も増えるわけですが、引き続き楽しみです。
圭太:ええ。まだ馬場なのか、状態なのか、追ってからまだモサっとするところもありましたし、休み明けを使った上積みも期待できると思います。
▲毎日王冠の表彰式ではお馴染み、王冠をかぶってポーズ
紫苑S快勝のビッシュといざ、京都へ!
-:次戦が楽しみではありますが、すぐに迫ってくる可能性があるので、ルージュバックのお話はこの程度で。今週は秋華賞(G1)でビッシュ(牝3、美浦・鹿戸雄厩舎)に騎乗されます。こちらも人気を集めそうですね。これは正直、意外だったのですが、前走に続いて追い切りにも騎乗されたそうですね。しかも、併せ馬とは。先生からどんな指示がありましたか?
圭太:まあ、併せ馬とはいっても、時計だけなら然程のものではありませんからね。先生からは「前を行く馬と併せて、感触を確かめてほしい」とのこと。順調に来ていると思いましたし、問題ないですね。
-:「問題ない」とのことですが、重箱の隅をつつくような質問ですと、枠や展開などが考えられそうです。また、この年齢の重賞クラスの馬としては、初めての関西圏への輸送というのも意外です。
圭太:輸送に関しては、もう僕がカバーできる条件ではないので、どうしようもないのですが、枠などは与えられたところでやるだけ。もし、モマれる競馬になったら?それは騎手の責任になるわけですから。しっかり乗ってきたいと思いますよ。
-:今年も148勝を挙げて、リーディングを独走されているように、JRA入り後は充実の日々を歩まれていると思います。ただ、振り返ってみると、3歳G1では未勝利。そこについての思いはありますか?
圭太:いや……。というのも、そもそもG1を大して勝っていないジョッキーですから(笑)、3歳だから特にどうとはありません。むしろ、後からそう言われないよう、今のうちに宿題として早くかたしておきたいです。クラシックだって、今まで勝てるチャンスもあったわけですから。
▲ビッシュの最終追い切りに騎乗する戸崎騎手
-:枠はわかりませんが、天気も持ちそうなところは何より。追い風は吹いていると思います。
(※このインタビューは10月13日に収録しました)
圭太:気になるといえば、小柄でキレイなフットワークだけに、晴れれば良いなと思っていました。週中も天気予報を気にしていたんですよ。予報を見る限りは、天気も持ちそうですからね。枠?これはみんな同じだと思いますよ、内過ぎず、外過ぎず、そんな枠がいいです。
-:秋華賞は春の実績馬の戦線離脱が多く、残念ながら直前でシンハライトもケガが判明。これにより、注目度・オッズはますます高まりそうです。万が一、シンハライトが出走していたら、どう見ていましたか?
圭太:強い馬だと思いますよ。しかし、オークスでも接戦はしていますからね。先行して残ったのはこの馬だけですし、僕は春からの比較がわかりませんが、こちらは大きく成長もしているでしょうからね。
-:前走はテン乗りで、戦前に追い切りに騎乗された時に高い評価を挙げられていました。もう、何年もお話を聞かせていただいておりますが、あれだけ「いい馬だ」と率直に評価するのも、何度も聞いたことがない気がします。共同会見のコメントを見ても、それだけの自信を持って臨めそうですか?
圭太:まあ、そうですね……。「自信」というか、不安がないんですよね。操縦性や乗りやすさ、賢さなど。バランスもとれていますからね。だから、自信というよりも自然体で挑めるといいますか。それに、僕も一戦しか乗っていませんが、相性はいいはず。ビッシュはどう思っているかわからないけど、そう感じているんです。
「『自信』というか、不安がないんですよね。操縦性や乗りやすさ、賢さなど。バランスもとれていますからね。だから、自信というよりも自然体で挑めるといいますか。それに、僕も一戦しか乗っていませんが、相性はいいはず」
-:牝馬での成績がいいのに、相性の良さを感じるとは、それは心強いですね。3歳牝馬路線といえば、紫苑Sではもともとメジャーエンブレムに騎乗の話もありましたし、春はチェッキーノにも乗っていたのに、これほどの馬が巡ってくるとは……。レースへ向けての締めの言葉をお願いします。
圭太:そうですね。しっかり僕が導いていくだけだと思っています。頑張ります。
-:しかし、この日の乗り鞍は秋華賞と最終のウィッシュハピネス(牝4、栗東・沖厩舎)だけ。ビックリしました。
圭太:僕もビックリですよ。正直、情けない、まだまだだなあ……と思いました。
-:関西圏でもここでも乗り鞍が減るのは珍しいですね。
圭太:これがライアン(ムーア)やモレイラだったらどうだったか?幾ら3年連続リーディングがかかっているといっても、これじゃあ……。戸崎ここにあり、と思わせなくてはいけないのに、これが現実ですよ。
敗れはしたが、ベストウォーリアの走りに感服
-:いつになく自らに手厳しいですね……。気を取り直して、土曜東京分もお願いします。5R(2歳新馬)のボーダーオブライフ(牡2、美浦・金成厩舎)は追い切りに2週続けて乗られているようですね。
圭太:まだ体が引き締まっていない、余裕がある雰囲気ですね。ただ、奥が深そう。素質はあるのではないかと思います。
-:お姉さんのエバーブロッサム(牝6、美浦・堀厩舎)は騎乗されてオークスで2着になりましたね。
圭太:タイプは違いますね。こっちの方がもっと体があるイメージです。
-:7R(3歳上500万下)のクイックモーション(牝3、美浦・木村厩舎)、8R(3歳上1000万下)のレッドサバス(牡4、栗東・松田国厩舎)と続けてお願いします。
圭太:クイックモーションは福島で勝った時に上でもやれそうだと感じていました。レッドサバスはだいぶ前の話ですが、僕がしっかり乗り切れませんでした。今回はその借りを返すわけではありませんが、しっかり乗りたいですね。このクラスでも5着に来ていますから、それ以上を目指したいです。
-:白秋ステークスのロイヤルストリート(牝4、栗東・藤原英厩舎)は中京で勝利に導いた馬。それ以来の騎乗ですね。
圭太:正直、このクラスでどこまでやれるか?という疑問はありますが、3連勝はダテではないですよね。クラスにメドをつけたいです。
-:最終R(3歳上1000万下)のサトノファンタシー(牡3、栗東・松田国厩舎)は函館で勝たせましたね。
圭太:その時に言ったと思いますが、素質の高さを感じましたね。その後の2戦も注目していたのですが、砂をかぶってモタついたり、モマれ弱さをみせていました。そのあたりを意識して乗りたいですね。力通りなら、ここでやれて不思議ではないのでね。
-:それでは、ルージュバック以外の回顧もお願いしますね!コルコバード(牝3、美浦・木村厩舎)はテン乗りでしたが、強かったですね~。
圭太:道悪も問題なかったですね。観ての通り、ここでは力も違いました。チークもつけたようで、その甲斐もあったようですよ。
-:サウジアラビアRC(G3)のロジムーン(牡2、美浦・萩原厩舎)はどうでしたか?
圭太:不利もあったのですが、あれがなくても、上位争いは出来ていなかったと思います。というのも、道中から気が入り過ぎていて……。普通なら、不利を受ける前にあそこでサッと入れるもの。引っかかっているわけではありませんが、走りに一生懸命になりすぎて、盛り上がってしまっているようです。
-:前走の勝ちっぷりを思えば、アレっという走りでした。タイセイスペリオル(牡3、美浦・池上弘厩舎)はどうでしたか?
圭太:レースぶりも良かったし、1400も良かったですね。狭いところでモタモタした分は課題だと思いますが、相手も揃っていましたからね。敗れはしましたが、メドの立つ、収穫の一戦だったと思いますよ。
▲トレセンでの戸崎騎手 新調したヘルメットだが……
-:そして、月曜は南部杯(Jpn1)でベストウォーリア(牡6、栗東・石坂厩舎)に騎乗。しかし、相手が強かったですね。
圭太:そうですね。しかし、負けて悔しい思いもありますが、レコードで走られた中でも、いい状態で臨んでくれましたし、ベストウォーリアも盛岡が好きなのかなと。この歳になっても老け込んだ様子もなく、まだまだやれるなと嬉しくなりましたね。
-:コーナー2つのコースに戻って、能力を改めてみせてくれましたよね。そして、今週はこんなところですが、調教の写真を見ると、いつものヘルメットと違いますね。
圭太:ハハハ、そう。変えました。ただ、トラックマンの人らには不評でして。というのも、助手さんと同じように見えるとかでわかり辛いらしいのです。
-:たしかに僕もビッシュの追い切りVTRをみて、乗っていたはずなのに、乗らなかったんだっけ?と勘違いしましたよ。
圭太:そうですね。僕はガラが良くて気分転換で買ったのですが……。
-:もしかすると、ニューヘルメット効果で、毎日王冠から新たに連勝となるかもしれません。また、次週もよろしくお願いします!
圭太:頑張ります。
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は10月21日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。