'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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ルメールの大躍進に刺激!武蔵野Sのモーニン含め反撃の固め打ちなるか?
2016/11/11(金)
僅か1勝差-。リーディング争いで一時は2位に20勝ほどのリードをつけていた戸崎騎手だが、ご存知の通り、先週はルメール騎手が1日8勝のJRAタイ記録を達成するなど大活躍。今週次第では逆転の危険性もあるほどの僅差に詰め寄られてしまった。騎乗馬を見渡す限り、戸崎騎手が固め打ちの可能性も感じさせるラインナップだが、巻き返しはなるのか?そして、現在の心境、武蔵野Sに出走のモーニンに対する期待も含め、赤裸々に語ってくれた。
ルメールの活躍に感服 心機一転を誓う!
-:今週もよろしくお願いします!まず、先週の重賞から伺いたいのですが……。
圭太:(間髪入れずに)まあ、レースのこともあるのですが、改めてルメールはスゴイな、と。自分はまだまだ……と痛感させられましたよ。
-:あんまりその話題は触れずにいこうかとも考えていましたが……。
圭太:ああ、そうですか?いやあ、もう考えさせられたし、いい経験だと思います。
-:しかも、同じ競馬場で乗っていたわけですからね。夏にもモレイラ騎手が大活躍した時に、同じく札幌競馬場で騎乗されていました。
圭太:ええ。目の当たりに出来たことも良かったことです。正直、本音を言えば、リーディングを狙っているだけに苦しいのは苦しいです(苦笑)。でも、これを糧に自分でもっと意識を高めて、一つ一つ乗っていきたいですね。
▲当欄は戸崎騎手コーナーですが、「刺激を受けた」ということなので
ルメール騎手が1日8勝達成時の様子
-:この状況からリーディングを獲ったら獲ったで、また評価はされるでしょうからね。
圭太:いや、まあ正直にいえば、独走のほうが気分的には楽ですよ(苦笑)。でも、日本人でリーディングを狙えるのは僕だけだと思いますし、温かい言葉もいただいていたり、応援してくれる人もたくさんいるのでね。結果はどうなるのかわからないけど、頑張らなくちゃいけません。
-:ここのところ、調子を落としている印象もありましたが、先週はルメール騎手のほうが馬は集まっているイメージがありましたね。戸崎騎手のラインナップをみて、先週はキツいかな、と僕は思っていたのです。
圭太:でも、それを勝ち切るのはスゴイですよ。それに僕だって十分チャンスはいただいていますから。何とか踏ん張りたいところです。
秋のダート王へ!モーニンの課題は斤量だけ?
-:いつもそうでしょうが、ここから一戦一戦が勝負。我々も平場のレースから注目しなくてはいけませんね!さて、今週は土日東京での騎乗です。土曜から伺いますが、三鷹特別のビヨンジオール(牡4、美浦・的場厩舎)、最終レース(3歳上1000万下)のサトノファンタシー(牡3、栗東・松田国厩舎)といかがでしょうか?
圭太:ビヨンジオールは勝って同条件ということもありますが、これだけの久々。仕上がりがカギですね。それと、どちらかと言えば、中山の方が乗りやすいタイプと思います。サトノファンタシーは前走も期待していましたが、マークされる厳しい展開だったので。そこをどうにかするのが騎手の腕ですが、能力はここで通用するのは証明できていますからね。見直したいです。
-:サトノファンタシーは前走の戦前からも高評価でしたよね!武蔵野S(G3)はモーニン(牡4、栗東・石坂厩舎)とのコンビです。
圭太:何と言ってもG1馬ですからね。そして、G1を勝ったコース。それに恥じない競馬をしたいです。
▲昨年、重賞はおろかオープンでも初挑戦ながら3着だったモーニン(写真は今年の根岸S時)
-:前走は初めての千八、コーナー4つの競馬と課題の条件を克服しましたね。結局、この馬の適性はどう見ていますか?
圭太:表現はしづらいのですが、まだ「固まっていない」イメージなんです。体質的にも、精神的にも。だから、適性も掴みかねている部分はありますね。
-:そういう意味では、実績のあるコースですし、今回は斤量が課題ですね。
圭太:まあ、そうなりますね。前走もまだ休み明けの部分もありましたし、ひと叩きの効果に期待したいです。
-:前走も敗れた相手は後のJBCクラシックを制した<アウォーディーでした。ちなみに、ここで乗るということは、チャンピオンズC(G1)も乗りにいかれるということですか?
圭太:そうなりますね。そこも踏まえて、乗っていきたいと思います。
-:続いて、日曜です。1R(2歳未勝利)のボーダーオブライフ(牡2、美浦・金成厩舎)はデビュー前の追い切りに乗られ、「まだ太いんじゃないか」というお話でした。
圭太:そうですね。一度叩いた上積みに期待したいのですが、前走はいかにも能力だけで走ってきたな、と。
-:tvk賞のワンブレスアウェイ(牝3、美浦・古賀慎厩舎)、奥多摩ステークスのグランシルク(牡4、美浦・戸田厩舎)とお馴染みの馬もいますね。
圭太:ワンブレスアウェイはもともと千四が短かったほど。だから、距離も大丈夫だと思います。ただ、前走は僕も構えすぎたところはありました。挽回したいですね。グランシルクは前走の末脚が素晴らしかったですね。昔は中山向きとみていましたが、逆に今なら東京のほうが……。まあ、勝利を期したいです。
-:メインレースのアルバタックス(牡6、栗東・石坂厩舎)、最終R(3歳上1000万下)のラジオデイズ(牡5、美浦・古賀慎厩舎)とこちらも騎乗経験のある馬が続きます。
圭太:アルバタックスは東京にも実績がありますからね。引き続き期待です。ラジオデイズも前走はずいぶん久々でしたが、それでも勝ちきってくれたあたり、能力の高さを感じました。もともと現級実績がありますし、昇級でも、と思います。
スタート次第では勝機もあったアルバート
-:先週の話題もお願いします。アルゼンチン共和国杯(G2)のアルバート(牡5、美浦・堀厩舎)は惜しかったですね!
圭太:終わってみて、当初の作戦どおり乗れなかったことに悔いが残りますね。スタートさえ出ていれば、もう一列前で乗れたと思いますし、ペースもあれだけゆったりしていましたからね。勝ち馬よりも折り合いの苦労もなく、レースセンスは本当に上手なのに、そこを活かしきれませんでした。
-:たしかにあの着差を考えると、前半の位置どりは明暗を分けた雰囲気はしますね。ちなみに、去年との変化、成長はありましたか?
圭太:東京で強い競馬をして、勝たせていただきましたが、落ち着きも出ていましたし、良い雰囲気でしたよ。
-:京王杯2歳ステークス(G2)のコウソクストレート(牡2、美浦・中舘厩舎)はいかがですか?
圭太:これは中一週がこたえましたね。ゲートの中でも落ち着きがなかったですし、道中も力んでいました。
-:勝ち馬を筆頭に、2歳戦としては乗ったことのある馬が多いレースで、あの結果はちょっとツキがなかったですねえ。レッドサバス(牡4、栗東・松田国厩舎)、ヴァンクールシルク(牡2、美浦・木村厩舎)といかがでしたか?
圭太:レッドサバスは前も引っ張っていて、いい流れだと思っていたのですが、勝ち馬に上手く乗られましたね。これもルメールですものね……。しかし、このクラスでもやれることを証明できましたし、やはりいい決め手は持っていますよ。ヴァンクールシルクはとにかくスローに泣かされました。現状、キレ味は劣るだけにね。
-:そして、次週はマイルCS(G1)でフィエロ(牡7、栗東・藤原英厩舎)、ジャパンC(G1)はルージュバック(牝4、美浦・大竹厩舎)ということですね!
圭太:ジャパンCでまた乗せていただけるのは、感謝しないといけませんね。今の時代に、ね……。そういえば、JRA通算600勝記念のノートも届きました!僕もパロディということで気に入っていますし、周りの人らもかなり喜んでくれています。実家やバレット、ジョッキーや厩舎などに配らせてもらいましたよ。
-:そうでしたか(笑)。先週も読者プレゼントでお出ししましたが、好評で何よりです。また、次週もよろしくお願いします!
圭太:頑張ります!
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は11月18日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。