'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
3年連続リーディング向けて 運命の三日間!有馬はアルバートと挑む!
2016/12/22(木)
いよいよ2016年の中央競馬開催もラストウィーク。し烈な争いを繰り広げているリーディング争いは、先週もクリストフ・ルメール騎手と同じ勝利数にとどまり、その差は「1」。勝負の行く末は三日間開催で決することになった。また、有馬記念はアルバートとのコンビで参戦。2歳新馬でも手綱をとってきたパートナーと挑むが、果たして外国人騎手が隆盛の時代において、日本人ジョッキーの意地をみせることが出来るのか。今年最後の開催は戸崎騎手を通して、より一戦一戦の重みを感じつつ、観戦してほしい。
不運の外枠も アルバートでグランプリに!
-:昨日は有馬記念の枠順抽選会お疲れ様でした。毎年のことですが、この時季はパーティーなどイベントごとばかりかと思います。
圭太:たしかに、月曜は中山馬主会のパーティー、火曜は日本プロスポーツ大賞の表彰式でした。
-:となると、(日本プロスポーツ大賞で)大谷翔平投手とも……?
圭太:ああ、挨拶だけさせていただきましたよ。
▲有馬記念枠順抽選会では外枠15番に思わず苦笑い
-:余談が先行してしまいましたが、いよいよ有馬記念(G1)ですね!アルバート(牡5、美浦・堀厩舎)は8枠15番に決定しました。
圭太:正直に言えば、内枠が欲しかったのが本音ですね。クジを引いて、上から覗いていたら、ピンク色が見えたので「あ~」と思いましたね(苦笑)。
-:クジの紙をめくるのに少しタメていたので、いい枠だとわかっていて、もったいぶったのかと思いました。
圭太:いやいや、そうじゃなかったですね。ただ、この馬の持ち味として、レースに注文のつかないタイプ。それだけに不安がないのですが。でも、ここのところゲートだけは少し良くないのでね。気をつけたい部分ではありますが。
-:アルゼンチン共和国杯もシュヴァルグラン(牡4、栗東・友道厩舎)とは1kgのハンデ差がありましたが、ゲートさえスムーズならば、という結果でしたね。
圭太:ええ。あれは悔やまれる部分です。
-:ただ、その不安を思えば、外枠も決してマイナス面だけではなさそうですね。以前も乗りやすい馬だとおっしゃっていましたが、2走前は東京で手綱をとられました。中山に替わる点はいかがですか?
圭太:戦歴からも見てわかる通り、ベストコースなのではないでしょうか。金曜などは雨もあるようですが、北海道の洋芝で走っていますし、タフさが活きる競馬になればいいですね。
-:昨年も有馬記念には参戦していますが、その当時よりも、ローテーションはゆったりしている点は好感です。
圭太:追い切りに乗っていないので比較はつきませんが、しっかり仕上げてくれると思いますので。枠は内が良かったですが、力を引き出せるよう、作戦を考えて頑張りたいですね。
-:ちなみに、藤原英昭先生などはレース前の作戦立てをされているイメージですが、堀先生はどうですか?
圭太:いや、注文されることは少ないですね。どちらかと言えば、レース後の確認が多く、次の競馬のために色々考えてられるのだなと思います。
現在1勝差 リーディングもいよいよクライマックス!
-:さあ、そして、戸崎騎手にとってはリーディング争いという闘いも控えます。
圭太:ここまで来ましたからね。沢山の声援もいただいていますし、今週の騎乗数を見ても、エージェントも一生懸命、頑張ってくれた成果だと思います。いい結果に終われば幸いですね。
-:この前、伺ったところ、平場の乗り鞍まではチェックされていないとお話をされていましたもんね。そういう意味では、あけてビックリの騎乗数というか。
圭太:それは言えますね。本当によくまとめてくれたと思います。
-:個別の話題についてもお聞かせください。まず、金曜のグレイトフルSはレイズアスピリット(牡5、美浦・上原厩舎)とのコンビ。前走も当該コースで差し切りました。
圭太:中山のこのコースは得意としていますからね。金曜は雨ですか?時計が掛かるのも歓迎ですよ。このクラスでも走った経験はありますし、頭数が少ないのも歓迎です。
-:ノエル賞のオーダードリブン(牡3、美浦・加藤征厩舎)は2走前があと一歩でしたね。
圭太:前走の敗因がどうも掴めませんし、調子などはわかりかねるのですが、もうひと押しですね。一度、乗ったことで脚の使いどころは理解できたと思います。
-:2R(2歳未勝利)のエルドールサージュ(牡2、美浦・大和田厩舎)は芝スタートが良くないのですか?
圭太:それよりも、気性面ですね。いい馬なんですよ。それだけに、もう少し真面目に走ってくれると良いのですが……。
-:日曜に変わりまして、師走ステークスのグレンツェント(牡3、美浦・加藤征厩舎)はレパードS以来ですね。
圭太:競馬も上手で特にクセのないタイプ。前走も頑張っていましたからね。ここはチャンスだと思っています。
▲レパードSでは、この秋に活躍のケイティブレイブを差し切ったグレンツェント
-:クリスマスCのハナズレジェンド(牡3、栗東・矢作厩舎)は2走前がいい勝負するのかと思いきや、勝ち馬が好位で折り合って押し切るという……。驚かされました。
圭太:いやあ、本当にそうですね。あの当時もこれはチャンス、と見ていたのですが、アップクォークにあんな競馬をされるとは。勝ち馬には僕も乗せてもらったことがあるだけに驚きました。でも、こちらも力は証明していますからね。改めて、の思いです。
-:冬桜賞のバリンジャー(牡2、美浦・奥村武厩舎)はダート替わりですね。新馬勝ちは戸崎騎手でした。
圭太:ダート自体は悪くないと思うんです。ただ、気性的なモノなのか、気難しさがあるので、そこがカギですね。
-:同じコースの7R、タケルラグーン(牡4、美浦・池上弘厩舎)はいつ勝ってもおかしくない存在ですよね。
圭太:末脚は確実。本当に展開が向いてくれるかどうかだけですよ。
-:そして、日曜日です。1R(2歳未勝利)のセイウンストリーム(牡2、美浦・水野厩舎)はどうですか?このメンツの中で馬券圏内の実績があるのはこの馬だけなんです。
圭太:そうなんですか(笑)?馬自身は前走で少し重さを感じたので、そこさえひと叩きで良くなってくれればと思います。
東京大賞典はコパノリッキーと久々のタッグ
-:続いて、レース回顧もお願いします。個人的にも期待させていただいていたダイワダッチェス(牝3、美浦・菊沢厩舎)は連勝ストップしてしまいました。
圭太:休み明けもありましたし、坂の上がり方をみていると、平坦のほうが良いのかもしれません。でも、ひと叩きしていれば、それも変わってくるのかもしれませんが、いずれにせよ中山は分が悪そうですね。
-:ダイワダッチェス、メラグラーナとどちらを選ぶか困るくらいの活躍を期待していたのですが……。続いて、マイティーゴールド(牡3、美浦・尾関厩舎)はノドの不安があったものの、何とか凌いでくれましたね。
圭太:窮屈な競馬にもならず、上手く走ってくれましたね。最後も交わされたところから盛り返してくれましたよ。
-:スマートルビー(牝3、美浦・尾関厩舎)は後方からのイメージでしたが、上手く流れに乗ってくれましたね。
圭太:追い切りに乗せてもらって、いい感触を感じていました。枠が枠だけに、上手くゲートを出られれば先行しても良いんじゃないかと思っていたのです。調子も良かったですし、押し切ってくれました。
-:ターコイズS(重賞)のカフェブリリアント(牝6、美浦・堀厩舎)はどうでしたか?
圭太:惜しむらくは内が開いていたことを考えれば、内にこだわっても良かったのですが。それでも、以前よりもレースぶりは良くなっていますね。
-:そして、次週は東京大賞典(G1)でコパノリッキー(牡6、栗東・村山厩舎)とのコンビですね。
圭太:まず、暮れまで大井で乗せていただけることに感謝したいですね。前走はモロさを出してしまっていましたが、もともと実績のある馬。大井の相性もいいようですし、改めて見直したいです。
-:意外にも大井のエースが東京大賞典は未勝利ですからね。
圭太:そうなんです。いつかは獲りたいタイトルです。
-:有馬は勝たれていますが、いつかは年末のダブルG1を制覇なんて年もあればいいですね!とにかくリーディング争い、有馬記念と健闘を祈ります。
圭太:貴重な機会ですから、この緊張感を楽しみつつ、頑張ります。
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は12月29日(木)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。