'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
背中を知る馬たちと勝ち星量産だ+京成杯はポポカテペトルと初タッグ
2017/1/13(金)
年末年始の変則開催ラッシュも消化し、通常の開催スケジュールに戻る中央競馬。通常運転といえば、戸崎騎手も年始の開催3日間で僅か1勝に終わっているだけに、周囲の「雑音」も聞こえてきているかもしれない(苦笑)。その点、今週は騎乗経験のある馬が揃った。固め打ちの可能性も感じさせるだけに、ここは注目だ。
世界の名手も評価のポポカテペトルと京成杯へ
-:変則開催も過ぎ去り、ようやく通常運転といったところですね。まず、今週は京成杯(G3)でポポカテペトル(牡3、栗東・友道厩舎)とのコンビですが、関西馬でもあり、テン乗りとなります。
圭太:そうですね。見た印象しか語れないので、どうこうは言えませんが、ライアン(ムーア騎手)がこの馬で新馬を勝った時、僕も同じレースに乗せていただいていたのです。そのレース後、「スゴい馬だ」と評していたのでね。楽しみですよ。
-:えっ!?ムーア騎手といえば、正直、あまり褒めないイメージが強いだけに。
圭太:そうそう。それだけに期待が膨らみますよね。
-:しかも、キレるよりもしぶといイメージですが、右手前で勝ちきっていたのが印象的でしたね。僅かな着差にも、素質を感じたとなれば楽しみですね。ちなみに、ムーア騎手は珍しく今年は2月に来日されるそうで。
圭太:そのようですね。僕もリーディングを獲ったことは褒めてほしいですね。ハハハ(笑)。
(※昨秋にムーア騎手が来日した際、リーディング争いをしていたことをムーア騎手に評価されている。詳しくはアンカツさんとの対談をご覧ください)
▲昨年11月、京都の新馬戦を制したポポカテペトル
-:同じく日曜中山の騎乗馬について、よろしくお願いします!ニューイヤーSのグランシルク(牡5、美浦・戸田厩舎)はもともと「中山じゃないと……」と評されていました。ここへ来て「東京でも対応出来るようになってきた」との言葉通り、2走前に快勝。強かったですね。
圭太:そうですね。もともと高い能力は持っていましたが、今ならむしろ東京のほうが安心して乗れるんじゃないかと思うほど。追い切りでも動くようになってきて、レースでのモタモタ感が解消されてきたように思えます。瞬発力が出てきた今なら、モマれこむような競馬にさえならなければ、有力だと思いますよ。
-:いつも1月の中山で走っているイメージ。これは楽しみですね。初春ステークスのチュラカーギー(牝4、美浦・中舘厩舎)は2走続けて4馬身差をつける連勝。昇級しての相手関係は気になります。
圭太:能力そのものはありますよね。あとは欲を言えば、モマれ弱さが解消してくれれば……。もう少し競馬の自在性が出てくると言う事ないのですが、引き続き楽しみです。
-:最終レース(4歳上1000万下)のグリントオブライト(牝4、美浦・戸田厩舎)は2走前に中山で勝たれていますね。
圭太:未勝利勝ち当時はまだ頼りないところもあったのですが、前回、乗せていただいた時は馬が良くなっていましたね。前走も昇級で4着。もともと中山のほうが良いタイプでしょうし、前走以上となればいいですね。
-:7R(4歳上500万下)のヒカリトップメモリ(牝4、美浦・池上弘厩舎)は中山ダート1200mで、あの枠はしんどいよなあ……と思いながら、前走は観ていました。
圭太:いやいや、前走も終わってみれば相手が悪かったですよ。この馬自体はスゴく乗りやすくて、安定感があるタイプ。まだ、対戦メンバーなどは研究していませんが、相手次第ですぐにチャンスが回ってきておかしくないですよ。
-:3Rの3歳新馬・ブリスアンドラック(牝3、美浦・国枝厩舎)は追い切りに跨がられたようですね。
圭太:坂路で乗せてもらいました。フットワークは軽さがあって、いいイメージですね。欲を言えば、追ってからガツンと来るところがあれば申し分ないのですが、素質的には高いはずですよ。
▲2走前の奥多摩Sを快勝したグランシルク
-:土曜日についてもよろしくお願いします。初富士ステークスのギモーヴ(牝4、栗東・池添学厩舎)。これは昇級とはいえ、まだまだ上に上がって来るのではないかと、個人的には期待しています。
圭太:新馬に乗せていただいてから、時間があって2度目の騎乗だったと思いますが、かなり成長している印象でした。前走も強かったですね。
-:良績が阪神のように坂があったり、時計の掛かる馬場に集中していると思います。乗られていても、そんなタイプですか?
圭太:ああ~それは言えるかもしれませんね。それに、もっと上を目指せる馬だと思いますよ。
2017年の1週目は意外や1勝止まり… ここから巻き返しだ!
-:先週の回顧もいただきたいのですが、フェアリーS(G3)のキャスパリーグ(牝3、栗東・浅見厩舎)はローテーションがこたえたのでしょうか?
圭太:すごく落ち着きはありましたが、内にささり気味になってしまって……。中山の馬場、坂も堪えたかもしれませんね。
-:ちなみに、あの日はレース中から雨が降り出しました。フェアリーS時点での影響は感じられましたか?
圭太:いや、そこまではなかったと思いますよ。雨が降る前もどこが悪いというわけもなく、例年の中山らしい良い馬場でしたしね。
-:ありがとうございます。その前のレースのダイワダッチェス(牝4、美浦・菊沢厩舎)は個人的にもどこまで出世するか、昨年の夏頃は楽しみにしていたのですが……。
圭太:このクラスを勝てる能力は持っているとは思いますが、もう1Fくらい距離があっても良いのかもしれません。一時はテンションが高くて、スプリント戦に使っていたのでしょうが、ここ最近は落ち着きも出てきていますからね。
-:引き続き期待したいと思います。ピットボス(牡4、栗東・清水久厩舎)はいかがでしたか?
圭太:モマれる競馬でしたし、砂をかぶったのも厳しかったですね。促しつつの追走でしたが、一杯になってしまいました。
-:そして、オノリシャス(牝3、美浦・国枝厩舎)で今年初勝利となりましたね。
圭太:そうですね。この馬は新馬前に追い切りで乗せていただいて、正直、半信半疑なところもあったのですが、新馬は4着と頑張っていたので、「アレっ!?」と思っていました。ただ、返し馬に行ったら、「さすがにあの雰囲気だったら……」と思っていたら、強い勝ち方。ビックリしましたね。
-:僕も幾らかその経緯は伺っていただけに、ここで勝つか?とビックリでした(笑)。
圭太:まあ、正月だから気が抜けているとか、そんなことはないのでね。今週は改めての思いで臨みますよ。
-:ハハハ(笑)。勝てないとすぐ「不調だなんだ」と言われてしまうのは宿命でしょうが。
圭太:それも期待の裏返しでしょうからね。言われていることを励みにしないと。
-:ちなみに、ピットボスなどは「砂をかぶった」というお話でしたが、競走馬はダート戦で砂をかぶることはどれくらいで慣れるものですか?
圭太:いや~馬によりけりですよね。慣れないままで、そういう競馬を強いられる馬もいますし、かぶったことでハミが抜けて折り合いがつく馬もいますからね。ただ、これは間違いなく言えるのは、上級条件になるほど、そういうウィークポイントがあると厳しいですね。それだけペースも速くなりますし、その分、置かれていたら勝負から置き去りになりますから。
-:確かにそうですね。この時期特有の凍結防止剤が入った砂になったほうが嫌がるとか、そういうことはないですか?
圭太:たぶんそれはないですよ。
-:ちなみに、一時は特殊なヘルメットをかぶられていましたが、ここ最近は結局、元に戻りましたね。
圭太:よく観ていますね(笑)。時計班の人から、「ジョッキーなのかわかりづらい」とのことでして、やはり迷惑をかけるのも、ということで直しましたよ。
-:そうだったんですね~。今のほうが似合っている気がしますが(笑)。東京開催もフェブラリーS(G1)のベストウォーリア(牡7、栗東・石坂厩舎)や共同通信杯(G3)のムーヴザワールド(牡3、栗東・石坂厩舎)など有力馬の騎乗も話題になってきましたし、先々が楽しみになるような騎乗を楽しみにしています。
圭太:頑張ります。
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は1月20日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。