'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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2017年は不振!?現在の胸中に迫る!AJCCはゼーヴィントと再コンビ
2017/1/20(金)
リーディング獲得の喜びや束の間といったところで、今季は僅か2勝。早くも?不振が囁かれる戸崎騎手。それも、トップジョッキーならではなのかもしれないが、当コラムはレース展望だけに触れているわけではないだけに、その敗因などもしっかりとお確かめいただきたいところ。また、中山最終週の重賞には、昨夏に勝ち星を挙げたゼーヴィントと挑む。こちらも好勝負を期したい。
今年重賞初制覇へ!ゼーヴィントと再タッグ
-:雪でてんやわんやの一週間でしたが、先週は土日ともに中山での騎乗。とくに天気の影響はなかったと思いますが、読者からも「不調」を心配する声が届いております。
圭太:ああ、そうですか?年間2勝の騎手なので、たいそうなことはいえませんよ(笑)。
-:ただ、一つ僕個人の意見ですが、先週もチャンスのある馬は枠が悪かったり、とにかくついていないなと。あれで「1番人気を飛ばしている」というのもね……。それも人気を背負うことの宿命なのかもしれませんけどね。さて、レース回顧は後ほど伺うとして、騎乗予定の馬についてお聞かせください。AJCC(G2)にはゼーヴィント(牡4、美浦・木村厩舎)とのコンビで挑まれますね。
圭太:ええ、成績も安定していますが、まだ若さが残っている印象。そういう意味では、今後も成長の余地は残していると思います。コースにもセントライト記念で好走歴がありますからね。思い切った騎乗を心がけたいです。
-:まだ若さがあるということでいえば、昨年からの成長も期待できそうですね。
圭太:この中間にまたがっていないので、現時点ではわかりませんが、早くから成長を感じていて、段々としっかりしてきた感触は受けますね。この前もゲートが悪かった馬が前目につけられるようになったりと、レースにも幅がでてきましたから。
▲ゼーヴィントとは昨夏に福島のラジオNIKKEI賞を制した
-:金曜日は雨の予報もありますが……。
圭太:タイプ的には良馬場のほうが良さそうですよね。それに、1800mから2200mくらいの距離が合いそうなタイプ。今後はどういう路線を目指すのかはわかりませんが、年明け初戦だけにきっちりいい結果を残したいです。
-:同じく日曜の東雲賞のサンクロワ(牡4、美浦・斎藤誠厩舎)は昇級初戦ですね。
圭太:もともと能力は感じていましたし、マイルでも行きっぷりの良さをみせてくれました。ハンデもそう重くないですし、引き続き期待しています。
-:ちょっと気になるのが、2R(3歳未勝利)のポールヴァンドル(牝3、美浦・上原厩舎)です。初ダートとなります。
圭太:おそらくこなしてくれると思いますし、もうひと押ししてくれそうですね。
-:日曜最終R(4歳上1000万下)のクィーンズベスト(牝4、栗東・大久龍厩舎)は重賞ではふるいませんでしたが、1000万下では既に2着の実績。しかも、敗れた相手は後に重賞を制していますよね。
圭太:よくがんばっている馬ですよね。休み明けですが、リフレッシュ出来ていると思いますし、中山も合っていて乗りやすいはず。巻き返したいです。
▲初のマイル戦でも先行するスピードをみせたサンクロワ
-:土曜5R(3歳未勝利)のボーダーオブライフ(牡3、美浦・金成厩舎)は2、3着と来ています。ちなみに、戸崎騎手がJRA移籍初年度にオークスでもコンビを組んだエバーブロッサムの弟です。
圭太:これはもう順当に決めていきたいですよね。エバーと(兄弟)ですか?それはずいぶんと違う印象ですけどね(笑)。
-:若竹賞のロジムーン(牡3、美浦・萩原厩舎)は前走が案外な結果でした。どうジャッジされるか気になるところです。
圭太:2戦目で乗せていただいて、硬さを感じるところもあったのですが、休ませたことで追い切りの雰囲気も良く、3戦目はもうガラっと変わりましたね。
-:確かに。レースの印象も全然違いましたものね。
圭太:強い勝ち方でしたよ。「重賞でも」と期待はしていたのですが、どうも力みがキツくて……。これは折り合いや位置取り云々ではなく、戦前から入れ込み過ぎていたのが原因ですね。
-:となれば、休み明けの今回は案外、力が抜けているかもしれませんね。
圭太:そうです。折り合いに不安があるわけではありませんし、能力はあるので。手強い相手も除外になったようですし、色気を持って挑みたいです。
-:メインレースのカーバンクルSはバクシンテイオー(牡8、美浦・堀厩舎)に騎乗されますね。
圭太:久々だけに、いまの力量がわかりかねますが、僕が乗せていただいた時は素晴らしかったですね。あのイメージを持っていますし、2走前にも重賞を勝っているくらいなのでね。楽しみです!
▲ロジムーンは通算600勝を決めた記念のパートナー
現在2勝 「不振」の原因は?
-:レース回顧もお願いします。京成杯(G3)のポポカテペトル(牡3、栗東・友道厩舎)はいい手応えで回ってきて、直線で狭くなるシーンもありました。
圭太:乗り味はいい馬でしたね。ただ、まだモサっとしている分、狭くなったことで思うように走らせられあげられませんでした。もう少しサッと動けるタイプであれば、狭くなる前に抜け出していたと思います。
-:マウントロブソンの全弟という血統馬ですね。似ている部分はありましたか?
圭太:どちらかと言えば、マウントロブソンのほうが段階を追ってギアを上げていくタイプ。ポポカテペトルはまだサッと踏めないところがあるので、そこは成長待ちといったところかもしれません。
-:グランシルク(牡5、美浦・戸田厩舎)は内枠にならなければ、と思っていたのですが、どうしてもああいう形になりますね。
圭太:こちらもサッと動けないところがあるので、中山でああいう形になるとやや苦しいですね。今なら東京で大味な競馬をしたほうが能力を出し切れると思います。
-:チュラカーギー(牝4、美浦・中舘厩舎)は戦前にこのコラムでも「モマれ弱い」と書いたのに……。
圭太:砂を嫌がってどうしようもなかったですね……。
-:あそこまで人気するのはなあと思いました。同じく中山ダート1200m戦のヒカリトップメモリ(牝4、美浦・池上弘厩舎)はどうでしたか?こちらはその前も内枠だっただけに、着順を落とした原因がわかりませんでした。
圭太:いつもの鋭さがなかったですね。調子が良ければ勝っていたと思います。
-:まあ、なかなか運がないというか……ですね。土曜のギモーヴ(牝4、栗東・池添学厩舎)はいかがでしたか?
圭太:ゆるい馬場で勝ってきた馬だけに、中山のいい馬場で千八のあの枠は厳しかったですね。道中でバランスを崩しているようなところもありました。ただ、内枠なら違ったと思いますし、条件一つで変わってきて不思議ではないですよ。
-:シンボリバーグ(牝3、美浦・藤沢和厩舎)は少しジリジリとした印象で惜しかったですね。
圭太:道中はいい雰囲気。ただ、追い出してからの反応が鈍くて。でも、ペースも遅かったですし、ここからもっと成長してくれるはずです。まあ、でも、色々言っても言い訳にしかならないですからね。結果を残さないといけない世界ですから。
-:ただ、なんでもかんでも結果だけしか見られないのも、という思いもあるので、今回は細かく伺わせていただきました!ちなみに、最後は読者からの質問です。「いま横断幕を作りたいと思っています。どんな色がお好きですか?」とのことでした。
圭太:う~ん、無難にいけばネイビー・青系でしょうか。昔は赤が好きでしたけどね。あとはグレーなんかも良いかもしれません。
-:ようは地方時代と同じイメージですね。来週から東京となりますが、根岸ステークス(G3)はベストウォーリア(牡7、栗東・石坂厩舎)とのコンビ。お馴染みの存在ですが、楽しみにしております。
圭太:頑張ります。
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は1月27日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。