'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月11日時点1556勝
さあ北の大地へ!WASJ&キーンランドCで爪あと残すか?
2017/8/25(金)
今週8月26、27日に札幌競馬場で行われるワールドオールスタージョッキーズシリーズ(WASJ)に出場する戸崎圭太騎手。これまで、前身のシリーズから3位が最高だが、今年こそ栄えある優勝となるのか?自身にとっては連覇の懸かるキーンランドCなどの話題も含め、今週も意気込みを伺った。
-:早速ですが、今週はWASJですね。先日はシャーガーカップにも騎乗されたばかりですが、札幌での騎乗は今季初めて。前身のWSJSを含め、このシリーズで優勝にはまだ手が届いていませんが、意気込みのほどはいかがですか?
圭太:先日もイギリスに行かせていただいて、世界の人たちと乗れたことが収穫になっていますし、また、こうしてすぐに乗れることは貴重ですね。今回は僕にとっては、自国開催ですから、持っている技術を発揮できればと思います。シリーズ自体は以前も出させていただいていますが、いつもよりレースはシビアになる印象。ジョッキーも普段以上に一つでも上の着順を獲りに来るイメージですし、厳しい環境の中で結果を残せたらと思います。シャーガーCでは、オーストラリアの(ケリン)マカヴォイと一緒のチームで、言葉はそんなにわからないですが、親切な対応が印象的でした。今回は日本ですから、僕もその分のお返しをできたらなと。
▲2015年のWASJでは3位だった戸崎騎手
▲昨年のメルボルンCを制したことでも知られるマカヴォイ騎手
(シャーガーC当時の写真は先週のコラムを参照ください)
-:マカヴォイ騎手は実は同い歳なんですね。
圭太:そうなんです。シャーガーCが終わってから気づきました(笑)。
-:WASJの騎乗馬の中では、第2戦のクロコスミア(牝4、栗東・西浦厩舎)がAランクということですね。
圭太:僕も福島牝馬ステークスで乗せていただきましたが、乗りやすくて、先行力もあるタイプ。福島の時は最後、苦しがって内にササるような素振りもみられましたが、馬体重が減っていたとはいえ、そこまで悪い状態と感じませんでした。格上挑戦でも前走のような結果を残せていますし、このクラスでも力は上位かと。
-:気になるところでいえば、登録段階から先行馬が多いなと。
圭太:そうなんです。そこですよね。福島もけっこうキツい展開でしたから。
-:WASJ第4戦はエニグマバリエート(牡5、美浦・戸田厩舎)に騎乗されますが、久々のコンビですね。
圭太:ここでどんな位置にいるかといったところですが、馬自体は安定感がありますからね。
-:千歳特別のコーカス(牡3、栗東・藤原英厩舎)は2度、東京で乗られています。
圭太:久々の分もありますし、未知数なところはあるのですが、今回は自己条件ですから。そこに期待します。
-:そして、キーンランドC(G3)はモンドキャンノ(牡3、栗東・安田隆厩舎)に騎乗。函館2歳ステークス以来のコンビとなりますね。
圭太:別定戦になるのは良いと思いますね。一番背負っている古馬で58kgですし、5kg差もありますから。以前の印象では、少し不器用な印象も受けたので、枠次第では思い切った競馬になるかもしれません。
-:一連の走りをみていて、感じられるところはありましたか?
圭太:う~ん、やっぱり1200mに戻るのは良さそうですよね。朝日杯の2着もありますが、ジッと出来た分、脚が溜まっていたのかもしれませんから。本質的にはこれくらいの距離かなと。
▲母は2006年のアイビスSDで3着 兄姉も短距離馬が多いモンドキャンノ
-:先週のレース回顧もよろしくお願いします!ドラゴンゲート(牡5、美浦・小西厩舎)はテン乗りでしたが、強かったですね。
圭太:ええ、強かったですね。斤量も軽かったですし、良いスピード。競馬はしやすかったです。強い競馬でしたし、力もつけていたと思いますよ。
-:格上挑戦でしたし、ハンデもあったので悪い勝負にはならないと思っていましたが……。
圭太:今回は馬のおかげですね。もともと能力のある印象でしたからね。
-:サトノキングダム(牡4、美浦・国枝厩舎)はどうでしたか?
圭太:う~ん……勝ったなと思ったのですが、内からすくわれる形。良い形で運べてはいたのですが。
-:イストワールファム(牝3、美浦・古賀慎厩舎)はテン乗りながら快勝でしたね。
圭太:レース映像を観ていても、東京では強い競馬をしていましたからね。自信を持って臨めました。折り合いが難しい印象もあったので、気をつけていきましたが、返し馬からそんなところもありました。今回は状態も良かったですし、直線の長いコースは力のある馬優位ですからね。ここは馬が強かったです。
-:ルーラーキング(牡3、美浦・小笠厩舎)は待望の初勝利ですね。
圭太:ずっと使い続けてきましたが、暑い時季によく頑張ってくれましたよ。スタッフのケアの甲斐もありましたね。
-:土曜メインのゼウスバローズ(牡6、栗東・角居厩舎)やサヴィ(牡3、栗東・中内田厩舎)などはどうでしたか?
圭太:道中もおっつけ通しで(手綱を)持っていられない感じ。力はあるのですが。サヴィは映像をみると、競馬は上手だと思いましたが、前に行くよりは差すイメージ。ただ、馬群で嫌気を出されてしまいましたね。若い馬だから、こういう課題もあると思うのですが、ここらへんはしっかり騎手が走らせてあげないといけないといけません。
-:コウキチョウサン(牡4、美浦・和田郎厩舎)は久々のコンビでしたが、差し切り。あれは狙っていた競馬でしたか?
圭太:さすがにあの位置から、とは思っていなかったのですが、あれはもうジッとしておくべきと切り替えました。スローペースも良かったですかね。このクラスでも足りるイメージはあった通りでした。
-:早いもので次週は開催最終週。気になる騎乗馬の話題も伺いたいのですが、G1の前哨戦など分かる範囲でお願いします。
圭太:セントウルS(G2)ではメラグラーナ(牝5、栗東・池添学厩舎)に乗せていただきます。これは出ていたかもしれませんが、セントライト記念(G2)はセダブリランテス(牡3、美浦・手塚厩舎)、オールカマー(G2)はステファノス(牡6、栗東・藤原英厩舎)ですね。把握しているのはこんなところです。
-:リーディング争いも2位に10勝差です。
圭太:まあ、周りは1日にあっさりバンバン勝つ人たちですから。僕は一つ一つ、じっくり乗っていければと思います。
-:気の早い話題ですが、今後も続けていくと思います(笑)。よろしくお願いします!
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は9月1日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。