2年連続で福島・新潟リーディングを無事、獲得した戸崎騎手だが、今週は門別、園田、中山、阪神と駆け巡る一週間に。中でも、土日の重賞で人気馬に騎乗するだけに久々の重賞制覇へ期待の高まるところだ。既に別録り済みのインタビューでは、秋への意気込みを明かしてくれているが、新たなシーズンへ挑むリーディングジョッキーの奮闘を、このコラムとともに引き続き応援いただきたい。

「メラグラーナはとにかく良馬場、好天でやりたいですね。道悪も良いのかと思っていたのですが、結果を見ると、やはり敗因はそれも一つかなと」


-:今週は水曜が門別、木曜が園田でゴールデンジョッキーカップとお疲れ様でした!しかし、水曜の門別競馬は濃霧のため、開催取りやめ。急遽サイン会になったようですね。3歳未勝利の競走馬にとってはラストチャンスが懸かっている時期だけに、なんとかやれたら良かったのでしょうが……。

圭太:いやあ、そうですね。チャンスのある馬だと思ったし、もう一回走れる機会があればよかったのですが……。木曜の園田は競馬場に着いてから土砂降り。これでお客さんも観に来てくれるのかなという心配もありましたが、何とか楽しんでいただけたのかと。

戸崎圭太

夏の新潟リーディングおなじみ、記念品の米俵とポーズ

-:今週は土曜が中山、日曜が阪神となりますね。まず、中山の紫苑ステークス(G3)にはルヴォワール(牝3、美浦・手塚厩舎)と臨まれます。昨年のビッシュに続き、テン乗りでこのレースに挑むことになりますね。

圭太:1週前の追い切りに乗せてもらいましたが、いい馬でしたし、素質を感じさせる動きでしたよ。性格的にはおっとりしていて、走りはドッシリとした雰囲気。牝馬らしからぬ、といいますか。

-:その追い切りでいえば、今週の追い切りは大野拓弥騎手が騎乗。併せ馬で遅れていましたね。

圭太:そうらしいですね。ちょっとそこは気になるところではあります。まあ、これまでのパフォーマンスは能力を感じさせるものですから、そこを信じたいです。

-:日曜のセントウルS(G2)ではメラグラーナ(牝5、栗東・池添学厩舎)に騎乗します。9月の間では、おそらく唯一の関西圏での騎乗になりますね。

圭太:そうですね。ここ最近は結果が出せていませんが、とにかく良馬場、好天でやりたいですね。道悪も良いのかと思っていたのですが、結果を見ると、やはり敗因はそれも一つかなと。

-:下級条件時代は発表以上に悪そうな中京や戸崎騎手も騎乗した京都などでも勝っていましたが、クラスが上がってくると、ウィークポイントが明るみになってきますね。ちなみに、軽い芝と重い芝なら、どちらがベストですか?

圭太:重い芝の良馬場なら良いと思います。

-:陣営は「外に出す競馬を」なんて、コメントも残されていましたが、そんな競馬がベストですか?

戸崎圭太

近5戦して2勝 残り3戦は雨に見舞われているメラグラーナ

圭太:やはりフットワークが大きいので、窮屈な競馬よりもスムーズに走らせてあげたいですよね。

-:タイプは違いますが、他に騎乗していた馬でもそういう馬もいましたよね。ちなみに、今週は週末が晴れ予報です。

圭太:ああ、そうですか。それは良かった。

-:ちなみに、土曜のアスター賞にはルッジェーロ(牡2、美浦・鹿戸雄厩舎)とのコンビ。新馬勝ちは力が上だったように映りました。

圭太:2戦目が重要ですね。この中間、追い切りに乗せていただきましたが、立派になった印象は受けましたよ。距離は1600までなら、我慢できるでしょうから、いい競馬を期待したいです。

-:先週の話題では、新潟記念(G3)ではハッピーモーメント(牡7、栗東・角居厩舎)に騎乗されましたね。

圭太:最近、長い距離でコーナー4つの競馬を使ってきていることもあり、どうしてもジリジリとした伸び脚で離されてしまいましたね。折り合いもつけて運べたのですが。

戸崎圭太

-:サレンティーナ(牡3、美浦・萩原厩舎)などはどうでしたか?新潟記念も先週もそうですが、新潟の芝の具合も気になるところでした。

圭太:サレンティーナは勝ったと思ったのですが、結果、インが良かったですかね。芝の状態は内回りなら、インを回った方が良いでしょうし、外回りならある程度、通るところを選ばないと最後に響いてしまう。このレースなんかは難しい選択でしたね。外を選んで勝てると思いましたし。

-:確かに外回りの新潟記念などは勝ち馬も上手くコースを選んでいたのかなと思いました。気になったのはダウンザライン(牡3、美浦・尾形充厩舎)ですが、戦前の持ち時計は勝ち馬に劣っていたものの、人気はしていましたね。

圭太:良い雰囲気の持ち主でしたよ。詰まってしまうところもあり、力を発揮出来ませんでしたが、このクラスでもやれると思います。

-:引き続き注目してみます。セイウンスパイ(牡2、美浦・池上和厩舎)は新馬勝ちを挙げられました。

圭太:返し馬では緩さがあって、どうかとも思いましたが、気性の難しさもまだ残っていますし、今後、成長していってくれればと思います。

戸崎圭太

-:先週のお話では、手応えを感じられていたハクサンルドルフ(牡4、栗東・西園厩舎)はどうでしたか?

圭太:う~ん、出ていった分ですかねえ。前回乗せていただいたほどの脚は使えませんでした。ただ、今回の馬場であれだけ後ろからいったら届いていていたか?と聞かれれば違うと思うんです、僕は。あの弾けっぷりも今回感じられなかったのは事実ですが、それは返し馬が凄く良かったのもあるかもしれません。状態が良い分、前回ほどの位置で運べなかった。しかし、かといって馬の状態を悪く作ることなんてありえないですからね。難しいレースでした。

-:たとえは違うかもしれませんが、気性の勝っている馬なんかも、状態が良すぎてしまうと乗りづらくなるなんてこともありますものね。ダノンスマッシュ(牡2、栗東・安田隆厩舎)はどうでしたか?

圭太:勝つべき馬でした。乗り味も良くて、素直な馬。スタートも上手く、出たなりの競馬を出来ればとは思っていました。ただ、後からあれだけ来られて、わざわざ引くかといったら僕は引くべきじゃないと思ったわけです。素質もありますし、競馬の組み立てとして今回は難しくなってしまっただけ。すぐに巻き返してくれると思います。

-:一つ一つのレースの場面、場面に選択すべきタイミングがありますし、簡単ではないですよね。ファンの皆さんにも「勝った・負けた」の一喜一憂だけじゃなく、そういった観戦する面白みも伝わると良いのですが(笑)。さて、次週は中山、今月の遠征は他にありますか?

圭太:10月9日(祝・月)の南部杯(Jpn1)がありますね。あとはだいたい関東だと思います。

-:徐々に盛り上がってくる時季。引き続きよろしくお願いします!

圭太:よろしくお願いします。

(聞き手:競馬ラボ・小野田)

※次回は9月15日(金)に更新予定です!