'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
オールカマーはルージュバックの2着 元主戦は何を思った?
2017/10/1(日)
G1直前ということもあり、今週は通常よりもロングインタビューでお送りさせていただく当欄。というのも、やはり気になったのはオールカマーの結果、長らく手綱を執ってきたルージュバックが勝利し、僅差の2着はステファノスという決着だったことだ。引く手あまたのジョッキーということもあり、数多くコンビを組むパートナーも少ない中での元相棒の勝利にどう感じたのか、じっくりと語ってもらった。
「ルージュバックに負けたか、という思いもありますけど、改めて落ち着くと、ルージュバックというずっと乗せてきてもらった馬が勝利を挙げられたことは、ファンも多い馬ですし、違う目線から見ると、良かったのかなという思いもあります」
-:今回、少し時間をとっていただいたのは、G1直前だからということもあったのですが、オールカマー(G2)はファンなら分かりやすいといいますか、気になる結果でした……。まず、手綱を執られたのはステファノス(牡6、栗東・藤原英厩舎)ですので、ステファノスのレース自体はいかがでしたか?
戸崎圭太騎手:ああ、そうですか。よろしくお願いします(笑)。相変わらず良い状態というか、良い雰囲気の返し馬もできましたし、状態は良さそうでした。-:休み明けよりも、叩いて上げて来るのが藤原(英昭)先生のスタイルの一つでもあると思うのですが、今回は結果も伴っていましたね。
圭太:そうですね。しっかり走れていましたね。(藤原英昭)先生の発言も、そう(勝つぞと)ハッキリとは言わない中にも、レースを勝ちに来ている雰囲気は出ていました。それに、いつもよりも仕上げている印象も受けましたね。ただ、ステファノス自体は基本的には叩いて良くなるタイプなので、次はより良くなると思います。
-:グリーンチャンネルでも、普通に「勝ちに行きます」と言っていたので、前哨戦としてはちょっと珍しいなという感じは受けました。あとは、G1で惜しい競馬が続いているので、天皇賞(秋)でどんな競馬が出来るか。
圭太:そうですね。G1でも2着に来られる力はありますし、それは証明されていること。タイトルを、という気持ちはありますね。
-:覚えていらっしゃるかどうか。安田記念の時に調教で「前よりしっかりしてきた」と言っていたと思います。6歳ではありますが、そういうところもあるわけですよね。
圭太:うん、その時は感じましたね。
-:レース展開は、上手く立ち回られたと思いますが、イメージされた通りでしたか?
圭太:そうですね。先生ともいつも通りプランを立てて臨みました。レース後も話をして「レースの内容としては良かったんじゃないか」というコメントをもらいました。成績的には(G1に)もう一歩のところなので、そこをどうにか、ですね。
-:そして、ルージュバック(牝5、美浦・大竹厩舎)に次ぐ2着という結果に感じられる部分はありましたか?
圭太:そうですね。ずっと乗せてきてもらっていた馬で、なかなか結果も出なくて、今回違う(北村宏司)騎手が乗って、ああいう風に勝ったということは、自分自身にも足りないところというか、もっともっと勉強しないといけないコトがあるなと改めて感じた次第ですね。
-:秋緒戦というのは、コースが違いますけど、去年(毎日王冠)も勝っているのは勝っているんですけどね。
圭太:はい。
-:1着がルージュバックで、その2着だから、ファンにとってはちょっと“アレっ!?”という驚きや戸惑いもあったのかなと。
圭太:まあ、悔しいですけどね……。悔しいし、ルージュバックに負けたか、という思いもありますけど、改めて(自分の気持ちが)落ち着くと、ルージュバックというずっと乗せてきてもらった馬が勝利を挙げられたことは、ファンも多い馬ですし、違う目線から見ると、良かったのかなという思いもあります。
-:引き上げてきた時はどういう心情でしたか。僕も目が合いましたが、まあ何とも言い表し辛い表情だったので。
圭太:結局2着で、自分が負けましたからね。負けたこととルージュが勝ったという、両方の複雑な思いはあったかもしれないです……。
-:勝ち馬整理枠では、そんな感じに見えましたね。
圭太:自分は(自分自身を)見られていないので分からないです(笑)。負けたこと、まずは2着というのが悔しかったですけどね。
-:今回は、中山でああいう乗り方で勝ったということにはどう思いましたか?
圭太:先行はしていますが、イメージとしては、ルージュの走りができているんですよね。尚且つ北村さんが上手く乗ったということですよね。
-:それなりに結果は残念ではありましたけど、色々と収穫があったレースだったわけですね。
圭太:まあ、そうですね。
-:先週のその他のレースで、外房Sで2着のハウメア(牝3、美浦・藤沢和厩舎)はいかがでしたか。
圭太:勝てる自信はありましたね。強気な競馬じゃないですが、勝ちに行くレースをしたのですが、結局後ろの馬にやられてしまいましたね。う~ん……。
-:芙蓉ステークスで4着のトゥザフロンティア(牡2、栗東・池江寿厩舎)はいかがでしたでしょうか。戦前は距離適性も気になりました。
圭太:率直に良い馬でしたね。何かまだ緩さを感じて、コーナーで少しトモの踏み込みがもう一つ……。3~4コーナーでペースが速くなった時に、ちょっと置かれるような感じで、トモの嵌まりも、もう少しかなというところがありました。今後、良くなると思いますけどね。まだ広いコースで、コーナーも持っていられる展開になればいいかもしれません。能力はあると思うので、また直線は脚を使えると思うのですが、ああいうコースになると、まだ弱さというか、成長面の差がが出てしまうのかなと思いましたね。
-:距離は問題ないですか。
圭太:(キッパリと)問題ないと思います。
-:じゃあ、少し時間を掛けて、という感じですね。3歳上500万下1着のモリトシラユリ(牝3、美浦・堀井厩舎)は人気に応えられましたね。
圭太:向正面でちょっと手応えが危うくなったのがビックリしましたけど……。原因は分からないですね。でも、その分、いつも勝ちパターンのレースをしていて、何かにやられてしまう、ちょっとワンパンチ欲しいというタイプだったのですが、今回はしっかり最後まで伸びてくれました。結果的には、逆に良かったのかとも思うし、ああいう競馬の方が良いのかもしれないですね。
-:セプテンバーSで2着のアドマイヤナイト(牝5、栗東・梅田智厩舎)は惜しかったですねえ。
圭太:これも、上手に良いポジションで競馬ができていたかと思い、シメシメと思っていたのですが。相手はこの馬(タマモブリリアン)と思っていた相手に勝たれたのですが、先行して上手に乗られてしまいました。
-:先週の段階での芝の状態というのはいかがでしたか?
圭太:やっぱり先行、内有利な馬場ですかね。全部負けているのは、外を回って負けているので、そこも今後に繋げていきたい、勉強になった点ではありますね。
-:時計だけ見たら、前が崩れてもおかしくないかなと思うレースでも、けっこう前が残ったりする感じがありましたからね。
圭太:そうなんですよね。
-:同じく3歳上500万下クラスを制したタイセイスペリオル(牡4、美浦・池上弘厩舎)はいかがだったでしょうか。
圭太:これは、ずっと競馬教えて、長いところでもと思っていたのですが、段々と使う毎に気も入ってきて、なかなか難しくなりましたね。今回は1200が良いんじゃないかと思っていたので、読み通り、センスの良い競馬ができたと思います。
-:最後に3歳上500万下3着のクラークキー(牡3、美浦・池上弘厩舎)についてもお願いします。
圭太:休み明けでしたけど、力も付いていましたし、使った方が良いタイプだと思っていたので、どうかと思っていたのですが、それでもゴチャゴチャした中で伸びてこられているので、次はもっと良くなるんじゃないかという感じです。
-:今回は少しツッコませてもらわないと、と思い時間をとらせていただきましたが、今週分も長い時間ありがとうございました!また、東京開催も頑張ってください。
圭太:いえいえ、よろしくお願いします。
※次回は10月6日(金)に更新予定です!プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。