'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
中山記念はショウナンバッハとコンビ!開催替わって更に加速へ!
2018/2/23(金)
サンライズノヴァと挑んだフェブラリーSは残念ながら4着。久々のG1制覇とはならなかったが、今週から2開催にわたる、中山&阪神へと舞台はかわるだけに、心機一転といきたいところだ。弊社の企画ではあるが、先日は大井競馬時代の後輩・矢野貴之騎手との対談も実現。日の目を見るタイミングはもう少し先の予定ではあるが、気心の知れた両雄だから飛び出たエピソードに富んだ対談となった。こちらも公開をご期待いただきたい。
●デキは過去最高だったフェブラリーS
-:先週は今年初のG1・フェブラリーSでしたが、サンライズノヴァ(牡4、栗東・音無厩舎)に騎乗されて4着。個人的には健闘したのかなと思っているのですが……いかがでしょうか?
戸崎圭太騎手:レース前の乗り方としては、前に有力馬もいますし、ゲート次第で考えようと思っていましたが、ゴールドドリームとの兼ね合いになるとも考えていました。スタートそのものはこれまでサンライズノヴァに乗せていただいた中で一番でしたね。それだけに調子は良かったんだと思います。そこからはリズム良く運ぼうと思いつつ、前にも残られたくないし、ゴールドドリームも見ていかないといけないと思っていましたが、ドスローにならずともあそこまで速くなるとも思っていなかっただけに、あのペースは意外でしたね。
▲連覇中の4歳馬ということもあり、期待を集めたサンライズノヴァ
-:2017年同様のハイペースでしたね。
圭太:ええ。位置どりそのものは良い位置で進められまして、道中の雰囲気も良かったと思います。器用さに欠けるし、モマれたくないので、包まれる競馬はイヤでしたからね。ただ、思っていた以上にゴールドドリーム、ライアンの動きも速かったですね。ついていくのもどうか、という懸念もありましたし、我慢するのもという思いもあったのですが、手応え的には後手を踏みつつも伸びてくれましたね。敗れてはしまったので、納得してはいけませんが、レースの流れとしてはいい競馬だったのかなと思います。
-:ただ、客観的にみると、上位の馬とは現状の力差もあったのかと思います。
圭太:強いて言えば、この馬にはペースが速すぎたかもしれませんね。もう少し持っていたいし、下げていってもそこまで突き抜けられるか、というところもあります。
-:あとは先週のダートの質というのも?
圭太:パサパサよりは少し湿っていたほうがありがたかったですかね。まだ若いので、来年もありますからね。
「(中山記念のショウナンバッハは」前走は距離が長いと感じたのでね。その前回のアメリカジョッキークラブカップはデキが良かった分、距離の課題も感じたのかもしれないですが、今回はそこが上手く噛み合ってくれるのか、というところです」
-:負けてはいますが、ゴールドドリームも昨年のJRAG1を連勝した馬ですし、よく頑張ったと思います。今週ですが、中山記念(G2)にはショウナンバッハ(牡7、美浦・上原厩舎)と挑みますね。
圭太:相手も揃っていますし、どこまでやれるかというところですが、前走は距離が長いと感じたのでね。その前回のアメリカジョッキークラブカップはデキが良かった分、距離の課題も感じたのかもしれないですが、今回はそこが上手く噛み合ってくれるのか、というところです。
-:現状は枠も決まっていませんし、頭数も少ないですが、内枠でもやれる馬ですよね。
圭太:ええ、そこらへんは全く問題ありません。使ってきた強みを活かせれば。
-:土曜の騎乗馬では、中山3R(3歳未勝利)のディアバビアナ(牝3、美浦・高橋裕厩舎)ですが、前走はまさか差されるとは思いませんでした。
圭太:やや勝ち味に遅い面はあるかもしれませんね。ただ、東京の方が走りやすいタイプかもしれません。千二になるので、そこをどれだけ持っていられるか。
-:8R(4歳上500万下)のライバーバード(牡4、美浦・手塚厩舎)は前回2着。富里特別のトータルソッカー(牡4、美浦・尾形充厩舎)は久々ですが、勝ち星を挙げたコンビですね。
圭太:ライバーバードは良くなっていますね。競馬も上手になってきましたよ。トータルソッカーは未勝利時代から能力は感じていた馬。尾形先生も今週で最後ですが、800勝にリーチをかけているだけに、貢献できたら。もちろんその前に勝っていただければ、何よりですが。
-:先週のその他のレースでは、テーオービクトリー(牝4、栗東・岡田厩舎)はどうでしたか?
圭太:前回乗せていただいた時は結果が出せませんでしたが、その後も走っていますからね。そう考えると、乗り方が良くなかったのかなと考えました。距離が長い分、追走は楽になりましたし、良い位置で競馬が出来たのですが、もしかすると、距離はもう少し短い方が決め手は活きるのかもしれないですね。
-:このレースしかり、良い競馬はされても、勝利に手が届かずというレースの多い一週間でした。先週に限らず。
圭太:そうですね……。ただ、終わってからも映像を自分なりに見直して、反省もしたのですが、その時、その時で見え方も変わってきますよね。もちろんレースの条件も替わりますし、こういう展開、ペースになってくれれば……なんてことはザラですから。だから、面白いですね。考えるのが。
-:勝てない週ではありましたが、前向きにとらえられていると。
圭太:そうです、そうです。
-:ヒヤシンスSのダークリパルサー(牡3、美浦・金成厩舎)はどうでしたか?
圭太:外も回っていますし、前向きもあるだけに、もうひと押しでしたね。どうしてもまだ若さの残る走りなので、いつかは距離ももつのかもしれませんが、現状はこの条件が厳しかったです。
-:次は芝にも挑戦するようですね。ランドネ(牝3、栗東・角居厩舎)も勝ったと思いましたよ。
圭太:躍動感のある走りですね。大きくて、乗り味のいい馬です。すぐにチャンスは回ってきますよ。
-:先週土曜のラベンダーヴァレイ(牝5、栗東・藤原英厩舎)はどうでしたか?これは外枠がこたえたのかと思いました。
圭太:外枠もありますが、直線では苦しいのか、外に張るような走りでした。どこか具合が良くなかったのかな……。この馬では、今まで初めて経験する雰囲気でしたよ。
-:ダイヤモンドS(G3)のプレストウィック(牡7、美浦・武藤厩舎)は見せ場ある5着でしたが、あと一歩でした。
圭太:上手くいったなと思います。直線では少し耳を絞るようなところもありましたし、走れないことはないのですが、もう少し距離は短くてもいいかもしれません。
-:アイスフィヨルド(牡3、美浦・武藤厩舎)もあと一歩の2着でしたね。
圭太:このクラスでもやれなくはないですが、力んで走っているのを尻目に、勝ち馬は楽に先行していましたからね。
-:ダノンポピー(牝3、美浦・尾関厩舎)は一瞬差し切るかという手応えでした。
圭太:そうですね。ただ、ゲート練習もしているそうなのですが、ゲートが課題です。なかなか安定してこないですから。勝利は近づいていると思うのですが。
●「今まで影響を受けたことは?」読者からの質問に全力回答!
-:続いて読者からの質問です。「今までもっとも影響を受けたことはなんですか?」
圭太:最初に経験したことは、地方競馬の重賞で川島厩舎の人気馬に乗せてもらった時で、マイルグランプリ(2番人気11着)のナイキアディライトですかね。あれは、失敗した中ですごく学んだことがあったので。少なからず人生の最初のキッカケというか。
-:僕は何度か耳にした話ですが、重賞での人気馬は、それが初めてだったのですか?
圭太:多分、そうですね。川島厩舎の馬に乗ってもいなかったから。それで、川島厩舎だったから、余計に色々感じるものもあって、一番大きな自分の成長というか、キッカケになりましたかね。やっぱり失敗から来るものが多いかな。まあ、デビューして最初のケガも大きかったかな。あれで、調子に乗って乗ったことでケガしたことで、何か感じたものもあったし。
「(戸崎騎手の新人時代は)何か元気な子がいるな、という印象でしたね。破天荒と言えば破天荒でしたからね。同じところで仕事をしている訳で、普段調教で乗っている姿とかも見ている訳だから」
-:その頃は、元騎手である熊野マネージャーももう知り合いだった訳ですね。
熊野マネージャー:知り合いというか、騎手同士で。
圭太:僕もまだ、デビューしたてだったからね。
-:兄弟子的な感じですか?
熊:いや、全然関係ないですよ。
圭太:厩舎は全然違いますからね。
-:若い頃の印象はありましたか?
熊:何か元気な子がいるな、という印象でしたね。破天荒と言えば破天荒でしたからね。同じところ(大井競馬場)で仕事をしている訳で、普段調教で乗っている姿とかも見ている訳だから。
圭太:酷かったよね~。
-:あれくらいのキャパですから、絶対に会いますよね。栗東だったら、間違いなく合わない人もいそうですが。
熊:多くの人が働いていますが、(大井なら)毎日会いますよ。それは挨拶くらいするし、そんなに付き合いがあるかと言うとないですけど、騎手同士はルームなどで、年代的に若い者同士で普通に話をしたりしますけどね。
圭太:誰もがこうなるとは思っていなかっただろうけどね。「ヤバいやつが来た」と思われていたくらいだから。
-:それだけ目に付くものがあったということですか?
圭太:目に付くと言っても、違う意味ですからね。だから、若い騎手にも技術だけじゃないということは言いたいですよね。
「柏木(健宏騎手)や(真島)大輔(騎手)は上手かったよね。全然俺が乗れないような馬でも、実習でアンちゃんとして来ているのにサラッと乗ってきちゃうからね。姿勢も格好良く乗っていたし」
-:技術的にはどうだったのですか?
熊:若いから、足らない部分はありますよね。デビューした時はみんなそうですけどね。
圭太:でも、下手ではなかったと思うよ(笑)。
熊:攻め馬を見たら上手くはないよ、ハハハ(笑)。だけど、みんなそうだからね。最初から何に乗っても大丈夫という子はなかなかいないからね。実習で帰ってきても、2周乗るところを3~4周持っていかれる事もあるし、危ないこともするし、迷惑も掛けるし、それくらい競走馬に乗ることは大変だからね。
圭太:柏木(健宏騎手)や(真島)大輔(騎手)は上手かったよね。全然俺が乗れないような馬でも、実習でアンちゃんとして来ているのにサラッと乗ってきちゃうからね。姿勢も格好良く乗っていたし。
-:不思議なもので、それだけが結果に反映される訳ではないですからね。
圭太:不思議というか、考えれば馬に乗せてもらうことは、技術だけじゃないということですよね。
-:今回は一質問だけで、色々と話が膨らみましたが(笑)、他にも質問は来ておりますので、引き続き紹介出来ればと思います。昨日は大井競馬場で矢野貴之騎手との対談に応じていただき、ありがとうございました!
圭太:こちらこそありがとうございました。今日、勝ったようでよかったですね。
-:また別の取材もありますが、引き続きよろしくお願いします!
圭太:こちらこそよろしくお願いします!
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は3月2日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。