'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月11日時点1556勝
エポカドーロで皐月賞を激勝!さあ反撃の東京開催へ!
2018/4/20(金)
エポカドーロと挑んだ皐月賞を見事に制した戸崎騎手。決して本命候補と目されていたわけではないだけに、誰もが驚く快勝だったのではないか。ジョッキー自身も一時の不調を払拭するかのような騎乗が続いていただけに、否応なく東京開催での挽回を期待してしまうところ。今週はレース回顧あり、雑談ありのロングバージョンでお届けする。
-:先週はエポカドーロ(牡3、栗東・藤原英厩舎)で皐月賞(G1)を勝利。おめでとうございました!
圭太:ありがとうございました!
-:反響はどうでしたか?
圭太:周りの方の喜びの声が多く、改めて応援されているんだな、周りのサポートがあってのことだと再認識させられました。
-:初めてクラシックを勝利されたわけですが、今回は格別な1勝でしたか?
圭太:僕的にはそうでもないですが、周りの方がという感じですかね。
-:ただ、この前、大井競馬場で吉井竜一騎手会長(現調教師)の引退式に行かれていて、胴上げされていましたね。
圭太:まあまあ余計でしたけどね(苦笑)。
-:動画で観ましたが、吉井会長のあとの胴上げで「オレはやらなくていいって」と言っていましたね。やっぱり大井に行かれると、ホーム感があるのかなと、観ていて思ったのですが。
圭太:まあ、そうですね。一緒に乗っていた騎手たちも多くいますので、いまだに受け入れてくれていますよね。
-:今年は決して順当に勝てていたわけではなかったのも事実。それでも、良い節目で勝てたのかなという感じがしますが、レース前の心境としてはいかがでしたか?今回は気楽に乗れる部分はあったのではないかと思います。
圭太:そうですね。正直(7番人気で)そんなに人気もなかったのも良かったのでしょうが、藤原先生(英昭調教師)からの指示が細かくありましたからね。それに近付けるように乗れば良いなという思いでした。自ずと結果が付いてきましたけどね。
-:あまり突っ込めない話ですが、戦前の藤原先生の指示はどうだったのですか?
圭太:色々なパターンを想定しましたよ。周りの出方もありますからね。
-:あの3頭が前を引っ張る形になるというのは、想定内でしたか。
圭太:どの馬が行くか分からなかったですし、どれが前に行くか分からないが、前に置けたことと、それ以上にペースが速くなったのは、良かったとは思いますね。
-:エポカドーロの状態は、前回よりも良くなっていたということでよろしいですか。
圭太:はい。返し馬から違いましたからね。
-:今回は、頻繁に馬場にも出てチェックされていたそうですね。
圭太:最近は気になった時には確認しに行っていますけどね。中山開催だけではなく、東京でもやっていましたけどね。
-:そうだったんですね。チェックされた上でレース前の中山の馬場はいかがでしたか?
圭太:やっぱり内はタフですから、良いところを走った方が良いかなと思いましたね。
-:その点、前に行く馬が何頭かいて、離れた2番手集団で、多少内を空けて回れたのも良かったわけですね。
圭太:そうですね。一番は位置取りもありましたし、3~4コーナーで馬場の良いところを走れるよう外目を回るところがポイントだったと思うので、それが本当に上手くいったので、良いレースが出来たかなと思いますけどね。
-:「今日は勝てる!」とは、どこで確信されたのですか。
圭太:いや、ゴールするまで分からなかったですよね。
-:僕もちょっと先入観がありましたが、最後は想像以上の良い伸びをしていましたからね。
圭太:ええ、前走よりも良くなっていましたからね。
-:レースについては、また何度かお話を聞くことがあると思うので、その時に取っておきたいと思います。その他のレースもちょっと伺えればと思うのですが、先週の(3歳500万下の)ラストプリマドンナ(牝3、美浦・和田郎厩舎)は差しての勝利だったのですが、いかがでしたか。
圭太:もともと、イメージ的には後ろから差した方が良い脚を使えるんじゃないかとは、感覚としてありました。ただ、あえて後ろから行った訳ではなく、ゲートで大人しさがなくて、出遅れて後ろからになって功を奏した形ですね。前走は前目で競馬をしましたけども、それよりも決め手が活きましたよ。
-:今回は能力の差も感じる勝ちっぷり。やっぱりあの形の方がベストということですね。山藤賞2着のニシノベースマン(牡3、栗東・森厩舎)は、僕も元から勝ち馬(フィエールマン)は強いと思っていたのですが、それ以外には先着している結果だったので、人気を考えればビックリしました。
圭太:ずっと前に行っての競馬だったみたいですが、今回は最後を伸ばすイメージで、ということで、上手く走ってくれました。福島で勝ったイメージで乗って、良い形の競馬が出来たかなと思いますね。
-:下総S1着のヨシオも人気はしていましたが、まさか逃げ切るとは思わなかったのですが、渋太かったですね。
圭太:そうですね。強かったですね。モマれない競馬を意識していましたし、上手くゲートを出てくれて、良いペースで行けましたね。状態も良かったと思います。
-:利根川特別1着のテイエムコンドル(牡7、美浦・石栗厩舎)はどうでしたか。
圭太:展開に左右される部分があるかなと思いましたが、ペースも速くなって流れましたので、ハマったような形になりましたね。そうすると、終いは良い脚を持っていますので、この馬らしいレースが出来た感じですね。
-:京葉S11着のタイセイスターリー(牡4、栗東・矢作厩舎)は、ダートだとどうでしたか?
圭太:ダートどうこうよりも、外に逃げて走っていましたね……。
▲賞金を加算したいサンライズノヴァ G1でも4着の実績はここでは一枚上だが
-:前からそういうところがありましたよね。今回はそれで戒告を受けたと。今週は東京に移りますが、注目は土曜メイン(オアシスS)のサンライズノヴァ(牡4、栗東・音無厩舎)と思いますが、いかがでしょうか。
圭太:勝って賞金を加算したいところですね。今年のフェブラリーステークスも出否があやうい身でしたからね。コースも得意としていますし、58kgは楽ではありませんが、戦ってきた相手が違うのでね。
-:同じく土曜では、府中Sのサンティール(牝4、美浦・鹿戸雄厩舎)は勝たれて以来の騎乗ですね。
圭太:乗せてもらった時も、良い脚で勝たせてもらって、昇級してからも良いレースをして勝ちましたからね。以前よりも良いレースが出来ているし、力を付けていると思いますよ。
-:土曜3R(3歳未勝利の)ディアバビアナ(牝3、美浦・高橋裕厩舎)はおなじみの存在ですが、東京の方が良いですね。
圭太:そうですね。(東京の方が)良い走りはしていましたのでね。状態も維持し続けてくれている印象で、決めたいですね。
-:日曜だと、フローラS(G2)のノームコア(牝3、美浦・萩原厩舎)ですが、これは初騎乗だけに印象だけ伺えますか?
圭太:僕が他の馬に騎乗して、福島で一緒に新馬を走った時に良い勝ち方をされた記憶があります。競馬を自分からつくっていけるような感じもあるので、楽しみだと思います。ペースも決して遅くはなかったですからね。
▲フローラSに挑むノームコア 前走は重賞でも3着に好走
-:石和特別のコーカス(牡4、栗東・藤原英厩舎)はどうでしょうか。藤原先生とのコンビで注目されそうですね。
圭太:ちょっと空いてはいますが、成長しそうな雰囲気も感じていました。乗ること自体、久々なので、成長を感じ取れたらという楽しみはありますね。
-:しかし、先週は久々に中山に行ったのですが、やたらとお客さんが騒いでいた印象でした。よく分からない声援もけっこう多かったですね。
圭太:あれはちょっと控えてもらいたい感じですね。毎レース、毎レース。
-:一時よりけっこう酷いですよね。
圭太:そうですね。この間は久々に酷かったですよね。
-:こんなんだったかなと僕も久々に行って、思いましたけどね。
圭太:う~ん、言って楽しんでいるのか、分かんないですけどね。周りが喜んでいるのを見て、楽しんでいるのか、分かんないですけど。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。