'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
今季G1・2勝目に僅か・・・ 今週はサンライズノヴァなど土日メイン有力馬とタッグ!
2018/6/8(金)
日本ダービー、安田記念と連続2着。勝利にこそ手が届かなかったものの、人気以上の成績を残した戸崎圭太騎手。上半期のJRAG1は宝塚記念を残すが、先週で春の東京G1・5連戦もひと区切り。今年は一時スランプに陥るも、初のクラシック制覇などG1で活躍したことは収穫といえるだろう。トータル的には、例年とは異なる流れだったが、これまで通りならば夏場は勝ち星量産のシーズン。2歳新馬との出会いも含め、今後の騎乗もさらに注目だ。
-:先週の安田記念(G1)はアエロリット(牝4、美浦・菊沢厩舎)に騎乗して惜しくも2着。あと一歩でした…。レース直後にもお話させていただきましたが、いかがでしたか?
圭太:馬はすごく状態がよくなっていましたね。ハナにいってもいいと思っていましたし、ある程度主張はしようと思っていました。
それでも、枠の並びをみた上では外の馬が速そうだと予感していた通り、外のほうが速くて。控える形にはなったのですが、いい形で抜け出せて、もう少しのところでした。
▲安田記念のゴール前 右から2頭目が戸崎騎手騎乗のアエロリット
-:後から聞いたところでは、直線では落鉄していたようですね。エポカドーロ(牡3、栗東・藤原英厩舎)しかり、落鉄の影響もあったとは思いますか?
圭太:いやあ、馬場もよかったし、どこまでのものかはわからないです。それに、どうこういっても結果しか残らないですからね。レースに乗っていたらわからないですし。
-:安田記念でいえば、リアルインパクトなども直線で落鉄していたのを思い出しますが、着差が着差だけに……。
圭太:でも、今年は特にいいメンバーでしたし、接戦ではありますが、なにか差してくるのがG1ですからね。甘くはなかったです。ただ、レース運びは上手くいったのかなとは思っています。
-:結果的に、アエロリットにとって速い馬場のほうが向いているのでしょうか?個人的には、牡馬勝りの馬格や血統をみると、時計が掛かっていいタイプと思っていました。
圭太:速くなくてもいいとは思いますが、良馬場や乾いている馬場のほうが僕は向いていると思いますね。
-:それにしても、惜しいレースでした。今週の話題もお願いしたいのですが、土曜のアハルテケステークスにはサンライズノヴァ(牡4、栗東・音無厩舎)と挑まれます。今春の東京は3度目ですね…。
圭太:はい。毎回、斤量を背負っている中で後ろから差してきて、常に頑張ってくれているので、あとは結果(勝利)だけと思うのですが…ここ2戦とも前残りの馬場で、差してくれていますから。馬は走ってくれています。
-:ただ、今回も前が速くなるかな…という懸念もありますが。
圭太:強いていえば、馬場が渋ったほうが走りやすい印象はありますね。まあ、馬場は乾いているんでしょうけど。できれば外枠のほうがしやすいですね。
-:今年の重賞は外枠でしたが、外枠のほうがいいのは待たされない枠だったり、モマれ弱さからですか?
圭太:モマれる面は問題ないですね。ただ、ゲートを一緒に出ても分が悪いし、中山で内枠を引いて馬群で走った時の成績を考えても、この馬のよさは末脚だと思います。それを序盤から脚を使ってしまうと、というところがあるんですよね。これはあくまで僕の意見ですけどね。その中山の時だって、リズムよく走れてはいるんですけれど、フットワーク的に小細工が苦手な馬だと思いますからね。それだけに内枠でスタートも一緒に出てしまうと、逆にやりづらいと思うんですよね。
-:確かに走りをみていても、それは感じますね。フェブラリーSでも4着に来るほどの力はあるのに、師走ステークスではピリっとしたところがなくなだれ込むように観えました。
圭太:僕の感覚が合っているかどうかはわかりませんが、今回こそは、という思いはあります。
-:日曜のエプソムカップ(G3)のサトノアーサー(牡4、栗東・池江寿厩舎)はどうでしょうか?これはテン乗りですね。
圭太:3歳の頃からクラシック戦線で活躍していましたし、成長もしているでしょうから、楽しみですね。
-:日曜の多摩川ステークスに挑むプロディガルサン(牡5、美浦・国枝厩舎)はどうでしょうか?2走ぶりの騎乗になります。
圭太:気性的に難しいところがあるので、その点に気をつけて乗りたいと思います。能力は上でしょうからね。
-:乗られていないタイミングですが、道悪に実績のある馬。日曜は雨が降るようですね。
圭太:う~ん、決していいとは思わないですけどね。実績があるならそこに期待ですね。
-:小金井特別にはビックリシタナモー(牡4、栗東・音無厩舎)が出走します。前回、追い込んで2着でしたね。
圭太:惜しかったですねえ。後方からいい脚のイメージで、展開に左右される部分はあるのでしょうが、降級もしていますから。
-:先週のレース回顧に戻らせてもらうと、ヨシノザクラ(牝5、美浦・萩原厩舎)は2着。久々の騎乗で、千四という条件でしたが、あと一歩でした。
圭太:枠順的にこの馬にとっては…と思いましたが、最後はいい脚で突っ込んでくれました。僕のイメージでは距離も幅広く、千四からいけると思いますし、乗りやすさもあるので面白い馬だとは思っています。後ろからになるのは想定していましたし、最後は伸びてくれましたから。距離も広いコースなら千四以上あれば、どこでも走れそうかと思います。
-:アルミレーナ(牝4、美浦・国枝厩舎)は降級でしたが、こちらも2着でしたね。
圭太:以前乗ったときはテンションも高くて、ゲートもあんまりよくなかったのですが、今回は落ち着いていて乗りやすかったですね。勝った馬が強かったですね。陣営もゲートを考慮して、調整してきたようで、その甲斐はあったと思いますね。
-:サトノグラン(牡4、栗東・矢作厩舎)は馬場もあるのでしょうが、好時計での勝利でしたね。
圭太:先生から長くいい脚を使えるので、早めに踏んでいっても、という指示はありました。ペースも速かったですし、速いほうが向きそうな印象も受けましたが、すごくキレましたね。馬もよくなっているのでしょうし、一頭だけ違う競馬。これなら上のクラスにいってもやれるんじゃないかと思いました。
-:キャンディケイン(牝3、美浦・鹿戸雄厩舎)も久々を物ともせずという勝ちっぷりでしたね。
圭太:ブランクは特に感じませんでしたし、上手に走ってくれました。スタートは遅かったですけれど、楽に集団へ取り付いてくれましたよ。
-:ネイビーアッシュ(牝3、美浦・萩原厩舎)でも勝たれましたね。
圭太:身体にゆるさはありますし、テンションの高さも課題ですが、前走をみても力は上なのだろうと思っていたとおり。勝ててよかったです。
-:レース回顧はここまでですが、香港のジョアン・モレイラ騎手がJRA移籍を目指すという話も。
圭太:ねえ。僕もニュースで知りました。日本の競馬もよりレベルが高くなりますね。大変な時代だと率直に思いますし。
-:上半期のG1シリーズは残念ながら帝王賞の騎乗はなく、宝塚記念(パフォーマプロミス)も残しているものの、振り返っていただくとどうでしょうか?
圭太:初めてクラシックを勝てたことは本当によかったと思いますし、ダービー、安田記念と惜しい競馬が続いているので、勝ちたかったところです。今後は勝負強さを高めていければと思います。ただ、今までにない成績は残せているので、馬もよく走ってくれたし、2着が多いところはアプローチ力を高めていければと思います。
-:今後のスケジュールは把握しかねておりますが、アエロリットの今後の可能性についてはどう思われますか?東京マイルがベストとは言われていますが、秋はそういうG1もないので。
圭太:僕は直線でのモタれ方をみると、決して左回りにこだわらないのかと思いますし、ハナにこだわったほうが持ち味は活きるんじゃないかと思っているんです。ただ、距離が延びればまた違った相手もいますからね。僕の意見ではそう思いますね。
-:最後に、今週の東京ダービー(S1)はどう感じられましたか?
圭太:いちファンのように楽しく拝見させてもらいましたが、また的場(文男)さん、2着かぁ…というね(苦笑)。人気のない馬でよく走らせているという印象は受けましたけれど、また来年も頑張ってほしいですね。
-:この前、対談させてもらった矢野貴之騎手が勝たれましたね。
圭太:初めてでしたし、それは率直におめでとう、という思いですね。
-:佐藤賢二厩舎が連覇と。
圭太:僕も大井にいた頃、たくさん乗せていただいていましたが、川島(正行)先生と並んでスゴい仕上げを施される先生ですからね。今年も東京プリンセス賞というJRAならオークスも勝っていますし、もともとスゴい腕の厩舎・先生ですが、改めて感じましたね。
-:そして、再来週はイベントもありますが、こちらもよろしくお願いします!
圭太:わかりました。何かプレゼント用に持っていけるものがあるか、探しておきます。
-:当日はよろしくお願いします!
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は6月15日(金)に更新予定です!
▲戸崎圭太騎手が再び出演!6月21日(木)、LOFT9 Shibuyaにて開催
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プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。