'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
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【番外編】イベントレポート(中) アーモンドアイ&エポカドーロとの出会いを振り返る!
2018/7/11(水)
『生うまトークサミット』イベントレポートの続編は、戸崎騎手自身は代打騎乗となったシンザン記念、そして、初のクラシック制覇となった皐月賞について。シンザン記念は後に2冠を制することになるアーモンドアイとコンビを組み、牡馬クラシックはエポカドーロと戦い抜いたが、いずれも秋以降の活躍が期待されるところ。レースのポイント、そして、将来性はどれほどのものか。イベントならではの本音トークで感じ取れる貴重な証言となるだろう。
MC・水上学:時系列はちょっと逆になりますけど、牝馬ということの並びで、ここでちょっとアーモンドアイ(牝3、美浦・国枝厩舎)の手綱を取ったシンザン記念も振り返ってほしいと思います。代打騎乗と言いますか、この時はまだその後に2冠を獲るということは、当然まだ分からなかったことですが、事前に新馬戦とか未勝利戦はご覧になっていたと思います。この時はどんな印象でしたか。
戸崎圭太騎手:率直に勝てるなと思いましたね。
ファン一同:どよめき
水:それだけ抜けた馬だというのは、早い時期からジョッキーたちの中では分かっている方がいたということですね。
競馬ラボ小野田:未勝利戦を観て、そういう印象があったということですか?
圭太:そうですね。僕は乗っていなかったんですけど、強い馬だなと。
小:レース前には追い切りには乗っていましたもんね。
「実際に乗っても素晴らしい馬だなという印象でしたね。なかなか巡り逢えない馬なのかとも感じました」
圭太:ですね。実際に乗っても素晴らしい馬だなという印象でしたね。なかなか巡り逢えない馬なのかとも感じました。
水:それほどですか。3歳1月の時点では「なかなか巡り逢えない牝馬だった」ということですけど、具体的にはどんな点が良かったですか。
圭太:バネも良かったですし、馬の芯もあり、馬のバランスも良く、力強さもありましたし、フットワークに関しては何の申し分もない感じでしたね。
小:僕は毎週話を聞かせてもらっているんですけど、戸崎さんは“正直”なので、アーモンドアイの話の声のトーンで、これはスゴいんだと分かりましたからね。これは毎週聞いていないと分からない特権だと思いますが。
水:いつも慎重に淡々としゃべられますけど、声のトーンが違うと。
小:全然、違いましたね。僕が聞いていて、それだけスゴいんだと思いましたね。声のトーンで何となく分かることがあるから。
圭太:ハハハ、バレないように気を付けますね(笑)。
▲シンザン記念時、アーモンドアイの最終追い切りに騎乗する戸崎騎手
水:そのシンザン記念ですけど、3枠3番でこの日はけっこう雨で、京都はかなり道悪だったと思いますけど、そういった馬場でもそんなに気にならないという感じでしたか。
圭太:そうですね。
水:勝ち時計も1分37秒1でしたからね。頭数は比較的少なめだったんですけど、後で思えば、このメンバー相手に100回やっても負けないだろうという、ちょっとそれくらいのメンバーだったと思うんですけど、実際に乗っていて「重賞1個もらい」とおっしゃっていましたけど、後ろからの競馬になりましたが、全く不安はなかったですか。
圭太:スタートで出遅れた時は、やっちゃったのかなと思いましたけど、自信はありましたので、あとは馬のリズムを崩さずに、競馬の流れで行けば良いかなと思っていましたね。
水:(道中は)後ろから2頭目でしたけど、すでに射程圏に入っているんじゃないかくらいでしたね。
圭太:そうですね。馬場が悪くて緩かったので、前残りが一番怖いかなと思っていましたので、それだけ気を付けて乗りましたね。
水:多少、外を回ってコースロスがあったとしても、とにかく進路を空けて、不利を受けないようにという感じでしたか。
圭太:はい。直線の脚はスゴかったです。僕も驚かされました。
水:アーモンドアイの上がりが34秒4で、2番目に上がりの速い馬が35秒5ですから、3ハロンで1秒1違う訳ですからね。それが牝馬ということを考えれば、本当に強いなと思いましたけどね。戸崎さんは本番の桜花賞ではプリモシーン(牝3、美浦・木村厩舎)、オークスではロサグラウカ(牝3、美浦・尾関厩舎)に乗って、アーモンドアイと一緒に走る訳ですけど、同じレースに乗ってみて、アーモンドアイの強さはどう見えましたか。
圭太:あの馬の一度でも跨がれて、感触を得られたというのは財産ですし、すごく光栄に思えましたよね。ただ、シンザン記念の後も乗せていただければ良かったなと思いますし、やっぱり乗れないことも自分の力だと思いますし、その辺は色々と思うことはありましたね。言ってしまえば、シンザン記念は誰が乗っていても勝てたかなと思いますから。
水:逆に言うと、桜花賞とオークスは違う馬に乗った訳ですけど、少しでもあの馬を封じるためにはどう乗ったら良いかとかありましたか。
圭太:違う馬に乗っている訳ですから、それはやっぱり思いますよね。特に桜花賞などはやっぱりアーモンドアイよりも先にいて、というのが理想でしたけど…。
水:何かあれば、相手の差し損ねを狙うためにはやっぱり前で競馬をしないと、ということですね。プリモシーンも前に壁をつくり辛い枠(15番)に入って、かわいそうなところがありましたよね。
圭太:そうですね。ちょっとテンションがいつも以上に上がってしまったので、力を発揮できずに終わってしまったかなと思いますね。
小:オークスの前などにもアーモンドアイの印象を伺いましたが、同世代同士ではやっぱり素質が抜けているとおっしゃっていましたよね。距離も素質が違うぶん、問題にならないのではないかと。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。