'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月18日時点1558勝
3日間開催は東京で騎乗!サトノアーサー、サンライズノヴァなどとタッグ
2018/10/5(金)
計23鞍で勝ち星を積み重ねたい。東京・京都開幕週の今週は3日間開催。月曜には盛岡で南部杯も行われることもあり、3日間の中で騎乗場所を転々とするジョッキーもいるが、戸崎騎手は東京に腰を据えて臨むことになる。秋のG1向けて始動する馬もいれば、賞金を加算した馬など見どころの多いラインナップ。活躍を期待したい。
-:中山開催最終週の先週はスプリンターズS(G1)が行われましたね。今年はレッドファルクス(牡7、美浦・尾関厩舎)と共に挑まれ、10着。現場でもレースを拝見しましたが、戦前は「暗雲」も立ち込めていた感がありましたが…。
圭太:条件的にはそうですね…。段々と悪いほうに向いているな、とは思いました。先にいった馬、内枠が有利な馬場になってしまいましたから。状態そのものは悪くないと感じていましたし、前目につけられたらとは思っていたのですが、普段差す競馬をしているような馬でしたから、なかなかそうもいきませんでした。
-:その直前の勝浦特別を逃げ切り勝ちされたわけじゃないですか。あれを観て、前が有利だと感じるファンもいたと思いますし、実際乗って勝たれているわけで、嫌な予感はあったのでは、とレース前は感じましたよ。
圭太:普通なら雨が降れば、内側を避けるものなんですけどね。それだけ中山の馬場状態といいますか、路盤の水はけもいいのでしょうね。水分は含んでいて、緩さは確かにあるのですが、路盤の水はけでカバーされてしまう感じでした。日曜午前などは重馬場でしたが、良馬場のようでしたから。サフラン賞もスローとはいえ、逃げ切りでしたよね。
-:しかも、故障した香港の馬のアオリを多少受けるところもありましたね。
圭太:そうですね。さすがに1200mは忙しい感はありましたが、走っても不思議ではない雰囲気を感じていただけに残念でした。不運続きだったと。
-:話題はかわって今週は3日間開催ですね。今週は扱う頭数が多いこともあり、駆け足になりますが、解説いただければと思います。土曜、サウジアラビアRC(G3)は騎乗予定馬が残念ながら回避とのこと。日曜の2R(2歳未勝利)にはウインレフィナード(牡2、美浦・畠山吉厩舎)が出走。これは初勝利のチャンスが近い存在じゃないでしょうか。
圭太:毎回、いい競馬をしてくれますよね。これだけ使っているので疲れがないか心配ではありますが、現状なら東京の方がいいんじゃないでしょうか。競馬が上手な馬だと思います。
-:7R(3歳上500万下)のフィスキオ(牡4、美浦・栗田徹厩舎)は前走で勝利されて、降級というパターン。ただ、展開も向いたのではないでしょうか。テレビ静岡賞のイーグルフェザー(牡5、美浦・小笠厩舎)も同様に前回騎乗されています。約4ヶ月ぶりのレースです。
圭太:フィスキオについては、それはいえそうですね。中間の状態も分からないですが、今回も流れが向いてくれれば。いい末脚のある馬ですね。東京が合う印象です。
-:毎日王冠(G2)にはサトノアーサー(牡4、栗東・池江寿厩舎)が登場。エプソムカップを制して以来のレースではありますが、同じコースだけに力の入るところですね。
圭太:前走のレースからも楽しみにしていました。今回は馬場もよさそうなだけに、どんな競馬になるかは未知数ですが、前回の雰囲気からはまだ伸びしろがありそうですからね。コースは問題ないと思うのでいい競馬をみせてほしいです。
-:月曜では2R(2歳未勝利)にアントリューズ(牡2、美浦・栗田徹厩舎)が出走。血統だけみると、決して前走のような競馬にはならないと思うのですが…。
圭太:素質はある馬だと思います。ただ、前回も言ったかもしれませんが、ノドの課題がある馬で、そこさえよければ…。先週乗せてもらったところ、良さは感じましたよ。
-:新馬のダノンキングリー(牡2、美浦・萩原厩舎)にも追い切りで乗られたそうですね。
圭太:乗せていただきました。緩さはありますが、フットワークがよくて、いい馬ですね。攻め馬では身体のこなしもいいのですが、すごく元気で落とされそうになるほど。レースではいい方に能力を発揮してほしいです。
-:六社ステークスのルックトゥワイス(牡5、栗東・藤原英厩舎)、グリーンチャンネルCのサンライズノヴァ(牡4、栗東・音無厩舎)などはおなじみの存在ですね。
圭太:ルックトゥワイスは力的には勝っておかしくない存在。コーナーで急かされることのない東京のこの距離はいいですね。サンライズノヴァは能力上位ですから。あとは流れが向いてくれれば。
-:その他のレース回顧もお願いします。スプリンターズS直前の芝1200m戦、ラフィングマッチ(牡3、栗東・北出厩舎)で逃げ切りでしたね。
圭太:逃げる形がいいかなと思っていました。他にも速そうな馬はいましたが、スタートも速くて上手く自分の形に持ち込めましたね。
-:サフラン賞のブルーグローブ(牝2、美浦・矢野英厩舎)は中1週。新馬戦では折り合い面やテンションを懸念されていたようですが、スローペースながらも克服しましたね。
圭太:初戦がいい勝ち方をしていましたし、素質もあると思っていました。折り合いの心配もありましたし、位置をとりにいくことはなかなかできませんでしたが、スローの中でも我慢してくれましたよ。テンションも上がることなく、こらえてくれましたね。
-:テンワールドレイナ(牝3、美浦・矢野英厩舎)は惜しくも2着。勝ち馬が強かったかな、と思いました。
圭太:いい競馬をしてくれました。なかなか上手くいったと思ったのですが…。
-:新馬戦のエクリリストワール(牡2、美浦・田中博厩舎)は2着でしたね。
圭太:追い切りにも乗せていただき、素質は感じていました。芝にいってよさそうなタイプでしたね。返し馬も元気なところをみせたり、追ってから頭が高かったりと課題はあるので、そこがよくなってくれればと思います。
-:タイキメサイア(牡3、美浦・高橋祥厩舎)も最後突っ込んできての2着でした。
圭太:イメージでは東京の13や1400が合いそうな馬と思っていましたが、中山の1200は合いますね。ただ、休み明けの分、序盤で行き脚がつかなかったです。このクラスを勝てる能力はあるはず。今後も楽しみです。
-:フリージングレイン(牡4、美浦・古賀慎厩舎)も惜しい競馬でしたねえ。
圭太:いい馬ですね。スローペースの中、上手く立ち回ってくれました。勝ち馬には上手いことやられてしまいましたが、フットワークもいい印象ですよ。
-:ヒカリトップメモリ(牝5、美浦・池上和厩舎)は何度も話題にしてきた馬でしたが、久々の騎乗でしたね。
圭太:う~ん、いい頃に比べると少し反応が鈍くなった感は正直受けました。昔はもっとセンスのよさがありましたからね。厩舎にも、今後は13や14、1700mなどを試してもいいんじゃないか、とは話をさせてもらいましたよ。
-:ミッキーマンドリン(牝3、美浦・萩原厩舎)は3歳未勝利戦最終週をモノにしましたね。
圭太:正直、弾け方は前回のほうがよかったですね。ただ、しっかり差し切るあたり、ここでは力上位だったということでしょう。
-:そして、火曜日は金沢で騎乗。白山大賞典(Jpn3)のドンフォルティス(牡3、栗東・牧浦厩舎)は距離の問題でしょうか?
圭太:いや、どうもレースでの集中力がひと息でした。返し馬ではいい雰囲気を感じたほどだったので、これはチャンスがあるかなと思ったのですが。
-:今週は関西では火曜に競馬が行われる変則開催。東京は3日間連続となるわけですが、改めて3日間開催はすきなものですか?
圭太:楽しいですね。それだけレースに乗れるわけですから。南関東の時のように毎日だと、なかなかメリハリがつかないところもあったのですが、これくらいならどうってことないです(笑)。
-:来週からは再び国内G1。京都への遠征も続くと思いますが、改めてよろしくお願いします。
圭太:ありがとうございます。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は10月12日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。