'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月23日時点1569勝
ランドネと中山牝馬ステークスへ!日曜は桜花賞TR・アネモネSで権利獲りなるか?
2019/3/8(金)
コース替わりで巻き返しなるか。中山牝馬ステークスは前走の愛知杯に続き、ランドネとのコンビで挑む戸崎騎手。牝馬ながら500kgを超す雄大な馬格も、前々でしぶとさを活かすタイプだけに、中山替わりはプラスに思えるパートナーだ。また、桜花賞トライアルのアネモネSを含め、先週以上の成績が残せそうなラインナップ。固め打ちも期待したいところだ。
-:まず、先週は落馬事故もあり、重い週でしたね。報道にもある通り、北村宏司騎手が骨折などの負傷ということで。
戸崎圭太騎手:そうですね。色々ありましたね…。
-:あのケースは後続に絡まれたことが良くなかったのですかね。奇しくもルーキーのデビュー戦でもあったり、後続には瞬時の反応がし辛いケースだったと思います。
圭太:大体、大きな事故は落ちた直接の衝撃よりも、後続に絡まれて、というケースが多いですからね。落ちた時に骨折することもありますけど、後続から来た馬との接触で大怪我になる場合がありますよね。
-:何か改めてああいう事故を見ると、無事に競馬に乗り続けること、もちろん制裁を受けないような騎乗でレースに乗ることも大事なのかなと思いました。
圭太:そうですね。
-:今週のレースを伺いたいのですが、中山牝馬S(G3)のランドネ(牝4、栗東・角居厩舎)は引き続きの騎乗となりますね。前回は3着でしたが、中山は走っているコースでもありますね。
圭太:コース替わりもそんなに問題ないと思います。この馬の良さを活かした競馬をしたいなと思いますけどね。今回は同型馬もいるので、その辺のペースの兼ね合いという気もしますね。
-:「この馬の良さを活かしたい」と聞いた時に、今回はけっこう行く馬がいるよな、と率直に思いました。
圭太:そうですね。ただ、ハナに行かなくても競馬は出来ているので。気性的にハナにこだわらないと競馬ができないタイプではないですから。
-:しかも、木曜日はすぐに雨が止むのかなと思ったら、まだ降っていましたから、馬場は悪くなりそうなのかなという気がします。そこはむしろ良さそうな感じもしたのですが、いかがですか。
圭太:そうですね。あまり時計が速くなると分が悪いのかという気もしますから。
-:かといって、馬場が悪いから良いという訳でもなさそうですか。
圭太:う~ん、まあ、そうですね。程度にもよるのかなという気はしますね。
-:先週のレース、特に弥生賞前後を観ていると、3~4コーナーはかなり馬場が荒れてきていますかね。
圭太:そうですね。ただ、土曜はそこまで水分も含んでいないでしょうから。
-:日曜日の5レースくらいだったら、まだ大丈夫かなという感じでしたけど、後半戦はキツいかなという感じでしたからね。
-:しかし、牝馬としては大柄ですし、やっぱりこういうコーナー4つの条件は合いそうですよね。
圭太:そうですね。斤量も変わりませんし、うまく噛み合ってくれれば。枠もそこまで問わないので、並びは気になるところですね。
-:サンシャインSのララエクラテール(牡7、栗東・今野厩舎)は重賞ではあとひと押しが続いていましたが、今回は馬場の観点でいえばプラスじゃないでしょうか。
圭太:そうですね。それこそ今の馬場はいいですね。それに東京よりは良いかなと思いますね。
-:土曜日の中だと、2R(3歳未勝利)のイッツリット(牡3、美浦・和田郎厩舎)は前走がレベルの高いレースでしたね。
圭太:ええ、だんだんと良くなってきていますね。
-:(4歳以上500万下の)プリメラビスタ(牝4、美浦・田中博厩舎)には調教で乗っていらっしゃったんですよね。
圭太:はい、乗っていました。すごく前向きさがあるので、条件的にもダート1200mのスピードには対応出来るのかなという気はしますけどね。
-:6R(3歳500万下)のヴォイスオブジョイ(牝3、美浦・水野厩舎)は中山替わりですけど、いかがでしょうか。
圭太:この馬も前向きさがある感じの馬で、この条件でも走って、差のない競馬をしていますので、特に問題はないと思います。
-:日曜日ですと、館山特別のモクレレ(牡5、美浦・国枝厩舎)はいかがでしょうか。前回は序盤でスムーズさを欠くシーンがありました。
圭太:前走はチグハグな競馬をさせてしまって、その中で窮屈な競馬で力を出し切れずに終わっていますからね。1回叩いて良くなっているところもあると思うので、今回は力を出して、リベンジしたいなと思います。
-:3歳未勝利のブライティアセルバ(牝3、美浦・武井厩舎)は、前走の勝ち馬も強かったですね。それでも、外枠から強い競馬をみせています。
圭太:はい。ここはチャンスですね。
-:アネモネSのレッドアステル(牝3、美浦・国枝厩舎)はいかがでしょうか。追い切りに乗られたようですね。
圭太:追い切りに乗りましたけど、素質も感じるし、良い感じの馬でしたよ。トモにバネがありそうな感じで、良かったですよ。シッカリして、本格化してくるのはまだ先かなという感じですけどね。
-:天気予報がコロコロ変わっている感もありますが、現時点では日曜日はまた雨になりそうなのが心配ですかね。
圭太:そうですね。そこは心配です。
▲桜花賞トライアルに挑むレッドアステル
-:先週の勝利されたレースでは、(3歳未勝利の)ブラックアウト(牡3、美浦・岩戸厩舎)には追い切りでも乗られていたのですね。
圭太:追い切りに乗った感じも悪くなかったですし、未勝利は勝てる力があるなと感じていました。初めてのレースの形だったので、逆に良かったというか、それでも馬はシッカリ走ってくれたので、勝つことが出来ましたね。
-:序盤で違う形だったので、大丈夫なのかなと思ったんですけど、馬は勝ち切ってくれましたね。
圭太:あれを付いていってしまっても、逆に最後甘くなる可能性もあるのでね。ああいう形を取れたことで、今後に向けても良い形になったかなと思いますね。
-:(3歳未勝利の)レトロフィット(牝3、美浦・伊藤圭厩舎)はテン乗りでしたけど、いかがだったでしょうか。
圭太:返し馬から能力を感じましたし「エンパイアメーカーということで、ゲートが良くないところもあった」みたいですけど、前走くらいからシッカリ良い形でレースが出来て、そこだけ気を付けたんですけどね。ゲートを出てくれたので、強い競馬をしてくれましたね。
-:先週の土曜だと、(3歳未勝利牝馬限定4着の)カナロアガール(牝3、美浦・田村厩舎)はいかがだったでしょうか。外枠もこたえたのかなと感じました。
圭太:そうですね。やっぱりゲートの出が良くなかったので。そんなに先に行けるという感じでもなかったんですけど、出遅れがこたえたので。その後もスピードに乗れず、モタモタしていたんですけど、最後来られたのは、力で来られたのかなという感じですね。
-:あれだけサッと動かないんだったら、東京の方がまだ良いのかなという感じがしましたね。
圭太:そうですね。そんなイメージはありますね。
-:(上総S7着の)ベディヴィア(牡5、栗東・野中厩舎)は昇級でしたけど、いかがだったでしょうか。
圭太:馬は雰囲気も良く、状態も良かったですね。レース運びも、思ったよりも上手くいけたかなと思っていたんですけど…、直線ではクラスが変わったことによる結果なのかなと思います。クラス慣れも必要ですかね。
-:(4歳以上1000万下2着の)レッドアネラ(牝4、美浦・加藤征厩舎)は押し切ったかなと思ったんですけど、勝ち馬(テーオージーニアス)がすごい脚でしたね。
圭太:テンションが上がるような感じもありましたけど、落ち着いて走ってくれていましたし、すごく状態の良さを感じましたね。勝ちたかったですけど、相手も良い脚でしたね。
-:並ぶ間もなかったですからね。日曜日の(3歳500万下9着の)ジュンアサヒダケ(牡3、美浦・高柳瑞厩舎)は、勝った時の勝ち時計は少し足りなかったのですが、僕はもう奥があるのかなと思ったんですが、いかがでしたか。
圭太:僕もそんなイメージでしたけど、時計が…。レース運びは上手くいったんで、もう少し伸びてくれるかと思ったんですけどね。多分、最後は気性で伸び切れていない感じがしますね。
-:人気馬のゴルトマイスターが出遅れて、外を回って被せられたことも良くなかった感じですか。
圭太:いや、前走もそんな感じで差し返していますのでね。
-:(4歳以上500万下6着の)アークカンパネラ(牡4、美浦・矢野英厩舎)は、もう少し控えた方が良かった感じですか。
圭太:おそらくすごく具合が良いんですよね。ゲートも調子が良い時はパンと出ていくので、そんな形から…。本当はジックリ行きたくて、スムーズに行かすならスッと行かせて、スムーズに走らせても良いんでしょうけど、それだと厳しくなるのかなという考えがあって、本当は下げて落ち着いて走れると、最後に脚を使ってくれるイメージなんですけど、チグハグになっている感じですね。距離を縮めた方が良いのか、何とも難しいところですけどね。
-:でも、こういう馬を上手くのりこなすというのも面白さであったりする訳ですよね。
圭太:まあ、そうですね。
▲水曜、栗東トレセンでシャケトラに騎乗する戸崎騎手
-:出入りの激しい展開になった上に、前にいる形になったのがあまり良くなかった感じですかね。皐月賞以来となった(スピカS7着の)プロフェット(牡6、栗東・池江寿厩舎)はいかがだったでしょうか。
圭太:思った通りだったんですけどね。一つ言えるのは、先生からの指示は「行き脚がついたら、今日はハナに行ってみてくれ」ということでした。ゲートは出てはくれたのですが、その後はスピードに乗れずに行けなかったので、指示通りの競馬は出来なかった感じですかね。
-:先週伺い忘れたのですけど、2週前の(3歳未勝利4着の)イデアノオモイ(牝3、美浦・柄崎厩舎)はいかがだったですか。上がりはいい脚でした。
圭太:いや~、難しいタイプの馬ですよね。競馬に参加しちゃうと、最後脚を使えないタイプの馬ですよね。
-:ちゃんと平均的に力を出し切れるようだったら未勝利は勝てそうな…。
圭太:まあ、そうですね。
-:こちらも先々週の4歳以上1000万下10着の)ジオラマ(牡6、栗東・西園厩舎)はやっぱり今までを踏まえて、控えて、という考えもあったのですか。
圭太:そうですね。チグハグな競馬になってしまいましたね。先入観に捉われ過ぎちゃったなというところもありましたね。
-:状態はいまだに大丈夫だったのですか。
圭太:引き続き状態は良かったですよ。それだけに勿体無い競馬になってしまいました。
-:水曜は栗東トレセンでシャケトラ(牡6、栗東・角居厩舎)の追い切りにも乗られたようですが、次週は中山と阪神での騎乗ですね。阪神大賞典(G2)も楽しみにしています!今週もありがとうございました。
圭太:ありがとうございました。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は3月15日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。