'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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エポカドーロと適性見込める舞台・大阪杯で反撃へ!
2019/3/29(金)
皐月賞の再現へ。昨年、日本ダービーで2着、皐月賞1着など、戸崎騎手とのコンビでクラシック3冠に皆勤賞の活躍をみせたエポカドーロ。4歳初戦の中山記念では5着に敗れてしまったものの、昨秋よりもデキを持ち直していたというのは好材料だろう。今回は皐月賞と同じ距離、コーナー4つの競馬。幸いにも?逃げ馬が少ない。前走以上のメンツが揃うことは事実だが、得意条件で昨年の激走再び、となるのか。器用さを引き出す鞍上の手腕にも注目したい。
-:今週は大阪杯(G1)ですね!そのパートナーとなるエポカドーロですが、前哨戦の中山記念は残念ながら5着でした。僕は距離も詰めたことはいい材料と思っていただけに、もうひと押しほしい感は受けましたが、いかがでしたか?
戸崎圭太騎手:やっぱりベストの距離は1800~2000じゃないですかね。レース運びは先生とも作戦を立てて、去年の皐月賞やスプリングSに似たようなイメージ通りにレースは進んだかな、と思います。
-:作戦を立てられて、想定していた流れと同じだった感じですか。
圭太:そうですね。
-:あの形以外で考えていたケースはありましたか。
圭太:いや、ないですね。出遅れたら別ですけど、普通に出れば、スムーズに行けるでしょうしね。
-:(前走は)休養を挟んでの年明け緒戦だったと思います。改めて変化した部分はありましたか?
圭太:すごく状態は良かったですよ。攻め馬に乗ってもらっている岡田(祥嗣)さんからも「状態は良いよ」ということは言ってくれましたしね。秋よりも状態は良い感じはしましたよね。
-:前回よりも、今回は相手がかなり揃う感じですけど、その中で一矢報いないといけないのかなと思います。上積みを見込める部分は欲しいですね。
圭太:願わくば、馬場が渋ってくれた方が、この馬にとっては向くかなという感じはしますし、一度使ったことでさらに良くなることはあると思います。厩舎も(本番で状態が上がってくる)厩舎ですし、この馬のレースをしたいなと。
-:やはり以前から言われているように、藤原英昭先生の仕上げはそれだけ素晴らしいということですね。
圭太:やっぱり不安がない感じですね。
-:大阪杯は前回よりも頭数が増えますし、相手のレベルも上がってくると思うので、馬場以外のセールスポイントはまだ欲しいですね。
木曜に行った最終追い切りは岩田望騎手が騎乗
圭太:先に行っても折り合いを心配することはないので、そこですかね。やっぱり乗りやすさは他よりあると思うので。
-:大型で競馬のし辛そうな人気馬もいますからね。初挑戦とはいえ、この馬にとって条件は合う舞台じゃないでしょうか。
圭太:そうですね。
-:しかも、土曜は全国的に雨ということで。
圭太:うん、できれば雨が残った馬場になってほしいですね。
-:最後に、枠はどうでしょうか?
圭太:そこまで選ぶタイプではないですが、並び的にはキセキより外の方が組み立てはしやすいかもしれませんね。
-:昨年の皐月賞は7番人気と伏兵扱いでした。今回も決して上位人気ではないとみていますが、健闘を祈ります。
圭太:ありがとうございます。
-:その他の騎乗馬と先週のレース回顧もお願いします。土曜の2R(3歳未勝利)ではエクリリストワールに騎乗。前回は初ダートで2着でした。
圭太:やはり折り合いが課題になりますね。前走でダート適性はみせてくれましたし、折り合いの不安があっても、もうこの時季の未勝利ならば、突破してほしいところです。
-:ダービー卿チャレンジトロフィー(G3)ではヤングマンパワーに騎乗されます。久々ですね。
圭太:久しぶりに乗せていただきますね。このところ成績は振るわないようですが、今、どんな雰囲気なのか、感じつつ乗りたいですね。僕もこの馬が好成績を残しているタイミングで乗せてもらい、勝たせてもらいましたからね。
-:本来はミッキーグローリーを予定されていましたが、残念ながら骨折ということで。中山は合いそうだなと思っていただけに残念です。続いて先週の話題ですが、日曜はすべて掲示板の成績でしたね!
圭太:あぁ~言われてみればそうですね。お陰様でいい馬に乗せてもらいましたから。
-:まず、シアーラインは大外枠もよかったのかと思いますが、前を行く馬をとらえて差し切り勝ちでした。
圭太:能力があることは分かっていました。スムーズに周りをみながらいけましたし、やはり1200の距離はいいですね。
-:マーチS(G3)のヒラボクラターシュは最後に斤量の差も出てしまいましたか?
圭太:斤量もありましたし、日曜は全体的に差しがきく競馬が多かったですね。それも分かっていつつ、この馬の持ち味はしぶとい脚だと思ったので、ああいう競馬を選択しました。
-:以前はモマれ弱さもあったようですが、そういった面もありましたか?
圭太:厩舎からもそう言われていましたが、確かに多少影響はあったかもしれません。しかし、徐々に解消されつつあるのでしょうね。まだ4歳の春ですし、今後も楽しみな馬だと思います。
-:シンギュラリティは勝ったかと思いましたが、あと一歩でした。
圭太:馬場が悪い部分を避けてもよかったのですが、内目の進路を選択しました。最後までしっかり走ってくれましたが、勝ち馬につかまってしまいましたね。ただ、このクラスでも十分通用するものはみせてくれたと思います。
-:アークカンパネラは戦前からのお話通り、距離短縮がハマりましたね。
圭太:内枠もよかったですね。これまでチグハグだった競馬が距離を詰めてもらったことでハマった感じがありました。
-:ヴァンケドミンゴは本来、先行策を意識されていましたか?
圭太:そうですね。逃げたいと思っていたほどですが、後方からの競馬になってしまいました。まだムキになるところはありますが、能力がありそうですよ。
-:オルクリストはどうしたのでしょうか…?驚きました(笑)。
圭太:気性が真面目じゃなかったり、身体に緩さのある馬なんですよね。前回はある程度、位置をとりにいったことで力を使ってしまったし、気性的にも集中力を欠いてしまいました。意図してこんな競馬になったわけじゃないのですが、出遅れて、ゆっくり運んで、あの脚ですからね。すべてが噛み合ったと思います。
-:基本前が残るペースで差し切っているわけですし、上がりの脚も桁違いでした。
圭太:でも、芝で32秒台の脚を使っていて、もっと前で競馬をすればいいじゃないか、と思われることもあると思いますが、一概に前にいって同じ脚が使えるか、というと、気性的にも、体質的にも同じようにはいかない典型ですかね。500万下でも通用する走りですよね。
-:日経賞(G2)のルックトゥワイスはいかがだったでしょうか。
圭太:いい位置で競馬はしたかったですね。スタートもひと息でしたし、今回は力む面がみられました。ペースが遅かったのもありますが、それで最後の伸びを欠いてしまいましたね。
-:これだけ見せ場がないことも珍しい印象です。返し馬から変化はありましたか?
圭太:常に上位にきてくれる馬ですもんね。今回は初めてといいますか、返し馬から元気で、グイグイ来るところがありました。もともと気性も難しいところがあるのですが…。
-:エトワールは勝ち馬にも上手い競馬をされてしまいましたが、惜しい競馬でしたね。
圭太:そうですね。囲まれる格好になってしまい、自分のタイミングで踏んでいけなかったです。あの差ですから、力を出し切れていれば…というところです。
-:ジェットコルサは久々に騎乗。これも僕からすると、意外な勝利でした。
圭太:拮抗したメンバーだったと思いますが、馬が気性的に大人になっていましたよ。能力はいいものを持っているので、力を出しきれるかどうか、という馬でしたからね。
-:次週はニュージーランドT(G2)と桜花賞(G1)に騎乗とのこと。引き続きよろしくお願いします!
圭太:よろしくお願いします。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は4月5日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。