'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
エプソムCはブレスジャーニーと初コンビ&古巣の仲間へのエール
2019/6/7(金)
G1制覇ならず…。前年度2着馬、アエロリットと挑んだ先週の安田記念はマイペースの逃げに持ち込めたが、ゴール前で差され2着。馬にとっても悔しい結果となったが、ジョッキー自身にとっても、今年5度目の馬券圏内ながらG1タイトルを掴むことができなかった。宝塚記念は騎乗予定がないだけに、上半期のG1騎乗は最後になるが、今週からは改めて日々の騎乗を届けていくことになる当欄。今週は連覇の懸かるエプソムCなど、勝ち星を重ねることが出来るか。奮闘を期待したい。(聞き手:競馬ラボ・小野田)
-:東京開催での連続G1もひと区切り。夏のムードも週ごとに高まるところですが、まずはアエロリットと挑んだ安田記念(G1)について振り返っていただけますか?
圭太:調教にも乗っていなかったので、1年ぶりに乗せていただきました。馬の雰囲気は良かったですね。もともと力強さも感じていたので、大きくパワーアップしたりという肉体的な変化はそこまで感じませんでしたが、落ち着きが出ていたと思います。
-:昨年はモタれるようなところもあったようですが、そこも良くなっていましたか。
圭太:まだ多少はありますね。ただ、全体的にイメージしていた形には近い内容で走れたと思います。
-:レースは1枠2番からの競馬。戦前は内枠を避けたいという話をされていましたが、出脚が決して速くないだけに、近いポジションで先行するような馬もいなかったので、どんな競馬になるかな、と思っていたものの、流れを作れましたね。
圭太:内枠なので、被されるのは避けたかったですし、いい位置どりで運べたと思います。前半は飛ばさず、徐々にリードを広げる形。理想的な展開でした。グァンチャーレがマークしてきて、しぶとく振り切ってくれましたが…。昨年もスワーヴリチャードの追撃を振り切ってくれたものの、勝ち馬に差される結果に。いい走りはしてくれているのですが、あと一歩でしたね。
-:しかし、ダービーに続く2着。今気づけば、2年連続2戦連続G1・2着です。
圭太:後々、僕も気づいたんです。振り返ると、去年と同じだな…と。何とか勝ちたかっただけに悔しいですね。
-:昨年以来となる騎乗を終えて、改めてアエロリットの適性はどう感じますか?
圭太:芝1800mくらいがいいかなと思いますね。マイルだと、自分の形に持ち込むのが少し苦労するところもあるので。
-:それにしても、馬場が速いとはいえ、これだけの時計で走っていますし、本当にすごい馬だなと思います。今週はエプソムカップ(G3)でブレスジャーニーに騎乗されますが、こちらはテン乗りですね。
圭太:前回は結果を残せなかったようですが、このコースで勝っていますし、いいイメージで臨みたいですね。レースまでにもっと研究して挑みたいです。
-:土曜の多摩川ステークスのミュージアムヒルは前回に続く騎乗です。3R(3歳未勝利)のタイセイシャトルは2走前に騎乗されていますね。
圭太:直線で狭くなったので、あそこがスムーズだったら、というレースではありました。このコースにも勝鞍があるので、改めて期待したいです。タイセイシャトルは前回乗せていただいた時の行きっぷりなら、この条件でもと思います。
-:日曜3R(3歳未勝利)のホーリーラインは惜しい競馬が続いています。しかし、週末は雨予報が出ていますね。
圭太:もう少しのところまで来ているんですけどね…。メンバー次第だと思いますが、常によく走ってくれている分、疲れが出ないといいなと。馬場はあまり渋らない方がいい印象はありますね。
-:3歳1勝クラスから、7Rのベルゲンハーバーと8Rのメッシーナはどうでしょうか。
圭太:ベルゲンハーバーは勝った時の決め手ならば、上のクラスでも、という感触はありますね。メッシーナは未勝利に乗せていただいた時もいい勝ち方でしたし、状態もいいレベルでキープしているかなと思います。
-:先週のその他のレースについても、よろしくお願いします!エングローサーは勝ち馬こそ水を開けられましたが、3着に食い込みました。
圭太:前走より馬も良くなっていましたね。レースぶりも進境がありましたし、外目を回る競馬も良かったと思います。
-:グロワールシチーは3戦連続東京遠征。疲れがそろそろあるんじゃないかと自分は思っていましたが…。
圭太:もっとやれていい馬ですが、今回は硬さがありましたね。
-:ユナカイトは3着でしたが、スムーズさを欠くところがありました。
圭太:直線で進路がなかったのが、痛かったですね。最後は伸びてきているだけに、惜しい競馬になってしまいました。距離は1400mよりも1600mくらいで良さそうですが、このクラスを勝てる能力のある馬だと思います。
-:新馬のビッククインバイオ、タイムマシンなどはどうでしたか?
圭太:ビッククインバイオは新馬から器用なところを見せてくれましたね。タイムマシンはレース前から感じていたことですが、使ってからの変わり身を期待したいです。
-:ボヘミアラプソディは大外枠から4着には食い込んできましたね。
圭太:最後は伸びてきているのですが、不器用なイメージを受けました。それだけに、この2100mのコースは良さそうです。
-:1週前ですが、さきたま杯(Jpn2)のサンライズノヴァはコース自体をマズマズこなしているように映ったものの、4着でしたね。
圭太:ハマるイメージは感じていましたが、前残りの馬場でもあったとはいえ、スピード負けしている感は受けましたね。広いコースの1400mの方が合いそうです。
-:南関東といえば、今週火曜は大井競馬でも騎乗されていましたが、4Rでは5頭に及ぶ落馬事故がありました。落馬のあおりで柏木健宏騎手が意識不明とのことですが…このレースにも乗られていましたね。
圭太:柏木の身体の具合までは把握できませんが、早く目を醒ましてほしい、そう願っています。
-:改めて競馬の怖さ、危険さも感じる事故でした。
圭太:僕も感じましたね。誰もがレースのミスなどはありますし、つきものですが、若い子はもちろん、自分たちもしっかり気を引き締めて乗らないといけない…改めてそう感じました。ここまでの事故は滅多にないですよ。ありませんけれど、自分の不注意一つでこういうことが起きても不思議じゃありませんから。
-:柏木騎手は大井競馬時代の後輩であり、長らく一緒に乗ってきたジョッキーですよね。
圭太:身近な存在でもあったし、ショックな出来事でした。柏木には無事であってほしいです…。
-:無事を祈るばかりです。最後に、お知らせですね。次週6月10日(月)、TOKYO FMの『Skyrocket Company』という番組に出演されるそうですね。久々に競馬以外のメディア出演じゃないでしょうか?
圭太:いや、そうそう呼ばれないですから(笑)。
-:もうこの手の出演も慣れっこかと思いますが、次週もよろしくお願いします。
圭太:いやいや慣れてはないですけど、流れに任せて楽しんできたいと思います(笑)。
※次回は6月14日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。