'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月23日時点1569勝
さあ秋の東京、開幕週は23鞍!ダノンキングリーと毎日王冠へ
2019/10/4(金)
勝負の秋が開幕。先週からG1レースが始まり、今週から舞台を替えて行われる中央競馬。東京は開幕週を彩るお馴染みの重賞・毎日王冠が行われるが、なんと言っても注目は戸崎騎手とのコンビで挑むダノンキングリーの始動戦。同世代のライバル・サートゥルナーリアが神戸新聞杯を圧勝して秋初戦を飾った一方、ダービーで先着した立場として、どんな走りを見せつけられるか。また、ジョッキーも全23鞍の騎乗依頼を集めた今週。結果にもこだわりたいところだろう。(聞き手:競馬ラボ・小野田)
-:今週から東京、京都開催の開幕。早速、23鞍の騎乗となりますが、なんといっても毎日王冠(G2)のダノンキングリーが目玉になりますね。春の成績を思えば、楽しみにされていたであろうと察するところですが、秋緒戦を迎えるにあたっての心境はどうでしょうか。
圭太:待ち望んでいたレースです。春は惜しいレースが続いていましたし、悔しい思いもしました。一度、追い切りで跨りましたけど、心身共に成長を感じましたので、夏をいい形で越してくれて、楽しみですし、秋初戦の大事なレースだと思っています。
▲木曜に行われた交流重賞・レディスプレリュードを勝利!
-:精神的な面の課題は、春にも色々伺ってはいましたが、肉体的な面で言うと、どの辺りが具体的に成長を感じましたか。サイズ的には著しく変化しているようには見えませんでした。
圭太:バランス、体幹が強くなった感じですかね。芯が強くなったといいますか、バランス的にもパワーアップした感じですね。聞くところ、馬体重はそう変わらないとは聞いていますよ。
-:その中でも中身というか、そこが変わってきていると。ダービーは悔しい結果にはなったと思うのですが、改めて観ると、直線でもフラフラしているところも改善できる余地なのでしょうか。
圭太:そうですね。それに距離の限界も現れた証拠でもあると思います。
▲最終追い切りを行うダノンキングリー(右) 厩舎スタッフが騎乗
-:そういう意味でも、今年の3歳初戦(共同通信杯)と同じ距離、東京の1800m戦です。
圭太:良い条件だと思いますね。春にも距離の課題については口にしてきましたが、マイルから2000mくらいがいい条件かと思います。
-:そして、今回は頭数こそ少ないですが、古馬相手の初対戦となります。
圭太:特に問題にしていないですけど、クリアしてくれると良いなと思いますけどね。今回は54キロでもありますからね。
-:馬場に関してはどうでしょう。一時は台風の影響もあやぶまれた程。予報されていたよりは雨は降らない感じはするのですが、降った場合はいかがですか。
圭太:降る量にもよりますけど、多少くらいなら、こなせると思います。
-:皐月賞3着、日本ダービー2着といつG1タイトルに手が届いてもいい立場ですよね。
圭太:ええ。この秋はどこかでG1タイトルを獲りたいという思いもありますし、この馬でチャンスを掴みたいですね。
-:日曜日ですと、グリーンチャンネルCのワンダーリーデルは休み明けになりますが、前走でオープン特別初勝利となりましたね。
圭太:以前はずっと1400mなどを使っていて、忙しさを感じていました。前回のアハルテケSは1600mに距離が延びて、良い勝ち方ができましたが、休み明けでこの距離という点は気になるところです。ただ、馬は良い馬ですし、乗りやすさや乗り味の良さがある馬です。
-:六社Sのフェイズベロシティは前回がスローペースに泣かされてしまいました。
圭太:それに直線でスムーズな道ではなかったので、その辺をしっかり走らせたいです。
-:3歳上2勝クラスのキングリッドは500万下戦を勝利に導きましたね。
圭太:一瞬の良い脚は持っている馬なので、それを活かした競馬をしたいですね。
-:3歳上1勝クラスのシゲルヒスイは2度、新潟で走り、勝ち鞍のある東京に戻ります。
圭太:条件的には良くなるかなという感じはしますけどね。
-:日曜、東京と新馬にも騎乗されますね。
圭太:ダノングロワールは2週前に乗せていただき、昨日(水曜)もトレセンで姿を見ましたけど、良い感じの馬ですね。どちらかといえば、長めの距離が合いそうなタイプです。ラファエルは前向きさがありますし、良いスピードも持っていそうですけど、気性的に難しいところもありそう。それが実戦でどう出るかな、という感じです。ラッシュアップは雰囲気のある馬ですね。使ってからの方が良くはなるとは思うのですけど、将来性の高い馬だと思いますね。こちらも気性の難しさは感じるところもあります。
-:秋嶺Sのブルベアイリーデは、前回のレパードSは乗られていないレースでしたけど、長い距離でも頑張っていましたね。
圭太:この馬も条件的には良いと思うので、競馬もしやすいですし、良いレースをしたいですね。むしろ今はこの距離がベストかもしれないですね。
-:本栖湖特別のタンタフエルサは昇級の前走で4着でした。
圭太:最近は安定して走れてきているので、しっかり走らせて結果を出したいですね。
-:3歳上1勝クラスのグランソヴァールは今回ダートに戻りますが、芝でも惜しい競馬が続いています。
圭太:ダートの方がまだ良いのかなという感じがしますけど、芝もダートも関係なく、安定して走ってくれますからね。
-:先週の話題では、秋風Sをモアナで勝利されました。
圭太:枠順(3番)も良かったですし、ペースもある程度流れてくれて、レース自体は乗りやすかったです。いつもよりもスムーズに、ノビノビ走ってくれたのが良かったですね。
-:ちなみに、先週の馬場は相変わらず良好な状態でしたか。
圭太:良好ですけど、先に行ったもん勝ち。内枠の馬にもアドバンテージが大きかったですし、その辺はどうなのかなと思いますけどね。最終週でもありますからねえ。
-:中山開催はダートに関してもそういう傾向があったと思います。
圭太:根本的には前残りですけどね。
-:普段よりは前残りが多いかなという感じは受けましたね。3歳上1勝クラスのナリノメジャーでも勝利されました。
圭太:惜しい競馬が続いていましたからね。良い時に乗せていただいて、しっかり走ることができて、良かったですね。
-:2歳未勝利で2着のアンティシペイトは勝ち馬(アマゾーヌ)が逃げ切りという感じでしたが、外枠(13番)から良い競馬はしているのかなと思ったのですが。
圭太:そうですね。まだまだ良くなりそうなところがあるので、楽しみな馬ではありますね。
-:3歳上1勝クラスで2着のワンダーラジャはこれも勝ったかなと思ったのですが。
圭太:全体的にモタモタするようなところはあるので、それが結果に出ている感じはしますけど、勝てる力はありますね。ただ、こういうダートの長丁場は合いそうですね。
-:茨城新聞杯で3着のコスモカレンドゥラは先週「丹内(祐次騎手)さんが乗っている時の印象と違うことが気になる」とおっしゃっていましたが、それはいかがでしたか。
圭太:落ち着きが出ているので、良い方に出ていると思いますね。もう少しこっちがしっかりやってあげないと馬が動いていけないというか、それで反応してくれるので。昔は自分からグイグイ行く感じで、折り合いに気を付けていたんですけど、今はそんなことはないですね。
-:2歳新馬で3着のサツキマスはいかがだったでしょうか。
圭太:砂を被ったり、揉まれたりして、不安な面は見せていました。ポジションに付けたら走ってくれたので、追ってからもう少し力が付いてくれたら良いかなと思いますね。
-:サフラン賞で2着のマジックキャッスルは勝って欲しいところでしたが、あと一歩でしたね。
圭太:やっぱり前走よりもうひと押し、推進力に欠きましたね。
-:最後に鋸山特別で4着のキャベンディッシュはいかがだったですか。これも先行決着でしたし、外枠からよく頑張っているようには映りました。
圭太:雰囲気のある馬ですけど、少しハミに頼ってくるようなところがあるので、自分から走れるようになるともっと結果が良くなるかなと思いますね。
-:今週から東京開催ということになりますが、毎週、一鞍一鞍大事に乗ることを念頭に置かれていると思いますけど、節目ではありますので、この秋というか、東京開催に向けての意気込みが何かあれば、教えていただけますか。
圭太:ええ、G1も始まりますし、後半戦もしっかり騎乗をして、結果を出せるように頑張りたいなと思いますね。
-:今年は例年以上に大物の外国人ジョッキーが来るようですけども、気になっているジョッキーはいますか。
圭太:僕は(ランフランコ)デットーリとは一緒に乗ったことがないので、一緒に乗れることは嬉しい、楽しみですね。おそらく一緒のレースには乗ったことはないはずですから。
-:次週は秋華賞(G1)でパッシングスルーに騎乗ということで、東京・京都・東京での転戦となりますね。今週は騎乗馬の話題も多く、パーティーでいただいた質問は割愛しましたが、そろそろ当時の模様も動画でお届けしたいと思います。
※次回は10月11日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。