'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月11日時点1556勝
素質馬揃いの土日東京&富士Sはクリノガウディーと巻き返しへ
2019/10/18(金)
G1シーズンへ向けて勝ち星量産となるか。台風直撃により、異例の4日開催となった前節は京都・東京・東京で騎乗した戸崎騎手。残念ながら、あと一歩の競馬が続いてしまったが、今週は良血、素質馬揃いのラインナップ。11月は遠征も続くだけに、弾みをつけられるか。注目だ。(聞き手:競馬ラボ・小野田)
-:先週の競馬の話題の前にですが、台風19号により、土日の東京開催が中止。土曜東京で騎乗予定だったジョッキーにも影響があったと思います。
圭太:今回の台風により、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。僕は土曜の新幹線が動かないということで、金曜には移動せざるをえませんでした。金曜に京都へ移動して、一日競馬がないのは違和感があったり、平日が普段通りじゃないことは確かにありましたが、東京の馬場も降水量の割に芝、ダート共に違和感はなく行えたことは何よりでした。
-:今週は東京での騎乗になりますが、またも大雨というところが恨めしいところ。土曜の富士S(G3)ではクリノガウディーに騎乗されますね。
圭太:前走は高速馬場でしたし、コース形状もトリッキー。分が悪い条件だったと思います。直線でもスペースがなかったですからね。東京コースに替わる点はいいんじゃないかと思います。
-:陣営は時計が掛かる馬場の方がいいという見解のようですが、そこはどうでしょうか。また、1年ぶりに騎乗されての変化も気になるところです。
圭太:馬場は時計が掛かった方がいいのかもしれませんが、そこまで悪くなるとどうかと思います。馬は気性面で気になるところはありませんが、体質的にはもう少し成長がほしいといいますか、しっかりしてきてほしいですね。
-:土曜新馬ではサトノフラッグが予定していますね。
圭太:ポテンシャルは高いと思いますが、まだ完成しきっていない部分もあると思います。とはいえ、現段階では順調に仕上がっていると思いますよ。
-:8R(3歳上2勝クラス)のコスモカレンドゥラは距離を延ばしますね。
圭太:やっぱり以前とは馬が違いますよね。落ち着きが出ていますし、そこを考えると、距離延長でいい方に向いてくれれば。持ち前のしぶとさを活かしたいですね。
-:12R(3歳上2勝クラス)のメッシーナは昇級となりますが、馬場状態は気になるところです。
圭太:軽い走りをするので、馬場はいい状態でやりたいですね。それに、距離延長はポイントになりそうですね。ただ、前回は外枠で壁を作れず、折り合いを欠く厳しい競馬。それでも勝ち切るあたりは流石でした。道中でしっかり脚を溜められれば、昇級も気にならないところです。
-:日曜の2歳新馬戦、3Rのアポロティアモは先週も伺いましたが、4Rのチャムランテソーロは追い切りに乗られたそうですね。
圭太:素軽い動きをしますし、切れ味がありそうな走りをしますね。周りの馬を気にする面はあるので、そこがレースにいってどう出るか、といったところでしょうか。
-:8R(3歳上1勝クラス)のドナアトラエンテは新潟で乗られましたが、ジェンティルドンナの全妹ですね。
圭太:僕が乗っていない時は動いていかない印象だったのが、前走はチークピーシーズを着けたことでガツンといってしまったように、気性面でムラはありますね。ただ、能力はこのクラスで勝っておかしくない存在ですからね。
-:鷹巣山特別のアンブロークンは以前、騎乗機会がありながら、実戦では初めて乗ることになりますね。
圭太:追い切りでは乗っていながら、実戦では初めてになりますね。ただ、この馬もクラス上位の能力の持ち主だと思います。
-:先週の競馬では、秋華賞(G1)のパッシングスルーは今回も外枠からの競馬でしたね。
圭太:返し馬の感触は前回よりも状態が上がっているように感じました。しかし、レースでは、馬場に脚をとられていて踏ん張りがきかなかったですね。それにペースも速く、もう少し内枠なら対処できたかと思います。
-:府中牝馬S(G2)のクロコスミアはようやく僕も馬の傾向が分かってきました(苦笑)。次は楽しみですね。
圭太:状態は前走以上でした。気持ちも入り、身体の張りも違いましたからね。それに出脚の良さも札幌記念とは違いましたから。先生も「使っていって良くなる」と言っていましたし、ハナに行かなくても良くなっています。馬場の対応力も幅広くなってきていそうですね。
-:サトノアレックスは2着と前進しましたね。
圭太:この馬も気性がネックで、徐々にではありますが、良くなっています。ここからひと息入れると思いますが、目処の立つ内容でしたね。
-:アプルーヴァルはスムーズな競馬ではなかったですね。
圭太:これは失敗ですね。壁を作って運んでほしいと言われていたところ、結果、壁を作れずに運んでいたのですが、意識し過ぎて、他馬が動いていくタイミングで上がっていけばよかったです。最後は踏み遅れた分が出てしまいました。
-:クリップスプリンガは惜敗続きでしたが、休み明けでも動いてきましたね。
圭太:状態が良かったです。普段よりも追ってからの伸びがありました。
-:サツキマスは勝ち馬との通った差などを考えても頑張ってはいると思いました。
圭太:正直、東京コースがどうかと思っていましたし、頑張ってくれましたね。こういう競馬を続けていけば、チャンスがありそうです。
-:プラットフォーマー自身も勝てるレベルの走りはしていたと思います。
圭太:テンションの高さがありますね。ただ、レースにいってからは上手に走ってくれましたし、チャンスのある馬だと思います。
-:アルディエンテはしんがり負け。まさかあそこまで負けるとは・・・という結果でした。
圭太:雰囲気のある馬ですよ。ただ、体力がまだついていないですし、馬格があって身体もまだ絞れる余地がありました。時間はかかると思いますが、良くなりそうな馬です。
-:グレイスアンは初ダートでしたね。牝馬にしては馬格のある馬で、砂をがっつり被らなければいい走りをするかと思いました。
圭太:もともとレースは上手な馬ですし、ダート替わりで、と期待しましたが、芝と同じで終いの甘さが出てしまいました。しかし、走りの掻き込みを考えると、やっぱりダートの方が合いそうです。
-:ボヘミアラプソディは少頭数ではありましたが、昇級して即走ってきましたね。
圭太:一度使った方がやっぱり良さそうですね。まだモタモタするところはありました。
-:フィロロッソは勝ち馬が目立つ内容でしたが、どうだったでしょうか。
圭太:馬格はそうありませんが、馬はしっかりしていて乗りやすいですね。バネも感じましたが、走りが浮いてしまうところもありました。速い馬場よりは時計が掛かった方がよさそうですね。
-:スターリーステージは14着と大敗してしまいましたが…。
圭太:テンションの高い馬と聞いていましたし、リズムよく運んでほしいと聞いていました。スタートを決め、リズムよく走れていたのですが、どうも馬が落ち着いていってしまい、気性面の難しさを感じましたね。
-:ユキノヴェルデは昇級して着順以上に悪くない競馬もしていたと思いますが、どうでしたか。
圭太:厳しいペースだったこともありますが、今後はモマれる競馬にも慣れていかないといけなさそうですね。
-:そして、月曜は順延となったジョッキーベイビーズが行われていましたが、ジョッキーも表彰式に出席するわけではなく、レースを見に行かれていましたね。レースでは見慣れた勝負服を着ていた子がいてビックリしましたよ。もう中学1年生。数年後には同じレースに乗ることもありそうですね。
▲ジョッキーベイビーズに関東地区代表として出場した
舟山瑠泉くん(中学校1年生) 戸崎騎手の勝負服を着用
圭太:ハハハ、そうなんです。いつか同じレースに乗れたらいいですね。
-:次週は天皇賞(G1)でアエロリットに騎乗。その後はエリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップの騎乗も控えていますが、遠征予定は他にありますか?
圭太:11月2日(土)のファンタジーS(G3)ですね。マジックキャッスルに乗せてもらいます。
-:外国人騎手も徐々に増えていき、大変なところですが、また次週もよろしくお願いします!
圭太:よろしくお願いします。
※次回は10月24日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。