'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
怪我から2週、経過は良好&主戦が見るダノンキングリーの敗因とは
2019/11/22(金)
右肘の開放骨折による戦線離脱から近況レポート第2弾。前回の更新では「競馬から離れたくなった」という意外な言葉も飛び出したが、この1週間をどう過ごしたのか。また、怪我の回復状況は?そして、初のG1制覇を狙ったマイルCSで5着だったダノンキングリーについて、客観的に感じた敗因も明かしてくれた。
※最下部にお知らせもあります!
-:まずは怪我から2週間。変化はありましたか。
圭太:先週の木曜日に、経過を調べるために一度ギプスを取って、またすぐにギプスを着たのですけど、順調です。やっぱり開放骨折ということで骨に雑菌が入ってしまう恐れがあったのですが、血液検査もして、感染症の恐れもなく、数値の方は安定しているようでした。
-:ということは、「2週間は予断を許さない状況だ」とおっしゃっていたんですけど、そこの点に関してはクリアされたということなのですか。
▲今週はジャパンCウィーク
ジャパンCは大井競馬在籍時代の2009年、エイシンデピュティで初騎乗
圭太:そうですね。一応、2週間経って「まずは大丈夫だろう」ということです。あと1週間は様子をみて「3週間経てば確実に大丈夫だ」ということは聞いています。
-:しかし、痛みは相変わらずですか。
圭太:神経を痛めている箇所もあるので、その方が痛いですね。夜に寝ていても2時間置きくらいに起きてしまいます。熱を持ったところを冷やすような…。だから、本当に今までとは違ったケガだとは感じていますね。骨折でも1週間も経てば、痛みは落ち着いてきますからね。
-:ギプスをとられる予定は決まりましたか。
圭太:来週の木曜日ということになっています。以降はリハビリに入る予定です。いつものトレーニングの先生に診てもらって、やって行こうと思っています。だから、現段階で出来ることは酸素カプセルに入ることくらいですかね。ただ、まだ傷を治すことにエネルギーを使われているのか、何故か夜になると疲れるんですよね。
-:表立って「疲れる」とはあまり言わない人が…。
圭太:そうなんですよね。動けなくなるというか、グッタリしちゃうんですよ。だから、体が傷を治すことに相当エネルギーを使っているのかなと。
-:食生活は相変わらず、今まで通りですか。
圭太:でも、お酒を抜いているじゃないですか。その分、やっぱり甘いものが食べたくなりますねえ。
-:甘いものはグルテンフリー的には…。
圭太:いや、今まではハチミチで誤魔化していたり、あまりお菓子は食べていなかったんですけど、今はストレスが溜まるよりは良いのかなと。そう自分で解釈して、ちょっと食べちゃっているところがあるんですけどね。
-:アスリートの方も人それぞれ。食事は全く気にせずに食べる人もいらっしゃいますもんね。イチローさんも現役を退かれたとはいえ、先日、牛タンを週6なんてコメントされていたり。
圭太:ああ、聞きました(笑)。自分は甘党なのかなとは感じますかね。やっぱり競馬をやっている時は、気を引き締めて生活をしているからか、食べたいとは思うけど、そんなに食べないんですけど、今はちょっと我慢が利かないようなところはありますね。
-:もともと学校時代はよくお菓子を食べられていたと言っていましたし。
圭太:ハハハ、そうですね。
-:そんな流れで伺うと、読者の人からも「空いている時間はどういうことをされているのですか」といった質問も来ていました。
圭太:今は、正直、空いている時間はダラダラしていますかね。酸素カプセルに行って、外でゆっくりコーヒーを飲んで、ゆったりとした時間を過ごせています。あとは競馬をけっこう観るかな。
-:フルに観るということはもう戻った感じですね。先週は社会人かつ仕事人の悩みといいますか、気持ちの変化は感じました。
圭太:ただ、焦りが生まれる訳じゃなくて、今思えば、乗れていることの幸せを感じましたね。
-:相変わらず切り替えはやっぱり早いですね。
圭太:う~ん、どうなのか分からないですけどね。
-:ただ、こう聞いていると、普段はスイッチが入っている時があるのだと改めて感じますかね。
圭太:そうですね。
-:それだけゆっくりされるということもなかった訳ですよね。
圭太:なかったので、今は本当に時間が過ぎるのがゆっくりしていて、良い時間を過ごせている感じですかね。競馬もゆっくり外から観たりして、外から観られているので、また違う見方も出来ますし、色々と今まで見えていなかった部分が見えてきたり、感覚だったり、ある意味すごく面白い部分もあるなと。だから、やっぱり復帰した時には、そういう経験が活かせるようにしたいと思っていますね。あとは2週間過ぎましたけど、周りの方からは心配して下さったり「リハビリが大変でしょうけど、頑張って下さい」みたいな励ましの声がたくさん聞こえるので、本当に1日でも早く復帰出来るように頑張りたいなと、またそれは思いましたかね。
-:他に読者の方から質問を頂いていたのは「入院中にお見舞いに来てくれた方はどんな方がいらっしゃったのですか」ということですが。
圭太:あんまり来てもらっていないです。一応、入院している期間は数日でしたし、僕が自由になったのも何日か経った後だったので。入院先もあまり伝えていなかったですし、連絡は来たみたいですけど、「もう退院するから」ということを伝えてくれたようで、あまり病院には来てもらわなかったですけどね。ただ、松永幹夫先生はレース後も来ていただいたようですし、矢野(貴之騎手)は次の日に来てくれたようです。あとは浦和開催が終わった金曜日に南関のジョッキー仲間が来てくれましたけどね。
-:レースが終わってから、矢野さんに「どこの病院か分かります」と聞かれたので、即刻行かれるのだろうなと思いましたけどね。
圭太:来ましたね。最初は身内しか入れないような病室にいたので。
-:僕も伺ったのですが、あまり入っちゃいけないところだな、場違いだなと思いました(苦笑)。先週は主戦を務めてきたダノンキングリーがマイルチャンピオンシップ(G1)に出走。内側の馬場が悪かったと思うのですが、あんな弾けることもない負け方をするのかなと、いまだに明確な敗因が僕は分からないのですが。
圭太:正直、僕も分からないところですね。レースを観ていて、ゲートをシッカリ出てもらいたいなと思っていましたので、その辺は落ち着いて上手に出ていましたからね。流れにもシッカリ乗れて、僕も同じようなイメージの乗り方だな、あとは弾けるだけだと思っていたんですけど、何かやっぱり伸び切れなくて、残念な結果にはなりましたね。(横山)ノリさんのコメントを見ていると「やっぱり良い馬だ」ということは言ってくれていましたし、3歳馬ですから、初めての条件もありましたから、まだまだ経験を積んで、という段階なのかなとも感じましたかね。
▲マイルCSのゴール前 左がダノンキングリー
-:強いて言えば、やっぱり輸送の影響という感じもするんですけど、敗因としては少し挙げ辛い部分かなと。余程テンションが上がっていたら分かるんですけどね。
圭太:やっぱり京都は坂があるじゃないですか。あそこが課題とは思っていました。まだレベル差もあったり、体幹が弱いところもちょっと感じられたので。
-:「この秋になって体幹がちょっと良くなった」ということは、まだ弱いということですもんね。
圭太:なので、ちょっと下りになると、支える部分が前のめりになって走っているのかなと。観ていても、少しノメって走っていたような感じだったので、そういう影響もあったのかなと。
-:それはちょっと気付かない部分ではありました。あとは繰り返しになりますけど、馬場も内側は見た目よりだいぶ悪そうな感じもありましたからね。
圭太:やっぱり外差しが決まっていましたからね。
-:続いて、今週はジャパンC(G1)ということで、ジャパンCには7度乗られたと思うんですけど、初めて乗った年の2009年(エイシンデピュティ)はどんな印象でしたか。
圭太:世界に名前が挙がるレースではありますから、海外の馬だったり、ジョッキーだったりが来たりして、すごく盛り上がって、僕も最初の頃はそういう経験がなかったので、新鮮ではありましたけどね。
-:エイシンデピュティに乗られた時は大井時代でしたね。さすがに直線では手応え的に劣勢という感じでしたが。
圭太:でも、先頭で回ってきているからね。
-:一瞬、オッと思った記憶がありましたからね。
圭太:ワクワクするところはやっぱりありましたよね。
-:10年前ですけど、その当時と精神的な部分とかも違うんじゃないですか。
圭太:違いますね。あの頃は何の知識もなく、本当にワクワクして乗っていたという感じですよね。
-:中央のG1に来ると、そういう脚質の馬に乗っていたというのもあると思うんですけど、トゥザグローリーにしても、コンゴウリキシオーにしても、エイシンデピュティにしても、割と積極的に行かれていた感じがするのですが。
圭太:それはありますね~。
-:JCは乗っていたら、そのままタイセイトレイルの予定だったのですか。
圭太:タイセイトレイルに乗せてくれたのかなという感じはします。
-:ちなみに、ここ最近では何かスポーツとか他競技を観られたりされていますか。
圭太:いや~、メチャクチャ観ていますよね。野球のプレミア12も全部観ていましたし、サッカーもやっていますし、ゴルフも土日は観られるので、ゆっくり観ていますけどね。そして、中央競馬も観ますし、南関も観ていますね。
-:確かに観るだけで疲れそうですね。
圭太:でも、楽しいですからね。何か良いもんだなと思いますけど。来週は競輪の方々と対談するんですよ。
-:まだ怪我してそんなに時間は経っていませんが、出来る体調ですか。
圭太:と言っても、そんなに長い時間じゃないですからね。ケガ前に約束していたので、どうしようかなと思っていたんですけど、やっぱりそういう人たちとの話もためになるのかなと思って、話を聞いてみたいというのがありまして、「(怪我をして)こんな状態ですけど良いですか」と聞いたんですけどね。出るかどうか、すごく迷ったんですけど、なかなか出来ないじゃないですか。
-:今週はこんなところかなと思います。来週はギプスを外されるということで、引き続きよろしくお願いします。ありがとうございます。
圭太:お願いします。
※次回は11月29日(金)に更新予定です!
~今週のファンが選ぶお気に入りの一枚~
ロベルト・とうまのお父さんさんより
このレースから戸崎Jとエポカドーロの歴史が始まりました!
馬番1を付け一度も先頭を譲ることなくゴールを駆け抜けた「あすなろ賞」!
来年エポカドーロと共に戸崎Jが復活されるのを楽しみにしています
『週刊!戸崎圭太』は今後もファンの皆さまにも色々と募集します。
(1)戸崎圭太騎手への質問
過去のレースのこと競馬にまつわるギモンなど、何でも問題ありません。ただし、これから行われるレースや馬についてはお答えできませんので悪しからずご了承ください。
(2)戸崎圭太騎手のアナタのお気に入りの一枚
いつの写真でも問題ありません。皆さんが気に入っている写真があれば、コラム内で紹介させていただきます。ただし、1週間につき1枚まで。お名前、なぜその写真を選んだのか、という理由があればよりいいです。軽い容量(横幅1000px以内)でお願いします。
(3)当コラムでやって欲しい企画など
実現性は高くないと思いますが、こんな企画が見たい、こういう対談が読みたいなどあれば、どしどしお寄せください。
すべてのご応募はメールにて受け付けております。お名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまで。もちろん戸崎騎手への応援メッセージも引き続き募集中です。
keita_tosaki@keibalab.jp
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。