'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月23日時点1569勝
フェブラリーS当日は久々の東京競馬場 久々の現場へ リハビリにも好影響?
2020/2/28(金)
故障以来の「現場復帰」。今年初のG1となったフェブラリーSはモズアスコットの快勝に終わったが、南関東競馬からは3頭と3騎手が出走。ジョッキーたちとは縁の深い戸崎騎手は急遽、応援のために競馬場に駆けつけた。11月以来となる東京競馬場、そして、現場の空気をどう感じたのか。リハビリの進捗状況などを含め、語ってもらった。
-:普段ならリハビリの進展から伺うところですが、フェブラリーS当日は東京競馬場に足を運ばれましたね!
圭太:今回は南関東の同僚たちかつ、特に仲のいい連中が乗っていましたし、「現場まで応援に来てくれ」とも言われたので行くことにしました。本来ならばお世話になっている馬主さんや調教師の方々にも挨拶をしなくてはいけないところ。まだ復帰時期が明確ではなかったこともあり、あくまで彼らの応援ということで短時間ではありましたが、顔を出させてもらいました。本来なら皆さんに挨拶すべきところでしょうけど、まだ表に出るような状況ではないので、また改めてそういう場を設けられればと思っています。ご挨拶できなかった方々には申し訳ないです。
▲フェブラリーSのレース直前
御神本訓史騎手(左)・繁田健一騎手(中左)・真島大輔騎手(右)と
-:G1を前に同じ歳の繁田健一騎手、大井の御神本訓史騎手、真島大輔騎手と、面持ちはどうでしたか?
圭太:まあ、いつもどおりでしたかね。もともと気負うタイプでもないヤツらですし、経験も積んでいますからね。
-:僕もいい意味でリラックスして臨んでいる雰囲気に見えましたね。レースぶりはどう感じましたか。
圭太:やっぱり騎乗馬がもともとゲートの良くない馬たちでもあり、そこが心配でしたね。モジアナフレイバーは芝を気にして進みが悪かったでしょうし、ノンコノユメもペースが流れて戸惑っているのかなと思いました。中でもモジアナフレイバーは初物尽くしだった中でよく頑張っていたと思います。結果は残念ながら、上位には絡めなかったですけど、モジアナフレイバーはドバイにも行く予定があるようですし、僕としては南関東時代ら一緒にやってきた仲間がああいう舞台に揃って乗ってくれたことは嬉しい気持ちはありました。南関東では、週5くらいのペースで顔を合わせてきた間柄ですし、それこそ大井の調整ルームに入れば5泊も一緒にするわけですからね。
-:まさに同じ釜の飯を食うという間ですね。
圭太:本当にそうです。毎日いて、場合によれば家族より一緒にいるくらいですから。そりゃあ調整ルームでも色々な話もしますからね。
-:モジアナフレイバーやミューチャリーは生え抜きの大井の馬でもあり、なかなかない機会ですよね。そして、フェブラリーSを勝ったのはモズアスコットでした。こちらはいかがですか。
圭太:ダテに前走であんな勝ち方をした馬ではないな、と思いました。ゲートの出も速かったですし、砂を被っても大丈夫。矢作(芳人)先生の馬でもあり、短期間でも状態の上積みがあったのかなとも思いましたね。芝とダートいずれもG1を勝つことは並大抵ではないですよ。
-:そして、3年連続出走となったサンライズノヴァは3着。またしても惜しい結果でしたね。
圭太:レースぶりは安定していますし、しっかり伸びていますけどね。力を示していますが、あと一歩でしたね。
-:それと、フェブラリーSの裏の京都メインにはモンペルデュが出走。ちょっと展開も厳しかったか、モマれ弱さが出てしまったかもしれませんね。
圭太:本当に無事に戻れて良かったです。松永(幹夫)先生にも、あの事故の後もずっと挨拶が出来ていなくて、ようやく競馬場で挨拶させていただきました。「しっかり治して、早く戻ってこられるように」と言葉をいただきました。浦和での事故の後も面会できないにも関わらず、ずっと遅くまで病院にいてくれたようですし、本当に感謝しています。
それと、フェブラリーSの当日は笠松の佐藤友則騎手も東京競馬場で乗っていて、勝ったようで良かったです。以前にもコメントさせてもらいましたが、浦和での事故の際に凄く色々手伝ってくれて、感謝しかないですね。世代は近いんですけど、地方競馬教養センターでも全く時期がかぶっていないんですよ。だから、あまり接点がないのに、あれだけのことは普通できませんよ。
-:僕も繰り返しになりますが、松永先生も佐藤騎手も現場で凄く心配されている姿を見たことを覚えています。
-:そして、この1週のリハビリの進捗状況はどうでしょうか。ここのところはリハビリに明け暮れる日々のようですね。
圭太:それが、ですね・・・なぜかわかりませんが、日曜(フェブラリーS)の夜から肘の可動域が広がったんですよねえ。
-:本当ですか(笑)。競馬場がパワースポット効果のような?
圭太:どういうわけか、久しぶりに現場にいって何かパワーをもらったのかもしれません。地下馬道では入場する馬を見ましたし、体や気持ちも入ったんですかねえ。先週からはジョギングも再開していますし、走り出した時にあったような体の痛みも収まりましたね。
-:しかし、競馬場に訪れた後でもちゃんとリハビリをされていると。
圭太:いやあ、でも、それが今の仕事のような間隔です。むしろそれしかやることがないし、やるべきことですからね。
-:右肘以外の状態は良好なようですね。
圭太:ええ、かなり体も締まってきました。キツいトレーニングもありますが、そういうことへの我慢はきくので。しっかりやっていくしかないですね。
-:どことなく、声の張りやトーンも変わってきましたよね。気の所為かもしれませんが…。
圭太:そうですかね。まあ、動けない時は少なからずそういうところがあると思います。自分では比較できないから分からないですけど。やっぱりこういう仕事ですし、動いてなんぼだなと思うところですよ。
-:さて、今週の競馬の話題ですが、まずは無観客での開催が決定されてしまいましたね。
圭太:こういうご時世ですし、致し方ないことなのかなと思います。その中でも開催が止まらなかったことは大きいと思いますし、僕は乗れませんけど、サークル全体として経験にできれば。しかし、やっぱりファンあっての競馬でしょうし、歓声がないのは寂しいと思いますよ。
-:ちなみに、人の少ない競馬場。馬にとってはどう出そうでしょうか。
圭太:正直、悪い方向に出ることはないでしょうね。言いづらいですけど、馬の精神面にとっては良い方向には出そうな気がします。まあ、傍から見ている身ですが、こういうニュースが続くと日常のありがたみを感じますし、早く活気のある競馬場、開催に戻ってほしいですね。
-:無観客の中で行われる中山記念にはダノンキングリーが出走しますね。今回、騎乗依頼もあったそうですが、このレースに挑むにあたってのポイントはどう感じますか。
圭太:中山自体は強い勝ち方をしたい舞台。距離も1800mで結果を残していますからね。年明け初戦でもありますし、いい走りをしてほしいですよね。
▲中山ではひいらぎ賞を圧勝しているダノンキングリー
-:そして、関西ではありますが、山内研二調教師、作田誠二調教師が今週で引退を迎えます。
圭太:東西で所属は違いますけど、お二人にはお世話になりました。まず、山内先生は僕の地方競馬時代の同期が調教助手として在籍していた縁もあり、紹介してもらったんです。栗東にいけば、攻め馬に乗せてもらったり、レースでもよく乗せてもらいましたね。独特な雰囲気の方で、話しやすくて親しみやすいイメージでした。大井の頃にコンゴウリキシオーの安田記念でも乗せていただきましたからね。
-:当時の戸崎圭太騎手といえば、南関東でもリーディングこそ獲ってはいたものの、まだ確固たる地位を築いていない頃でしたよね。ちなみに、栗東トレセンでは何故か山内厩舎の馬に乗っていると記者の中では話題になったりしていたようですね。
圭太:自分の場合、レースで乗らない馬の攻め馬は珍しいですからね。同期からも「乗ってくれ」と言われるもので(笑)。コンゴウリキシオーに乗せていただいた頃はまだ駆け出しみたいな状態でしたし、貴重な経験をさせてもらいました。
▲戸崎圭太騎手の左が山内研二調教師
作田先生は馬主さんの縁もあり、度々乗せていただいたのですが、優しい方でしたよね。「頑張ってよ」といつも応援してくれるイメージがありました。
-:そして、調教師の方々の話題でいえば、美浦の高市圭二先生が先日、病のため亡くなられてしまいました。度々管理馬に騎乗されているイメージは持っていました。
圭太:高市先生にもよく乗せていただきました。はたからみると、細かいことにでもキチッと規律を守るような、厳しさも覗かせる先生でしたが、ジョッキーたちに対しては優しい印象でしたね。僕なんかには特に馬の調子のいいタイミングで乗せてもらうことばかりでした。中山大障害でG1を勝ったばかり。お通夜にも行かせていただきましたが、残念ですし、ご冥福をお祈りしたいと思います。
作田誠二調教師(上)、高市圭二調教師(下)と
-:今週はここまでとなりますが、体力面も徐々に強化。故障箇所も良化が窺えるところですが、食生活はどうですか?
圭太:最近は随分と乗っている頃と近い状態になってきましたね。
-:今年になっても食生活について語っているスポーツ選手の記事を目にしましたが、その選手によれば「魚を食べた翌日の方が調子はいい」なんて話もしていました。
圭太:やっぱり人それぞれあると思いますよ。人によって体質も違いますからね。だから、僕がやっている食事療法も一概に良いとは言えないと思うんです。あくまで僕には合っていただけで。だから、「自分を知る」というか。まだまだ知らないことばかりで未熟ですけど、少しずつ食事なり、体のことを学べてきたことは良かったと思います。でも、もっと分からないといけないことばかりでしょうからね。
-:今はリハビリやトレーニングの日々だと思いますが、そうした気づきが復帰後に活きるといいですね。毎度言っていることですけど。
圭太:もちろんです。ただ、そんな甘くないことも分かっていますし、しっかりやっていくだけです。
-:東京が終わり、中山が開幕。ここから2開催。次の東京では戻れるといいですね。
圭太:そうですね。また戻った時は色々変えてみたいことを決めています。
-:それも楽しみですね。落馬から4か月。短いようでとても昔に感じます。まだ、復帰までは時間が掛かるでしょうが、引き続きよろしくお願いします!
圭太:よろしくお願いします!
※次回は3月4日(金)か5日(土)に更新予定です!
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keita_tosaki@keibalab.jp
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。