'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月25日時点1561勝
感触良好 復帰日は「もう少し」で表明 戦列復帰後の大目標も
2020/4/24(金)
本来ならば、戦線復帰を目標としていた東京開幕週。毎年、このタイミングで行われるフローラSは得意としていただけに残念ではあるが、そう遠くない内に復帰日を明言できるそうだ。昨年のフローラS、先週の皐月賞なども振り返りつつ、語ってくれた。
復帰後の新たな意識で… 新たな目標も
──今週から競馬界は開催替わり。中山から東京、阪神から京都へ移りますね。G1レースも一旦中団となりますが、東京の重賞・フローラS(G2)はジョッキー的にも相性のいいレース。JRA移籍以降も【1-2-2-1】とほぼ馬券圏内。相性の良さを自覚していますか?
東京芝2000mで、すぐにコーナーを迎えるコースでもあるので、位置取りがポイントにはなりますし、あまり外は回りたくないですよね。最近でこそ、馬場がエアレーション作業の影響で差しがききやすくなっている気はするものの、開幕週でもありますからね。ノームコアの年は外枠でしたが、先行できたからどうにかなりましたけど、本来外枠はやり辛いですね。レース自体はいい馬に乗せてもらっているからこその成績でしょうが、やっぱり牝馬とは相性がいいのかもしれませんね。
▲昨年のフローラSより
──昨年はウィクトーリアでの勝利。当時は逃げ宣言がありながら、一転しての勝利でした。
途中から乗せていただいた馬でしたが、逃げた時じゃないと結果を残せていないこと、ゲートが上手じゃないことは言われていましたね。追い切りでは逃げをイメージするよりも、後方から追いかける形をとったものの、レースでは逃げようということ。ただ、結果は自分で馬に負けてしまいましたね。ゲート出してあげられず、馬が能力でカバーしてくれました。最後は不運な形で引退となりましたが、ああいう競馬ができたことは収穫だったとはいえ、あのレース自体は馬に助けられましたね。
──以前、戦前に作戦の指示がはっきりしていた方が乗りやすいと言っていましたね。今はどうですか。
決して自分に自信のある人間じゃないし、心臓も小さいので、今もそうですよ(笑)。だから、逃げも含めてある程度、選択肢があればいいですけど、「絶対ハナ」なんて言われていると、どうしてもゲートでは緊張してしまいますね。怪我をした時(JBCレディスクラシック)もそうですよ。出遅れてはいないけど、外の馬の方が速かった。そこで切り替えられたら良かったのでしょうけど、ああいう結果になっているわけですし、失敗ですし、周囲には迷惑をかけました。もっと色々な競馬を想像しないといけないですね。アエロリットなんかも常にハナへいった方がいいとは思っていましたね。
──ちなみに、周囲のジョッキーは指示がハッキリしている場合はどうなのでしょうか。
正直、大半の人はあまり指示されたくないんじゃないですかね。外国人騎手なら、特にそういうプライドの高さもあるでしょうし、やっぱり自分より周りは落ち着いて乗っていると思いますし、特にベテランのジョッキーは落ち着いていますよね。そう感じます。
──かなり謙遜されていますが、JRAでも3年リーディングをとられた人ですよね…(笑)。
人に恵まれ、馬に助けられた成果だと思います。当時は「リーディングを獲りたい」という思いでがむしゃら。そんな流れの中で獲れた結果でした。ただ、今は意識の違いもありますし、また今の感覚、意識で挑戦したいと思いもあります。
5月スタートからのカムバックは見送りも 復帰日は近々表明
──僕も一時はリーディングにこだわらなくてもいいんじゃないかと思いましたが、遠ざかった今だからこそ、また獲れたら凄いことだなと感じますね。そして、この1週間の動向はどうでしょうか?
大きな変わりはないです。でも、馬に乗せてもらってもいい感触は出てきていますし、何度も繰り返すようですが、もうじき(の復帰)ということですね。あと、もう少しすれば、明確な復帰日を話せるんじゃないかと思いますね。今週から復帰するジョッキーもいて、まだリハビリ中の方もいますけど、怪我人続出の流れも僕から作ったようなものなので(苦笑)、復帰して、元気な姿を見せられればと思います。
あと、今週、ダービーまでの無観客競馬が発表されましたよね。ファンあっての競馬と思っていますが、お客さんが戻ってくるまで、復帰を延ばしているわけじゃないですし、僕にもそこまで待っている余裕はありません(笑)。6月にはお客さんもいるんじゃないか、という淡い期待もありますし、また騎乗する姿を見てもらえたらと思います。ただ、自分も昨年はインフルエンザにかかりはしましたが、こういう時代だからこそ、日頃からグルテンフリーに取り組んでいたことは良かったと思います。体調面の不安はありませんし、免疫力という点は強いんじゃないかと思うので。
──そして、先週は皐月賞が行われましたね。どう見られましたか?
サトノフラッグには注目してしまいましたね。道中はいい流れだと思いましたが、内外からきた馬が強かったですね。
──サトノフラッグはフットワークや血統的に、あれだけピッタリした馬群での競馬は向いていない感じも受けました。直線も、もう少し早く手前が替わったらと思いましたが、どうでしょうか。
それはありますね。ゆったりした走りをするところはありますから。
──先週のその他のレースでは、騎乗していたバスカヴィルが強い勝ち方。東京のイメージが強い馬でした。
それは僕も思いますね。今回については、馬場が軽くなったことは大きいようにも思えます。パサパサだと走りづらいタイプですから。
──ちなみに、先週は土曜が不良馬場、日曜が快晴。こういう時の馬場の変化は難しいですよね。
難しいですし、一番厄介なケースかもしれません。馬場を見たり、歩いたりすることでチェックしたり、どういう乾き方をするかは意識しますね。大概、内から乾きますけどね。ただ、G1があったとしても、他のレースで、あとのレースを意識した乗り方をすることはないですね。返し馬だったり、道中で感じとれる部分もありますし。
ただ、雨の中での競馬も難しいですね。あまり多くはありませんが、馬がバランスを崩したり、支えないといけませんから、普段より気をつけなくちゃいけないことが多く、気苦労がありますね。
──復帰まで、段々と迫ってきている最中。客観的にレースを見られていて、感じたことはありますか?
怪我をする前は自分が考えるポジションやレース展開にハメ込みしすぎていたと感じましたね。自分は不器用な人間ですし、イメージした形にならないと、臨機応変にできていなかったなと。馬の走り、その馬本来のペース、出方。その日によって変わるでしょうし、そこを感じとって、レースプランを立てていかないといけないですね。
──今週から開催替わり。京都の重賞・マイラーズC(G2)では大井のリコーワルサーが出走しますね。
(真島)大輔から連絡がありましたよ。「京都の坂って凄いんでしょ?」って。僕も初めて乗った時は上手く乗れなかったですし、ビックリしましたね。車や自転車で下り坂に乗っているとイメージしてもらえれば分かるかもしれませんが、馬が急に手応えが良くなるような。だから、前重心すぎるような馬だとリズムを崩しがちかもしれません。
──よく「平坦の京都が得意」と言われますが、中には、下り坂が得意という馬もいるのかもしれませんね。
あるでしょうね。今回は大輔にも感じとってもらいつつ、いい結果を残してほしいですね。
──今週もありがとうございました!
ありがとうございました。
※次回は5月1日(金)に更新予定です!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話にて取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。