'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月25日時点1561勝
本来の復帰目標だった5月 トレセンでの騎乗を再開
2020/5/1(金)
いよいよ実戦復帰も目前。牧場での騎乗は行っていたが、5月の月替わりを機に美浦トレーニングセンターへ足を運び始めるという。残すところ、あとは実戦騎乗のみだ。
昨年は2着惜敗 グローリーヴェイズと挑んだ天皇賞・春
──今週は天皇賞・春(G1)が行われます。昨年はグローリーヴェイズに急遽騎乗が決まり、結果はタイム差なしの2着と惜しいレースでしたね。
悔しかったですね…。着差が着差だけに惜しい競馬でしたが、どうにかできたんじゃないか。思い出す度に思うことはあります。ただ、G1の雰囲気のゾクゾク、ワクワクした感じはレースが近づいてきたことで蘇ってきますね。
──強いて言うなら、修正できたポイントはどんなところでしょうか。
▲グローリーヴェイズと挑んだ昨年の天皇賞・春
ホームストレッチでクリストフ(ルメール)が動いていった時にあそこで我慢せず、ついていってよかったかもしれません。最後の4コーナーでも自分の方が手応えは良かったほどだったので、被せていくような競馬をしても良かったのかなと。長距離戦だけに考えればキリはないですよね。ただ、そうしていると、逆にもっと着差がついていた可能性も否めないですね。
──今年はその後塵を拝することになったフィエールマンが大外枠。レース当日は雨予報もありますね。
頭数は少ないようですけど、それでも大外枠はやり辛いですよ。たとえ雨が降ろうと、枠の差は大きいコース、レースだと思いますね。
──ちなみに、先週の競馬でいえば、複数回乗っていた馬が多く見受けられた感がありましたね。幾つか印象を振り返ってもらえますか。
ランドネは自分の形で進められると、あれだけ走っても不思議じゃない馬ですね。大きな馬でもあり、外枠でマイペースにいけたことも良かったと思います。ブルベアイリーデは力をつけているのでしょうし、センスの良さを感じさせる立ち回りだったと思います。ヴァイトブリックは1400mが合いそうに感じましたが、気性的に安定しないんですかねえ…。ヴォールヴィコントはすぐに未勝利を脱出できる馬だと思っていましたし、1400mなんかが合いそうだとは思っていましたが、1600mが長そうな感があるとはいえ、苦戦が続いてしまっていますね。
──フローラSやマイラーズCの重賞はどうでしょう。フローラSはなかなか珍しい天候の中でのレースでした。
横山武史騎手は後半3連勝も含め、かなり勢いの良さを感じますね。あれだけ内からの砂埃が舞う状況は珍しいというか、僕も記憶にないですけど、上手いことインのポケットに入って、前が有利な状況を活かして立ち回れたことも勝因だったんじゃないでしょうか。マイラーズCは(大井時代の後輩の真島)大輔から京都コースについて連絡がきたことは先週もいったと思いますが、無事に迷惑をかけずに立ち回れていたのかと。馬自体はもうちょっと距離があった方がレースはしやすそうに感じましたね。勝ったインディチャンプは本来なら香港遠征していた日でもあったでしょうし、力の違いをみせつける結果でしたね。去年もマイルでは貫禄をみせられましたし、今後もマイルの中心の存在ですね。
──今週の南関東はどうでしょう。羽田盃、東京プリンセス賞と行われました。
羽田盃は僕がナイキハイグレードで勝たせていただいた時は自分のメモリアル勝利だったんですよね。そんなことを思い出しましたね。しかし、佐藤賢二先生は東京プリンセス賞を勝利して、羽田盃も2着はさすがだなと。羽田盃は今年の頭数が少なかったことが意外でしたが、2着のブラヴールはなかなかレースでも進んでいく様子がなく、よく圏内にきたなあ。東京ダービーでは逆転もあるんじゃないかというレースぶりでしたね。佐藤賢先生は両親も手掛けた馬でもあり、思い入れも深いと思います。
自分が乗せてもらっていた頃は、川島(正行)先生の手腕で羽田盃、東京ダービーの2冠はよくありましたが、東京ダービーって騎手もより勝ちにいく競馬をするので、ペースも流れやすいですし、波乱もあったりしますね。距離も1F延びることで、3歳馬にとってはタフな条件ですからね。次も楽しみです。
──水曜は和田譲治騎手も怪我からの復帰後、初勝利だったようですね。
そうですね。違和感なく映りましたし、しっかり結果を出すんだから流石だなと。良かったです。
──しかし、JRAの方では岩田康誠騎手が落馬負傷。松山弘平騎手も今週の騎乗を見合わせと、危ない落馬事故がありましたね。
正直、防ぎようのない故障だったと思います。岩田さん程のジョッキー、あれだけ経験も豊富で百戦錬磨の方だから、馬の歩様や感覚は間違いなくわかるはず。それでも気づけない場合の故障って少なからずあるんです。だから、レースを使った側も含め、誰の責任ともいえない、難しい、回避のしようがない事故だったと思います。怪我ときくと、なかなか他人事に感じませんし、岩田さんたちには早く良くなってほしいですね。
いよいよトレセンでの調教を再開!
──そして、ご自身はこの1週間の経過はどうですか?
体調はいいです。順調に過ごせていますし、トレーニングも追い込みを掛けているレベルですし、ずいぶん強度も上がりましたね。着々と進められています。むしろレースに乗っていた頃よりもハードなトレーニングをしているくらいですね。
そして、明日(5月1日)、美浦に行くことに決めました。
──遂に美浦ですか?
ハハハ、5月ですからね。一応、自分が復帰と決めていたタイミングなので。所属の田島(俊明)先生にも連絡をして、まずは大人しい馬から乗せてもらうことにします。
で、他のジョッキーや調教師の先生、厩舎スタッフ、報道陣の方にも会うことになると思いますが、まだ復帰の日は決めていません。体と感覚を慣らしつつ、自分と相談しながら決めていこうと思います。
──月も変わりますし、今までと違って、実戦により近い環境であり、JRAの環境での復帰。精神的な高ぶりはありますか?
牧場もそうですが、段々と環境が変わっていくことには嬉しさもあります。ただ、今までも準備はしっかりやってきたつもりなので、精神的に改めて引き締まるといったことはないですよね。
しかし、連日のニュースでも、ゴールデンウィーク中もコロナの問題で飛行機や新幹線など大きな影響を受けていますし、他の業界も大変な中、皆頑張っている中で早く収束してほしいという思い。繰り返しになりますが、その中でも開催がやれていることはありがたいと思います。聞けば、地方競馬やJRAでも日によって前年比で売り上げが上がることもあるそうですし、こうした状況下で競馬を楽しんでもらえる、より注目してもらえているのかもしれませんね。僕は乗っていませんが…。
──復帰も迫ってきました。日頃から体調管理には気を遣われていらっしゃるのは重々承知していますが、トレセンにも入られることですし、コロナにも気をつけつつ、コンディションを上げていければ、ですね。
ありがとうございます。
──次週もよろしくお願いします!
※次回は5月8日(金)に更新予定です!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話にて取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。