'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
夏競馬最終週は札幌2歳S&新潟記念 連日の重賞騎乗へ!
2020/9/4(金)
先週は5頭もの1番人気の騎乗があったものの、日曜後半まで苦戦。未勝利で終わるかに思われたが、新潟2歳Sを制し、今年重賞2勝目を飾った。今週は復帰後、初めてとなる北海道での騎乗、土日連続での重賞騎乗になるが、夏競馬最終週を飾ることができるか。
2週連続2歳重賞制覇なるか 土曜日は札幌で騎乗!
——先週は新潟2歳S(G3)を勝利ということでおめでとうございました!ショックアクションとは初コンビとなりましたが、レースは比較的、馬群が縦長で早目の流れ。戦前の見立てと実際に乗られての感触はどうでしたか。
センスの高いレースぶりでしたし、強い勝ち方をしてくれましたね。逃げるんじゃないかと思っていた馬は何頭かいましたが、さすがにどの馬になるかは読み辛かったですし、単騎で逃げる形になるとも思わなかったですね。ただ、競馬は上手なイメージももっていましたので行く馬を行かせて、その後ろからという形でも思っていましたね。
——気の早い話ですが、将来的には1200~1400mも走っていそうにも思えますが、今の上がりが掛かるようなタフな新潟の馬場も良かったんじゃないですか。
その通りですね。距離はゆくゆくそうなりそうですが、血統背景からも力のいる馬場は得意そうなタイプ。坂のあるコースなんかも良さそうなパワーも感じました。ちょっとテンションの高さはありましたが、今後もいい成長をしてほしいですね。
——今週は土曜が札幌、日曜が新潟での騎乗ですね!まず、札幌2歳S(G3)のユーバーレーベンは新馬戦以来の騎乗になりますね。
色々な媒体を拝見すると、あまり評価をされていない印象を受けたので意外でしたね。まあ、僕も相手関係はわからないですが…。新馬戦は2着馬が勝ったというレース展開。そこを負かした内容に強さを感じました。ああいう馬場もこなせたことで力のいる洋芝もこなせそうですし、コーナー4つも大丈夫だと思います。
——ゴールドシップ産駒は前年度の新種牡馬。ジョッキーは長らく戦線離脱されていたこともあり、乗ったことのある産駒はこの馬だけですね。気性面や脚質などはどうでしょうか。
新馬の限りでは性格的に問題を感じるところはなかったですよ。それに、今回は洋芝ではありますし、前回は道悪ではあったとはいえ、時計がかからないとダメというわけではなく、長く脚も使えそうだし、切れ味も秘めていそうです。
——土曜札幌新馬のテンウォークライは美浦で追い切りに乗られたようですね。日高ステークスのラベンダーヴァレイは久々の騎乗です。
テンウォークライはまだ走りがわかっていないような雰囲気でしたが、ゴーサインを出してからはいいフットワークをしていました。切れるというよりはグイグイとタフな走りをするイメージですね。ラベンダーヴァレイはこのところ1200mを使っていたようですし、その行きっぷりをこの舞台で活かせればいいですね。
——日曜1Rのラインプリンスは距離延長となりますが、3Rのキララ、4Rのマイネルパイオニアと3歳未勝利戦で惜しい競馬を続けてきた馬ですね。
ラインプリンスは1200mでは忙しかったですし、あの距離を使ったことがいい刺激になってくれれば。力はありそうですよ。キララはあの距離でも忙しさを感じずに運べましたが、相手が悪かったですし、マイネルパイオニアも相手一つですね。
——2歳新馬のダノンヴェロシティはダノンキングリーの弟。否応なく注目が集まりますね。
期待、注目されていることは感じますね。お兄さんと比べると非力さは残りますが、フットワークはいいものを感じます。どんな走りをしてくれるか楽しみですね。
——古町ステークスのグランソヴァールは今回、距離延長ということですね。
そうなりましたね。センスはありますし、乗り易い馬。正直、距離延長がカギになるとは思いますが、馬はトライしてみないと可能性は開かないことは多々ありますから。どうなるか僕も楽しみです。
——新潟記念(G3)のアイスバブルは初騎乗に見えて、昨年春にひょうで中止になったレースで騎乗予定でしたよね。
勝利こそ届いていないものの、力はありそうですね。どちらかといえば上がりが掛かった方がいいイメージがあります。
——全兄のグリュイエールは度々乗っていましたが、比較するとどう感じますか。
いやあ~グリュイエールはレコード勝ちもするくらいでスピードがあるイメージ。こちらはゆったりしていてジワッと脚を使いそうですね。
暑さに見舞われた新潟 競走成績にも影響が
——先週のレース回顧もお願いします。朱鷺Sのアビームは関東馬同士のレースで連勝してきたとはいえ、意外な敗戦となってしまいました。
正直わからない負け方ですね…。道中はイメージ通り、いい雰囲気で運べたと思うのですが……。
——テン乗りとなったレッドベレーザは特殊な展開が難しかったですね。
後ろからという指示もありましたし、タフな馬場もこたえましたね。
——BSN賞のアポロテネシーは上がりの速い流れになったのが良くなかったですか?
いや、モマれ弱さを出してしまいましたね。どこかで外に出せたらとは思っていましたが……。
——新馬のレーヴドゥラプレリはやウエスタンエポナ、2歳未勝利のミエノムガールなどはどうだったでしょうか。
レーヴドゥラプレリは期待が高かったのですが、ゲートで上手くいかず、直線で早めに外に出したところノドに気になるところが出ていました。原因が改善されれば、こんなことはないと思うモノはあるのですが……。ウエスタンエポナはスタートしてから外を眺めたり、若さがある馬でしたね。ただ、上手に走ってくれましたし、大外枠もありましたからね。ミエノムガールはフットワーク自体いいのですが、なにか走る気が向いていないですね。この馬にしかり、暑さが影響していたレースは多かったと思います。
——僕も逐一、レースを振り返る時は競馬場の気候もチェックしていましたが、今年の新潟は開催日にそこまで気温が上がっていなかった中で先週は暑かったですね。
いや~厳しい暑さですし、湿度も高かったんじゃないでしょうか。本当に馬たちには頭が下がる思いです。
——夏競馬最終週ながら、今週末も大変そうな予報ですね…。先週の芝についてはどうでしたか。
率直にタフな状態でしたね。先週、臨む前はまだコンディション的に大丈夫かと思っていましたが、見立てが違っていたところはあります。展開次第ですが、内回りは流石に内を空けて、とはいきませんが、レースによっては外目に進路をとる必要もありそうですね。
——最後に、今週で夏競馬も最後。今週は競馬ブックさんのインタビューにも登場されていましたが、このところのスポーツなどで気になった出来事はありましたか?
水泳の池江璃花子さんですね。闘病からの復帰には感動しかなかったです。あんな若さにして考え方もしっかりしていますし、刺激にもなりますし、感銘を受けました。病気と怪我で一緒にするにはおこがましいですが、自分も同じような時期に怪我をして、競技者として復帰するということに少なからず感じることはありますし、戻ってこられたことにはきっと感動があったと思うんです。
やっぱりこういう怪我などは経験をした人にしかわからない領域もあると思いますし、僕も昔はそんなことを一切思わなかったのですが、「命をかけてレースに乗っている、命を張っているんだな」と感じたんですよね。池江さんもあれだけの闘病生活から復帰されて、本当に命を張られていたと思いますし、ここのところ、一つの励みになりました。僕も負けないよう頑張りたいですね。
——久々にこうした話題を伺いましたが、見たもの感じたもの、競馬以外でもまた伺えればと思います。次週からは秋競馬。紫苑S(スカイグルーヴ)、京成杯AH(アルーシャ)とありますが、ダノンキングリーも次戦の予定が天皇賞・秋と発表されましたね。次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
※次回は9月11日(金)に更新予定です!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。