'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
京成杯AHはアルーシャ&紫苑Sはスカイグルーヴで重賞Vなるか?
2020/9/11(金)
今週から秋競馬が開幕。例年通り、今開催は中山を主戦場としていく戸崎騎手だが、早速開幕週から連日の重賞騎乗となる。また先週は惜しくも2着だったものの、2歳重賞では牡牝の有力馬で上位争いを繰り広げたことに。3歳や古馬重賞でも結果を残せるか、可能性を探った。
レコード決着を2着惜敗 ユーバーレーベンの2戦目の変化
——先週は札幌2歳ステークス(G3)で惜しくも2着。2歳重賞連勝となるかと、力の入るところでしたが、惜しい結果でした。ユーバーレーベンについては新馬に続く騎乗。レース後の談話などは目を通させてもらいましたが、改めて振り返っていただくとどうでしたか。
本当に大ざっぱな競馬になってしまいましたね。レースの組み立てというよりは思い切ったというか、強引な競馬。新馬の頃と比べて随分我が強くなったと感じました。
——道中は最後方からの競馬は意外でした。向こう正面からマクって行くようなことも乗り方としてはあまり多くないだけに、レース中はそれだけ手応えがあったのかと思いました。
位置に関してはゲートの課題もあったので、ああいうことになるとは頭の中にはあったんです。ただ、思っていた以上についていけなかったですね。上手に走るところがなく、遊んでしまって、進むとエンジンが掛かり過ぎるようなオンとオフの2つしかないとは表現させてもらったのですが。それだけに差せる手応え云々というよりはもう少しハミをとっていく感じを覚えてほしいですし、指示にしたがってくれると競馬はしやすいものですが……。
——戦前は気性的な面についても一言評価してもらっていましたが、今後は気性面の課題がつきまといそうですね。
走ることに丸っきり意欲がないわけではないのはまだ良かったと思います。ただ、競馬が終わって振り返ると、ゴールドシップに通ずるところがあるのかなとは感じましたね。
——馬体重はプラス20kg、そこはどうでしたか。
重さは感じなかったですよ。特に影響はしていないと思います。
——あとは4コーナーでのコーナリング、逆手前で減速するようなところがありましたね。
よくコーナーで外に飛んでいってしまう馬っているじゃないですか?それなんですよね。レースに向かっていってないんです。や~めた、という感じになってしまっているんですよ。まだそこが軽い分、あれくらいで収まりましたけどね。そういうところがありながらもあの着差ですし、良馬場にも対応してくれただけに、今後は精神面の成長が求められるんじゃないかと思います。
中山開幕週は紫苑S&京成杯AHと連日の重賞騎乗
——今週ですが、なかなか実際に乗られたことのある馬自体が少なく、話題は限られるところ。まず紫苑ステークス(G3)のスカイグルーヴは調教も含めて初めてのコンビですね。
新馬戦が強い内容だったことを覚えています。力はあると思いますし、道中のリズムが大事になってきそうですね。そこに気をつけつつ乗りたいです。
——京成杯オータムハンデキャップ(G3)のアルーシャは春の東京に続く騎乗です。実際、当日にどうなるかはわかりませんが、今週末は雨マークもついていますね。
前走は強い内容でしたね。中山でも走れていますし、いいイメージで行きたいところ。前回はあんな馬場でもノメるところはあったものの、上手に走っていましたよ。
——この中山は野芝だけでの開催。馬場傾向は未知数ですが、昨年は勝ち馬が逃げ切るレースでしたね。
それなら渋ったくらいの方が差しやすいかもしれませんね。どうも聞くところ攻め馬も引っかかるところがあるらしく、以前のレースを見てもムキになるようなところがあったりと気をつけるところはありそうですが、差しが利く流れになってほしいですね。
次週は復帰後、初となる中京競馬場への遠征&サトノフラッグと再コンビ
——先週の競馬も改めて振り返っていただくと、土曜札幌ではコンダクトレスで勝利されましたね。
レース前は2番手くらいが理想。レース前は隣に速い馬もいて、枠の並び的にどうしたものか、といった感覚でした。決してスタートも速くはないですし、大きな馬なので瞬時に動けそうなタイプではないだけに囲まれたくなかったですからね。ただ、1コーナーに入る時には上手くつけられて運が良かったと思いますよ。あのレースに関しては、凄く上手くいったという感じでしたね。リズムよく行けた方がいいし、長い脚も使えるタイプなので、自分から動ける位置で運べたことがよかったです。
——新馬のテンウォークライは初戦から2着に好走しました。
追い切りに乗せていただいた中で、ああいう競馬がいいんじゃないかと思っていたんです。敗れはしましたが、使って良くなりそうですし、次が楽しみです。
——キーダイヤは昇級初戦で4着でしたね。
いいスピードがありますね。2番手でも力むことなく競馬ができていましたし、今後に選択肢の広がる内容だったと思います。あのスピードなら千直でもいいくらいですよ。
——日曜新潟のラインプリンスは距離延長で挑んだ一戦。不利もありましたが、それがなくても、勝ち負けまではどうだったでしょうか。
ある程度、位置をとって競馬はしたいと思っていました。気のいいところがあって、道中でハミをとるところがあり、リラックスして走れなかったのですが、そこが次への課題ですね。前をカットされたロスもありますけど、それよりは道中の力みですかね。
——キララは連闘で挑んだものの、外に先行馬が多いレースでしたね…。
囲まれてしまったことが痛かったです。本当は東京で負けてしまい、権利を取れなかったことがここまで響いてしまいましたから、そこから申し訳なく思います。馬は連闘の中でも頑張ってくれました。
——ダノンキングリーなどの弟・ダノンヴェロシティはどうでしたか。
調教と比較して、芝での走りが良かったです。伸びかけたところで止まってしまいましたが、まだ体力が不足しているといいますか、非力。間隔を空けると思いますので、次成長してくるか楽しみです。
——古町ステークスのグランソヴァールは差しの利く流れでしたが、やはり距離が敗因でしょうか。
いい展開だなと思っていたのですが、2コーナーくらいから覇気がないといいますか、行きっぷりが悪く、疲れなのか、夏負けなのか、状態面の問題がありそうでしたね。
——新潟記念のアイスバブルはブリンカーを着けて挑んだ一戦。展開も向かなかったですかね。
道中でもう少しリラックスして走らせてあげたかったですし、新潟でヨーイドンの競馬になったのは分が悪かったですね。叩いて良くなる余地はありそうです。
——今週から秋競馬となります。ここまでの夏競馬を振り返りつつ、今後の展望もあればお願いします。
夏競馬は重賞を勝てたことは良かったですね。ただ、人気がありながら飛んだレースも多いですし、そこは反省して今後に活かしたいもの。秋のG1も始まりますし、お客さんが競馬場に入れるのはいつになるのか。まだ先かもしれませんが、話題的には盛り上がってくるところ。一つ、一つ、丁寧に乗るというスタンスは変わりません。開幕週だからと気の利いたことは言えないですけど(笑)、スミマセンね。
——存じておりますが、とりあえずそういう節目なので一応振らせていただきました(笑)。先週は久々の北海道での騎乗。空港の様子などには変化はなかったですか。
いや~それが思いの外、人がいるなという感じはしましたよ。ただ、新潟への移動は少し少ない印象はありましたね。自分も久々の飛行機移動だったのは新鮮でしたし、離陸は怖かったくらいですね。
——次週は日曜が中京でローズS(G2)に騎乗ということで、これも復帰後、初めての中京ですね。また、来週の3日競馬、セントライト記念(G2)ではサトノフラッグに騎乗されますね。
僕が乗せていただくのは新馬以来でしたけど、随分変わりましたね。いい雰囲気でしたよ。
——その辺りも次週、伺いたいと思います。また引き続きよろしくお願いします。
お願いします!
※次回は9月18日(金)に更新予定です!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。