'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
フリオーソ産駒で久々V&オールカマーはセンテリュオと初コンビ
2020/9/25(金)
3日間開催は3歳重賞に連日騎乗も、惜しくは勝利とならなかった戸崎騎手。しかし、ジョッキー自身にとっては縁の血統馬と久々の出会い。予てから「思い入れのある馬」と公言するフリオーソの産駒で3年ぶり勝利となった。今回は普段以上にレース回顧を割いてもらいつつ、コンスタントに勝ち星を重ねている中山開催への展望も語ってもらった。
サトノフラッグは差しきれず2着 オールカマーはテン乗りタッグ
——先週は、一番の注目所と言ったらサトノフラッグと挑んだセントライト記念(G2)だったと思います。結果は残念ながら2着でしたね。
やっぱり弥生賞の走りが印象的で強かったイメージがあったので、ああいう形で進められれば良いなと感じで乗りました。3コーナー辺りからちょっと仕掛けるというか、上がっていく感じで、反応も良くて、スムーズに上がっていけたんですけど、直線に向いて並び掛けるところくらいからちょっと内にササりだして、苦しくなったのか、差し切れなかったですけど、勝った馬(バビット)も良い感じで逃げていましたし、前走(ラジオNIKKEI賞)でも強い印象もありましたからね。
——結果、重賞ウィナーで上位を独占する結果でしたが、バビットの前走は同じレースに乗っていましたもんね。
今回は休み明けの分と考えて、次(菊花賞)に期待したいなと思いますね。
——今回乗られて、もう少しこういうところを改善できれば、というポイントはありましたか。実際に追い切りに乗られて、あくまで新馬との比較とはいえ、成長は感じられたと思われますけど、追い切りに乗られた感触と実戦に行っての違いもあったのでしょうか。
いやあ……正直、今回に限ってはイメージ通りに行けましたし、自分としては何とも言えないですけど、その辺は周りが判断してくれればと思います。直線であそこから伸びて、差し切ってくれれば最高でしたけど、直線に向くまではイメージ通りというか、すごく良かったですし、ね。
——僕も4コーナーくらいから、勝てたなと思って観ていたのですが……。さて、その他のレース回顧もお願いしたいところですが、先に今週末の話題についてお願いします。まず、土曜日の2歳未勝利からラブバルドーは初コンビですが、追い切りに乗られて、メイサウザンアワーは福島に続いての騎乗ですね。
ラブバルドーは追い切りに乗せてもらいましたけど、ちょっと走ることに真面目過ぎる感じで、それを活かした競馬になりそうですかね。メイサウザンアワーは新馬でも期待をしていたので、今回も良い走りをしてくれるんじゃないかなと。すごく乗りやすいですし、期待しています。
——(3歳以上1勝クラスの)ラッシュアップは比較がないと思いますが、新馬勝ちして以来のコンビですね。
新馬の時は良い勝ち方をしてくれたんですけど、ちょっと気性が難しくなるんじゃないかという懸念があって、そういうところがレースに影響しているのかなという感じですけどね。
——その当時から、精神的な問題というのはおっしゃっていましたもんね。九十九里特別のカンバラは3歳牝馬で昇級となります。ながつきSのレッドアネラはおなじみの存在ですね。
カンバラは前走も良い勝ち方をしてくれました。リズム良く、気持ち良く走れれば、通用するんじゃないかなと思っていますけどね。レッドアネラの前走は強力な同型馬もいて、リズム良く走れなかったです。枠順の並びなど左右されるところがあるかなという感じですが、上手く走れれば良いなと思いますね。
——(3歳以上2勝クラスの)レトロフィットも2勝を導いている馬ですね。
このクラスでも力は証明出来ているので、力を出し切れるような走りはしたいですね。コーナリングが不器用なところはありますけど、ここ最近は衰えだったり、気持ちが乗らなかったりというところもあるのですかね。
——日曜の2歳未勝利のテンウォークライはいかがでしょうか。
前走は良い形で運べて、使った方が良くなるかなというイメージはしていました。ただ、芝の本当に速い時計、馬場になると分が悪いのかなという感じはしますけど、良いパワーは持っている馬なので、メンバー次第だったりというところはありますかね。
——オールカマー(G2)のセンテリュオはテン乗りですね。
ポジションは後ろになるイメージはしているんですけど、そうなったからと言って、最後の脚は良い脚を持っていると思うので、そこに賭けたいなと思いますね。
ゴドルフィンのフリオーソ産駒と初コンビ&フリオーソ産駒で久々勝利!
——先週のその他の話題もお願いします。テイエムオペラオーCで2着のモクレレはこの馬らしいペースになったと思いますが、長期休養明けでも健闘しましたね。
展開は向いた感じですけど、何せ1年4カ月振りですからね。負けはしたんですけど、頑張ってくれているかなと思いますね。怪我の影響を感じない走りでした。
——(2歳未勝利3着の)バジオウは押し切れて良さそうなペースでしたが、3着でした。
周りもそんなに主張するというか、行く馬もいなかったので、逃げる形になりました。ペースも楽に行かしてもらっていたので、正直押し切ってもらいたかったというのはあるんですけどね。右回りがちょっと外に逃げるような走りをしていて、その辺がトモの甘さが出ているのかなという感じですね。左回りの方が走りやすいのかもしれませんね。
——結局、そうなるとコーナー4つになったというのも、あまり良くない感じだったのですか。
いや、その辺は良いと思いますけどね。
——新馬も良い内容だったのでここは突破して欲しかったところですね。ローズS(G2)で10着のシャレードはいかがだったですか。
前回よりもちょっとイレ込んでいるような感じはありましたね。そんなに差のないところまでは来てくれているんですけど、ワンターンの方が競馬はしやすいイメージはありますね。女馬にしてはパワーもあるし、シッカリとしているんですけどね。器用さにちょっと欠けるようなところがあるので。
——僕は中京の方が坂もあるし、新潟より良い感じがしたんですけど、器用さというところですか。レインボーSで7着のゴールドスミスはいかがだったでしょうか。
外枠(13番)でしたので、あまり位置は気にせずに運びました。3コーナーから動いて、長く脚を使わせようかという競馬。中山で勝った時も同じような感じだったのでね。今回は久々の分かなという感じですね。
——松戸特別のラストマンは、2着馬(ヒロイックテイル)も強い内容で勝ってきた馬でしたが、こちらも一連のレースぶりでは素質を感じさせる内容をみせてきていました。
返し馬では随分若さが感じられるような走りの印象を受けたので、馬群で走れたのも良かったです。良いタイミングで追い出せたので、集中して走れたのかなと思いますね。
——汐留特別で6着のヤシャマルはいかがだったでしょうか。
自分の中でも位置が一列後ろになってしまったので。ちょっと早めに踏んでいきたいと思って、コーナーから動いていきたいと思った時に、位置取りが後ろになっちゃったので、その辺がもったいないレースしてしまったという感じですね。でも、あのレースは捲られて、僕の前の北村さんの馬(ライレローズ)も進路が狭くなる感じでしたけど、全体的に難しいレースになってしまった感覚はありましたね。
——頭数もいなかった割には、観ていると色々あったなという感じはしましたからね。
だから、自分もちょっと3列目じゃ嫌だなというのがあって、動きたいなというところで余計にチグハグになっちゃったところがありますね。状態自体は良さそうだったんですけどね。
——(3歳以上1勝クラス1着の)プントファイヤーは相手もちょっと楽だった感じはしますけど、展開的にもペースはうまく向いてくれましたね。
前走はちょっと砂を被って、嫌がっていたようなところもあったので、内枠(2番)も嫌だなという気はしていたんですけど、上手に走ってくれていましたね。最後もシッカリとした脚取りで伸びてきてくれたので、良かったと思います。
——(3歳以上1勝クラス2着の)デルマクリスタルは昇級緒戦でしたが、十分に目途が立つ内容だったかなという感じでしょうか。
この馬は通用すると思っていたので、もうちょっと直線でスムーズだったら、という感じでしたね。東京の方が力を出し切れるように思うので、次に期待したいですね。
——(2歳新馬3着の)アラビアンナイトはかなりペースが遅かっですね。
本当にペースは遅くなり過ぎるというくらいでした。スタートは良かったので、もう少し外を回るのを覚悟して行っていれば、もっとスムーズな競馬が出来たんですけどね。囲まれてちょっと窮屈な競馬になりましたけど、最後の脚は本当に光るモノがありましたので、すごい次が楽しみですね。
——(2歳未勝利11着の)エンテレケイアという馬は先週聞き忘れていたんですけど、追い切りに乗られていましたね。距離延長での一戦でした。
距離延長自体は良いかなと思っていたんですけど、芝では分が悪い感じがしましたね。気性的にも難しいところがあるかもしれないですけど、かと言って、追走手一杯という感じだったので、色々と条件を変えないと厳しいかなという感じですね。
——前回は1200で、馬場が悪かったですからね。おそらくアジアエクスプレス(産駒)に乗られたのは初めてだったと思いますけど、何か似ているところ、感じられる部分はありましたか。今のところダートでの活躍が目立ちます。
似ている部分はあまりないかな。ただ、ダートは良さそうなイメージはありますよ。
——さて、ここからはフリオーソ産駒に久々騎乗されたということで2頭についてお願いします。まず、2400m戦で勝利した(3歳以上1勝クラス1着の)リュードマンはいかがだったでしょうか。
この馬はイメージ通りというか、強い内容で勝たせてもらったなという感じですね。レース映像を観ていても、ちょっと前半モタついたりして、スタッフからの指示なんかもそういう感じだったんですけど、そこからは良い手応えで走ってくれたので、組み立ては楽でしたね。
——最後もあんなにアッサリ抜け出してくるとは意外なところはありましたけど、やっぱり(フリオーソの子供という)血統的な相性の良さでしょうか(フリオーソ産駒ではタイキフェルヴールの2歳未勝利以来、2勝目)。
ハハハ(笑)。乗り易くて終いもシッカリしていましたから、長いところならば上にいってもやれそうですよ。
——(2歳未勝利4着の)ゼローソは純正フリオーソ産駒といいますか(笑)、おそらくゴドルフィンでのフリオーソ産駒は初めてのようですし、父と同じグループということで騎乗依頼がないものか、と個人的には感じていました。
そうですね(笑)。この馬は新馬の時に前半ハナに行ったくらいなんですけど、今回はちょっと後ろからというか、最後を伸ばすようなイメージで行こうという感じでいました。前半は無理せずに溜める競馬で、内容は良かったと思うので、こういう形でレースをしていけば、チャンスは十分にあると思いますね。
——今回勝ち馬(サンキューレター)もちょっと強かったなという内容でしたからね。もう少し数を使って、経験を積んでいけば、という感じですね。今週は余談を他にも色々伺いましたが、今回は文字数も多いので次週にいければと思います。今週もありがとうございました!
ありがとうございます!
※次回は10月2日(金)に更新予定です
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。