'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
2歳ダート路線の新パートナーとなるか?土日東京14鞍に騎乗
2020/10/16(金)
先日は3日連続の重賞騎乗も残念ながら未勝利。今週は重賞での騎乗もなく、ここのところの好調の流れも小休止といったところだが、8月中旬から毎週キープしている勝ち鞍は期待できそうなラインナップ。今週もレース展望・回顧とじっくり語ってもらった。
土曜プラタナス賞で新馬勝ちゴールドレガシーが2戦目
——今週は残念ながら重賞での騎乗機会がありませんが、土日の東京で楽しみなところも。早速時系列順に伺っていければと思います。土曜の2歳未勝利ではアカイトリノムスメが予定。新潟での新馬戦に続く騎乗となりますね。
1週前に追い切りに乗せていただきました。正直に言えば、ガラっと変わってきたところがないんですよね……。先週のウッドコースはかなり力の要る馬場でしたが、それでも変化した様子が窺えませんでした。気持ちの面も前向きさに欠けるし、体もパンとしたところが足りなくて。良血馬でもあるのでレースで上向いてくれればいいのですが。週末が雨ということで時計が掛かるのは良いのかもしれませんが。
——プラタナス賞は2歳ダートの特別戦。自ずといいメンバーが揃いそうですが、ゴールドレガシーは新潟での勝ち方が目立ちましたね。
能力はあると思います。なかなか勝ち切れないようなレースぶりから差し切ってくれましたからね。ただ、コースも馬場も距離も変わりますし、新馬から2戦目での変化は未知な部分が大きいと僕は思っているのでそこがどう出るか。上手くいい方向に向いてほしいものです。
——白秋ステークスのビッククインバイオは前走も東京で勝利。昇級初戦となります。
凄く乗り易い馬なんですよね。どんな形でも競馬はできそうですし、前走もしっかり勝ち切ってくれたように上にいってもチャンスはありそうですよ。
——日曜の未勝利ではラインプリンス、ミエノムガールと継続騎乗です。
ラインプリンスのレース内容は良くなってきています。あとは力関係次第というところですね。ミエノムガールは前走、初めて乗せていただきましたが、戦前も期待していました。ただ、向こう正面から進みっぷりが悪かったですね。芝でもこなせそうな雰囲気もありましたし、変わり身をみせてほしいですね。
——3歳上1勝クラスのデルマクリスタルは中山でも好走、ラッシュアップは久々の騎乗でも見せ場がありましたね。
デルマクリスタルの条件自体は良くなると思います。前回で昇級にもメドを立ててくれましたし、スムーズに運べれば今回も楽しみです。ラッシュアップはあまり雨が降りすぎるとどうかと思いますが、長い距離も試したいと感じました。道中のリズムが重要にはなると思います。あまり雨は降らない方がいいように思いますけどね。
——先週は開幕週・開催初日ながら芝は不良馬場。傾向はどう感じられましたか。
あれだけ降ってしまうと内も外も関係ないと思いました。差しが効いていたように感じるかもしれませんが。差がないからこそ、ペース次第という感覚ですね。日曜は乾きが早くて、馬場に苦しんだ馬もいましたけど、外よりも内の方が馬場の乾きが良かったように思えます。また今週も雨のようで判断は難しくなりそうですね。
サトノインプレッサ、インティ 重賞で人気に応えられず
——先週のレース回顧もお願いします。毎日王冠(G2)のサトノインプレッサはゲートの課題も危惧されていましたが、その通りの結果に。ただ、それにしてももうひと伸びがあっていいと思いました。
ダービーでも4着などの実績もありましたし、またがることを楽しみにしていました。ただ、全体的にイレ込んでいたところがあったのかもしれませんね。気をつけてはいましたが、ゲートもあれだけの出方でしたし、道中は縦長の隊列。脚を使えればと思いましたが、伸びがみられなかったです。重馬場でも走っていましたが、道悪もいい感じはしないですね。
——グリーンチャンネルカップのデターミネーションはペースを考えると、もう少し粘りたいところでしたね。
ゲートの中でうるさくて我慢がきかなかったですね。隣の馬が暴れた時に気にしたことでゲートを出られませんでした。その後はリズム良く運べたと思うのですが、最後は伸びきれませんでした。
——ゴルトベルクは昇級初戦ではありましたが、連勝でしたね。
期待していた通りではありましたね。この馬も全身で元気の良さを出すようなところがありますが、その分、勝負根性もありますね。レースは上手に走ってくれましたし、最後もしっかりしていました。精神的な面は大人になりつつあるところも感じましたし、今後も期待ですね。
——ソーヴァリアントはペースが遅かったとはいえ、あの後方からよく来ましたね。
スタートでは腰を沈めるようなところがあり、タイミング悪く切られてしまいました。上手く出られなかったこともあるのですが、走りのハマりも悪く、3コーナー辺りから徐々に気持ちも含め、いい方向に。力のあるところは見せてくれました。
——アラビアンナイトは馬場が心配されましたが、差し切り勝ちでした。
日曜はそれでも乾いてはいましたからね。新馬でもいいモノを感じましたし、結果が出て良かったです。
——アイルビーザワンはペースが速すぎたものの、ダートは良さそうでしたね。
新馬の前に追い切りに乗せてもらったところ、芝の方がいいんじゃないかと思いましたが、当時よりしっかりしましたし、その分、ダートでも良くなっていましたね。
——新馬、2戦目と強い内容だったレッチェバロックはまさかのレース内容に感じました。馬場差を考えると、あれくらいのペースでもこなせていいように思えました。
う~ん、全体的にひと息で走っていましたね。簡単に行かせてもらえなかったことで最後に響いてしまったかもしれません。以前との比較がつかないのでわからない部分もありますけどね。
——サウジアラビアRC(G3)のジャンカズマは4着。どちらかというと、長く脚を使うようなタイプと感じていたのですがどうでしょうか。
そうですね。切れ味よりも一定の脚を使うようなタイプでしょうね。道悪は新馬で走っていましたし、問題はなかったですけど、まだ体のゆるさもありましたし、しっかりしてくれれば、走ってくると思います。
——ブランクチェックはレパードSに続いて脚抜きのいい馬場でしたが、できれば差し切ってほしいところでしたね。
追い切りに乗って、悪くはないのですが、少し良い時よりは落ちる感じはありました。その辺りが最後の詰めにつながったのかもしれません。一度使ったことで上向いてくるでしょうし、内枠でもこなしてくれましたからね。
——ステファノスらの妹にあたるスノーハレーションはどうでしたか。
追い切りに度々乗せていただいて毎週良くはなってきましたが、追い出してからピリっとしたところがほしかったですね。一度使った次はそうしたところが出てくるのではないでしょうか。
——清水厩舎のジオフロントは真っ直ぐ走れていれば、勝っていたかもしれませんね。
ずいぶんとササりましたね。修正しながらの走りで気持ちよく走れていなかったですよ。
——そして、月曜日は盛岡競馬場で南部杯(Jpn1)、インティの復活となるか、楽しみにしていた方も多いと思いますが、いかがだったでしょうか。
内枠でしたし、いい形を取れたのでやれるかと思ったのですが、早々と脚がなくなってしまいましたね。馬自体は流石、あれだけの実績を残すだけのモノは感じましたし、気持ちの面が大きいのかなと思います。
——結果は残念ではありましたが、隣の枠には南関東時代の同僚である繁田健一騎手がモジアナフレイバーに騎乗。レース前・後、言葉は交わされたと思います。
あそこまで行ったので勝ちたかったし、一旦勝てるかと思った、とは言っていましたね。ただ、あそこからの差がJRA勢との差なのかと。陣営はそこを埋めるよう努力しているでしょうし、南関東生え抜きの馬。なんとか頑張ってほしいですね。
——しかし、レースの時は大雨。天候含め、どうでしたか?
雨自体は直前に強くなってきたんですけどね。ただ、秋の盛岡は寒いイメージがあったのですが、思いの外、大丈夫でしたよ。
——今週末も寒くなるそうですが、暑さ・寒さ、前にも聞いたかもしれませんが、どちらの方がやりやすいですか。
やっぱり暑い方がいいかな。昔より大丈夫になってきたので。ただ、1日通して乗る分には寒い方が疲れはマシですよね。馬にとっては脚元や熱中症を考えると、冬場の方がいいと思いますけど。
——そして、先週から限定的ではあるものの、有観客での開催でした。違いはありましたか。
土曜はあれだけ雨が降っていましたし、視界がガスって見えなかったんですけど、日曜は少しの人数ではあったものの、感じられました。馬に対する影響はこれくらいではなさそうですけどね。パドックなんかでも距離がありましたし。南部杯の時はもっとお客さんがいたようですが、馬が先出しだったり、視界も悪くてみえなかったですけどね。ただ、やる気というか、いい意味でも緊張感がありました。昔のような光景になるまではまだ時間が掛かるのかもしれませんが、画面越しでも期待に応えられるよう、毎週末頑張りたいですね。
——来週は菊花賞(G1)でサトノフラッグ、富士ステークス(G3)でサトノアーサーに騎乗されますが、G1での騎乗も続きますね。次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
※次回は10月23日(金)に更新予定です
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。