'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月11日時点1556勝
マイルCSは「充実している」ヴァンドギャルドとの初コンビ
2020/11/20(金)
今週から一時的な2場開催、3日間開催は東京&阪神と転戦する戸崎騎手。マイルチャンピオンシップはヴァンドギャルドと初コンビを組むことになったが、1週前には負傷後初めて栗東トレセンへ赴き、追い切りにも騎乗している。また出世レース・東スポ杯には新馬勝ちに続いてタイトルホルダーの鞍上に。古馬G1、未来を占う2歳戦で躍動を期待したい。
3日間開催は東京→阪神→東京で騎乗 東スポ杯はタイトルホルダーで連勝狙う
——まず、先週のエリザベス女王杯(G1)ですが、センテリュオに騎乗して5着という結果になってしまいましたが、いかがでしょうか。
馬の雰囲気はオールカマーの時よりも良くなっていましたね。スタートが良かったので、ある程度ポジションを取れれば、と思ったのですが、その後の追走も忙しくなってしまって、後ろからになってしまいましたね。それでも最後は伸びてはくれていましたね。
——前半は出していこうとしていたところは誰が見ても分かると思うのですが、なかなか追走が叶わなかったですね。
その後もちょっと促すような感じで行っていたので、(手綱を)持ちながら、という競馬にはならなかったですね。
——1コーナーの入りはそれ程でもなかったですけど、1頭が後続を引き離す形。結果的にペースはどのような流れだったと思いますか。
速いとも言えませんが、遅くはなかったんじゃないですかね。ただ、ああいう形になると、時計的にそんなに速くなくても、前を追っ掛けるという傾向にはあると思うので、少し前がかりになるのかなと。
——前回みたいに序盤が極端なスローで、ロングスパート勝負のようなレースとはまた違ったわけですね。体型的にも首が長くて、長く脚を使う特性を持った馬ですが、やっぱり脚の使い方がなかなか上手くまとまり辛いのだろうなという感じがしていたのですが。
道中は(手綱を)持っていたいタイプですよね。本来、持って追走できるような形が理想の馬だと思うので。勝ち馬も位置的に同じようなところにはいましたし、センテリュオも最後は伸びてくる馬なので、そこで離されているということは……。重賞を勝ったのもこの間が初めてで、キャリアの差も出たと思います。
——今週の騎乗馬についてもよろしくお願いします。土曜東京の西湖特別はルコントブルーで連勝が懸かります。
前走も強い勝ち方ができたので、クラスが上がっても通用するなと思いますけど、久々だったりとポイントかなと思いますね。馬場もあまりパサパサだと前回と条件が違い過ぎてしまいますね。
——伊勢佐木特別のヴィアメントは追い切りに乗られたそうですね。
レースでも走る気になったり、あまり気持ちが乗らなかったりということがあるみたいなので、その辺は上手く促したいなと思いますけど、能力的には通用する力はあると思いますね。
——奥多摩Sのビッククインバイオは前回のペースが厳しかったですね。
前走はちょっと気持ちが入って、道中もリラックスして走らせられませんでした。精神面を上手く落ち着いて走ってくれれば、十分に通用すると思いますね。
——(3歳上1勝クラスの)フラワリングナイトは前回に続いての騎乗ですね。その際の勝ち馬は昇級で好走、2着馬は先週勝ち上がりました。
前走で初めて乗せてもらったのですが、テンションも高めで、少し教えるというか、最後を伸ばすイメージで乗りましたけど、良い形でレース内容としては良かったので、もう少し道中落ち着いて走ってくれれば良いなと思いますね。能力は足りると思います。まだ気持ちが入り過ぎているので、ドンと競馬をしたくないイメージはあるんですけどね。今回が良くても、この先がということもあるので、落ち着いて走ってくれれば良いなと思いますね。
——日曜のマイルチャンピオンシップ(G1)はヴァンドギャルドに騎乗。先週の追い切りに跨がられただけでの話となりますが、馬自身は重賞を制しての再度のG1挑戦ですね。
攻め馬も乗って、本当に充実している雰囲気は感じました。良い状態だと思いますし、当日は出来るだけ落ち着いてほしいですね。スタートも上手に出てもらえれば、良い戦いが出来るんじゃないかなと思っていますね。僕が乗せてもらっていない時ですが、何度か出遅れているのはテンションの問題もあるようなので。
——安田記念の時はダノンキングリーの隣で走っていて、ちょっと折り合いとかもどうかなという感じもしましたけど、前回観ている分には問題なく映りました。調教で乗られた限りでは折り合い面はどうでしたか。
落ち着いて走っていましたけどね。
——先週日曜日も阪神で乗られたと思いますけど、今の芝に対する適性はいかがでしょうか。
問題ないんじゃないですかね。どちらかといえば、上がりは掛かった方がいいとは思いますが。
——ジョッキーとしても、是が非でもこの秋には久々のG1勝利を成し遂げてほしいところです。
先週もクリストフ(ルメール)の素晴らしい騎乗がありましたけど、やっぱりこの秋は、日本人ジョッキーにとってはチャンスが多いシーズンだと思いますし、自分もそのチャンスをつかめる一人になりたいですね。
——月曜日には東京に戻られますね。(2歳未勝利の)プレフェリータはダートになりますが、いかがでしょうか。(同じく2歳未勝利の)アルトヴォラーレは前回相手(勝ち馬)が悪過ぎたと思います。
プレフェリータは芝でもうひと押しに欠けたので、ダート替わりが良い方に出ればなと思っていますね。アルトヴォラーレはとても乗りやすくて、競馬も上手な馬でしたので、あのまま行ってくれれば、未勝利は十分に通用すると思うので、良い走りに期待したいですね。
——(2歳未勝利の)キトゥンズルンバは距離延長になりますね。
前走の感じだと延ばした方が良いと思ったので、ちょうど良くなるかなと思うのですが、まだ追ってからちょっと背腰の弱さを感じるので、スムーズに運びたいなと思いますね。
——(3歳上1勝クラスの)ジェロボームはいかがでしょうか。
レースを一叩きして、馬も良くなっていましたね。ちょっと跳びが大きくて、決め手に欠ける部分はあるのですが、能力的には足りると思っているので、良いレースをしたいですね。
木曜に最終追い切りを行ったタイトルホルダー
——東京スポーツ杯2歳S(G3)のタイトルホルダーは新馬勝ちからの重賞挑戦ですね。
今日(11月19日)追い切りに乗りましたけど、本当に感じ良く成長していると思いましたね。どんなレースをしてくれるか楽しみですね。
——現時点で調教映像はまだ確認できませんでした。前回が力の要る馬場だった中山で、今回は時計も出始めている東京に替わります。
クリアしてほしいですし、問題はないと思いますよ。
——新馬から2戦目の伸びしろって、初戦がスローペースだった場合、なかなか測りかねるといいますか、ジョッキーや厩舎スタッフの感覚がすごく物を言うという気がしますが、そうなると楽しみな感じですね。レース振りを観ていると、基本的に器用そうな感じは受けました。
それは言えますね。馬自体、器用な感じで、センスもありそうなので、今回に限ってはそのセンスが良い方に向けばなと思っているんですけどね。
栗東・阪神・中京 長距離移動も徐々に増加
——引き続き先週の話題をお伺いしたいのですが、(オータムリーフSで1着の)スマートセラヴィーはいかがだったでしょうか。
外枠(16番)もあったので、とてもスムーズな感じでいけましたし、力を出し切って勝てたので、良かったですね。
——ここ最近は芝1400を使ったり、ダート1700を使ったりして、今回の条件的にはいかがでしたか。
1700と1400というのは、僕は通じていると思っているので、そこの条件的な感じでしょうね。揉まれるとどうか、というところもあるし、スムーズに行けた方が良いんでしょうから、メンバー次第というのもあるでしょうしね。今回は1400の外枠という条件が良かったですね。
——そういう意味では、芝スタートの外枠というのは楽に先手も取りやすいですね。東京の(3歳上2勝クラス8着の)プレトリアはいかがだったでしょうか。
道中で砂を被り出したらすごく嫌がって、頭を上げちゃう感じでした。外は回りたくなかったのですが、結局被らない位置で競馬をして、やっぱり最後はちょっとキツくなりますよね。
——(3歳上1勝クラス2着の)クリノプレミアムは、もともと能力を示す走りはしてきていたものの、休み明け。ただ、厳しいペースでも惜しい内容でしたね。
久々の割には上手に走れたかなという感じですね。テンションも落ち着いていましたしね。
——(2歳新馬3着の)ホウオウマルゴー、同じく新馬(4着)のタイムトゥヘヴンはいかがだったでしょうか。
ホウオウマルゴーは追い切りの感じからイメージ通りというか、ちょっと忙しかったというのもあるし、まだまだ馬も良くなる余地を残していたので、その中で最後伸びて3着に来たのは今後に繋がるかなと思うので、楽しみだと思います。タイムトゥヘヴンは少し踏み遅れた感じはあるのですが、兄弟がちょっとテンションが高かったりで、そういう所は気を付けていたのですが、今回は大丈夫でしたね。次はちょっとどうなるかですけど、その辺は気を付けて、このまま行ってくれたら良いなと思いますね。
——(2歳未勝利2着の)フーラリはいかがですか。ちょっと勝ち馬(ミヤビハイディ)が強かったですね。
ハナに行くタイプではないのですが、主張する馬もいなくて、行きっ振りもすごく良かったので、それならという形でハナに。今回はゲートも上手く出てくれましたからね。状態も良かったでしょうから、そういう意味でも出てくれて、逆に今回は1400の方が良かったなという感じですね。
——来週の交流、浦和記念(Jpn2)にはデルマルーヴルで挑まれます。
小回りにはなりますけど、距離的には良いと思います。交流重賞ではもともと安定して何でも走れるタイプですからね。
——一年ぶりの浦和での騎乗に対して思いはありますか。
ケガをして初めてなので……正直、そこで特に何か思うことはないですけど、無事に行きたいなと思いますね。ただ、別に浦和競馬場だからケガをする、ケガをしやすいということではないので、そこを気にするのもちょっとおかしな話なので。
——どこでもケガのリスクはある訳ですからね。
そう、ただ、ケガをした競馬場だなという感じですね。
——先週、今週と阪神。先週は栗東にも行かれて、先月は京都での騎乗もありました。久々に関西圏に行く回数も増えて、気持ちも新たになるんじゃないですか。
移動自体は今までもありましたが、やっぱりこうしてどこかへ行ったり、関西に行くことが増えると、ジョッキーとしてまた動き出せているんだな、と改めて感じますね。また次週も栗東へ向かうことになると思います。
——次週はジャパンC(G1)でミッキースワローを予定されていますが、来月のチャンピオンズC(G1)はチュウワウィザード、朝日杯フューチュリティステークス(G1)はショックアクションなど西での騎乗も続きますね。引き続きよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
※次回は11月27日(金)に更新予定です
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。