'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月25日時点1561勝
祝・チュウワウィザードでチャンピオンズC制覇!久々のG1勝ちを先取り回顧
2020/12/9(水)
チャンピオンズCはチュウワウィザードとのコンビで久々のG1勝利、自身にとっても初めてのJRAダートG1勝ちになった戸崎騎手。今回は特別にチャンピオンズCの一戦のみを毎週の更新に先取りして特別に振り返ってもらった。
2年ぶりの実戦での騎乗もチュウワウィザードの特性を把握
――昨日はチュウワウィザードでチャンピオンズC(G1)を制覇。おめでとうございました。馬もJRAのG1は初勝利ですが、ジョッキーもケガからの復帰後としては初のG1制覇ですね!
ありがとうございます。非常に嬉しく思いますし、良かったなと思います。
――先週、戦前にも聞かせていただきましたが、枠は11番からのスタート。今回は国内では無敗のクリソベリルという存在がいて、どうしてもあの馬ありきでの競馬の進め方になるのかなと思いましたし、大久保龍志先生のコメントにもそんな意図が窺えました。
枠が出る前も、出てからも大久保先生とは何度も打ち合わせましたが、やはりクリソベリルを見る、マークしていくような形になるだろうと思っていました。前回のJBCもクリソベリルより前で競馬をして差されてしまっていますし、今度は後ろから見る形でも、とは話していたんですよね。結果、枠は僕の方が内に入ったことで、出方次第ではクリソベリルよりも前で良いんじゃないかという結論にもなりました。
――中京といえば枠の有利・不利はハッキリしているコースですし、今回の条件はギリギリ、ちょうど良いところに入ったんじゃないかと思っていました。ただ、先週の時点ではあまり良くも悪くもないといった印象の話でしたね。
やっぱり出たところからやるしかないですからね。ただ、枠の並びはどこでも重要だと思いますけどね。
――1週前追い切りにも乗られていましたが、レース当日、返し馬の雰囲気はどうでしたか。
調子の良さは感じました。結果は後からついてくるものですが、この状態でどれだけやれるか、という思いでしたね。
――スタートから向こう正面についてはどうでしょうか。
いいスタートを切ってくれましたし、その後の脚色も良かったですね。前半のポジション取りも良かったです。
――懸念されていたポイントだと思いますが、道中から行きっぷりは決して良くなかったですね。
そういうタイプではあると一度乗っても、最近のレースを見ても感じていました。一度乗ったことがあったのは良かったのかもしれませんね。マークする馬がいたのでそれに離されないよう意識はしていましたよ。
――最終コーナーの手応えは他馬よりも劣っていたくらいですね。
そうですね。手応えは良くないなりに追い込みを掛けた時の脚が良いタイプだとも思っていましたので、それを信じて乗りました。直線でも反応してくれましたし、あとはクリソベリルがどれくらい動いてくるか、という感覚でしたね。
――レース運びは大久保先生との打ち合わせもあった中での選択だと思いますが、道中の行きっぷりなどは観察力が成せるところですね。
いやいや、人に説明できるほどではないですし、そのあとのレースっぷりを観ていて感じただけなので。
――最後は着差も離してのゴールでした。どんな思いでしたか。
良かったですし、嬉しかったですし、ほっとしましたし、色々な思いがありました。
――ウイニングランも久しぶりだったんじゃないですか。
そうですね。普通にいつも通りに帰る気でいたら、職員さんが芝コースの方へ枠を開けてくれるので、声を掛けられて「ウイニングランがあったんだな」と思い出しましたね。スタンドも普段のような満員ではないですし、声も出しちゃいけないんじゃないですかね。拍手の中で迎えていただきましたが、寂しさも感じたのは事実です。
――整理枠に戻ってきた時も大きなアクションはなく、じっくりと喜びを噛みしめるようでしたね。
厩務員さん、先生が待っていて「ありがとうございました」という気持ちです。その後は僕も会見や写真撮影がありましたし、先生は口取りもあったので騎手は参加しないルールでもあり、あまりじっくりとは喋れてはいませんが。
――会見といえば、なかなか言葉が出てこず、昔のようでしたね(笑)。
やっぱり興奮していたところもあり、他の馬名をど忘れしちゃって…。言い直すのも間違えそうでしたし、ああなっちゃいましたね。
次なる目標はいつも通りに土曜の1鞍目
――ケガでの長期離脱も経験されました。人によっては重賞やG1を勝つと「復活」といった評され方もあると思いますが、そこはどうですか。
ケガをする前もたくさんG1を勝っていた騎手ではありませんからね(苦笑)。それに自分としてもG1勝ちが復活や復調だという境界線だとは思いませんし、しっくりこない部分はありますね。G1を勝てれば順調とも感じませんし、また次、週末にはレースがやってきますからね。今週は今週、先週は先週、また気持ち新たにやっていくだけです。
――今年はルメール騎手のG1勝ちが目立ちます。ただ、短期免許による来日騎手もいませんし、日本人ジョッキーにも例年よりはチャンスが有る状況。どこかで一つでも、二つでも勝ってくれないものかと思っていました。
G1はより勝つことが難しいものだと思っています。他の人がどうかはわからないですけどね。復帰早々、勝つチャンスのある馬に乗せてきてもらいましたし、その中で結果も出ていなかったですし、こうして早い段階で勝たせてもらったことは幸せに感じます。2年半もG1を勝っていなかったわけですからね。
――その中でも今回はレース内容も上手くいったのではないでしょうか。
勝つことが仕事ですし、最高の結果を残せた点では上手くいったとは思います。
――久しぶりのG1を勝ったことで、今後へ向けての目標だったり、意気込みの変化はありませんか。
変わらないですね。やっぱり土曜の最初の乗鞍を勝ちたいですし、そこへ向けて真剣に取り組んでいきたいです。僕はそういった午前中のレースの積み重ねなどがG1にも繋がると思っていますから。ただ、久しぶりに勝たせていただいたことでG1の重みも感じましたし、もっと勝ちたいという欲も改めてありますよ。
あと「戸崎を応援している」という人がいればG1を勝つこと自体は、普段より喜んでもらえるんじゃないかと。そこはあると思うので良かったなとも思います。
――G1に対しての気持ちもありつつも、やはり一つ一つのレースを丁寧に、という姿勢ですね。
そうですね。また新たな一週間は始まりますし、今週も次のG1(朝日杯フューチュリティステークス)へ向けて追い切りに乗りに栗東へ行く予定でもあるので。
――今週は土日ともに中山での騎乗予定とのこと。引き続き週末の話題もよろしくお願いします!今回は改めておめでとうございました!
ありがとうございます!!
※次回は12月11日(金)に更新予定です
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。