'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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2020年最後の更新 ホープフルSはタイトルホルダーと頂点狙う
2020/12/25(金)
年末の総決算・有馬記念は急遽騎乗機会を失ってしまったが、ホープフルS、東京大賞典と中央・地方のG1に騎乗する戸崎騎手。特にホープフルSは3度目のコンビとなるタイトルホルダーは前哨戦の重賞で好走、新馬勝ちの中山に替わり、力の入るところだ。ご存知の通り、昨年11月の大怪我により今年前半はリハビリに費やしながら、下半期は徐々に勝ち星を重ねてきた2020年。ビッグタイトル獲得で締めくくってくれるだろうか。
なお、今年の更新はこれが最後になります。療養期間中を含め、毎週の更新に欠かさず対応してくれた本人に改めての感謝と、ご覧いただいた皆様もありがとうございました。
新馬勝ちの中山替わりと馬具効果で逆転目指すタイトルホルダー
――今週は土日にわたって重賞が予定されており、本来であれば有馬記念(G1)にも騎乗予定でしたが、ミッキースワローは残念ながら回避になってしまいましたね。一方、2歳重賞のホープフルS(G1)はタイトルホルダーとのコンビになります。
1週前追い切りにも乗せてもらったところ、状態面については問題なく来られていて、良い雰囲気だと感じました。未知な面も感じているのですが、東京コースよりも中山に戻るのも良いんじゃないかと思います。
――追い切りは1週前がウッドで併せ馬、今週は坂路でしたが、これまでとの違いといえばメンコを着けていましたね。
レースでも試す予定です。攻め馬では着けても着けなくても問題ないのですが、どうしてもレース当日になると気持ちが入って先走ってしまうところがあるので効果が出て、落ち着きがでればと思います。
――初戦は逃げ切り、2戦目は少頭数で前に行かざるをえない形でした。今回は相手関係も強化されて、多頭数になります。馬の気性的にはモマれ弱さがあったりするわけではなく、前進気勢が強いということですか。
そうですね。走ることに一生懸命な馬なので今度は上手くコントロールが利けばいいですね。
――その中で今回の枠や距離はどうでしょう。
枠は11番ということで、先週の中山の馬場が少し読み辛いところはありましたが、決まったところで頑張るだけですね。距離については東京1800mを走れたくらいなので問題ないと思いますよ。
――お姉さんが個性派で話題でしたが、父はドゥラメンテ。走りのタイプとしては瞬発力に特化した方か、長く脚を使うのか、いかがですか。
両方持ち合わせていそうですし、まだ未知な面も感じています。良い意味で伸びしろがあると思っています。
――例年言えることですが、キャリアの浅い馬同士の対戦。状態の良さと馬具の効果で逆転を期待したいところですね。
来年に繋がる競馬をしてほしいですし、勝つチャンスのある存在だと思うので良い騎乗をみせたいです。
――ということで開催最終週はいずれも中山での騎乗になりますが、他の話題も伺うと、土曜1Rのシュアーヴアリア、4Rのタイセイスラッガーとどうでしょう。
シュアーヴアリアはあと勝利がついてくれば、という立場ですからね。詰めが甘いように一生懸命走り過ぎないところがあって一戦ごとのダメージは軽いと思います。ダートはこなせておかしくないと思うので何とか結果を残したいですね。タイセイスラッガーの能力は感じましたが、まだ子供っぽいところがどう出るかですね。
――日曜1Rのレイハリアは新馬戦で2着でしたね。
追い切りも動いていましたし、その通り走ってくれました。まだモマれた際などの不安はありますが、能力を出してほしいですね。
――ハッピーエンドCのモエレコネクターは昇級初戦になりますね。
馬っぷりの良い馬ですし、今の時計が掛かる馬場での良馬場は合うかもしれませんね。展開が向いてほしいです。
――ということで、今の中山の芝や先週に乗られた阪神の芝のコンディションはどうでしょうか。
中山は芝丈が相変わらず長いですし、力の要る馬場状態ですね。内も緩さがありましたし、この秋もそうですが、時計が掛かるのが頷ける印象です。先週日曜の阪神は硬さがあって、内有利でしたよ。
精神面の課題が出たショックアクションはまさかの大敗
――先週の朝日杯フューチュリティステークス(G1)はショックアクションで挑まれました。枠としては良かったと思いますが、着順は13着。状態面が問題でしたか?
1週前にも追い切りに乗せていただいていて、状態は良かったと思っていました。ただ、返し馬からテンションが高くて、雰囲気が良くないな…と。興奮気味でテンパっているようで入れ込みが堪えてしまいました。
――間隔が空いてプラス体重だったことよりも、俗に言うガス抜きが出来ていなかったということでしょうか。
そうですね。体のコンディションよりも精神的な課題が出てしまいましたね。
――ターコイズS(G3)のビッククインバイオは5着ではあるものの、実績の少ない中山と思えば健闘したといえるでしょうか。
僕としてはそこまで中山が苦手というイメージはありませんでしたが、馬はリラックスして良い雰囲気でした。まだ力を付ける余地はあると思いますし、タフな流れの中でよく頑張ってくれましたよ。
――アラビアンナイトは勝ち馬こそ相手にこそ着差は離されてしまったものの中山マイルにも対応しましたね。
入れ代わり立ち代わりこられるところがあった影響は多少ありましたね。大崩れはしていなかったので、条件は大丈夫でしたね。
――今年はこれで最後の更新となりますが、翌週火曜には大井で東京大賞典(G1)にデルマルーヴルで挑みますね。
前回の浦和記念は独特な浦和競馬場のコース形態に馬が戸惑っている印象でした。大井の方が力を出しやすい馬だと思いますし、巻き返したいですね。
――そして、振り返りだしたら短時間で語り尽くせないと思いますが、2020年はどんな一年でしたか。
何度も言うことになってしまいますが、ケガから復帰できたことは何よりでした。その中で重賞やら、G1やら勝たせていただき、本当に幸せだったと思います。世の中はコロナウイルスの問題で苦しい思いをされている方も沢山いる中でこうして自分の仕事に戻れること、結果を残せていることは支えてくれた関係者や応援していただいたファンの方々にも感謝したいです。
――改めて読者の方々にも一言いただけますか。
ケガをしている間もここを通じて発信させていただきましたが、今年もコラムを読んでいただいた方は一年間、ありがとうございました。今年は復帰できたことが一番大きかったですが、ファンの方々からの声などは届くこともあり、心強く感じました。ケガでご心配をおかけしたと思いますが、応援があってこそ復帰できたと思いますし、来年もまた一つ、一つしっかり乗っていきたいと思いますので応援いただければと思います。
――今年は電話でのお話が中心になりましたが、休まず連載を続けられたことは何よりでした。ここまで一年間、ありがとうございました!
ありがとうございます。
――中山金杯(G3)はウインイクシードに騎乗されるそうですが、新年は1月4日の月曜に更新したいと思います。引き続きよろしくお願いします!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。