'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月25日時点1561勝
同じ厩舎で2週連続重賞V目指せ サトノフラッグとアメリカJCCへ
2021/1/22(金)
土日連続の重賞騎乗となった先週はマジックキャッスルに騎乗した愛知杯を制し、2021年度の重賞初勝利を飾った戸崎騎手。今週は新馬戦当時から縁があり、菊花賞でも3着に好走したサトノフラッグとアメリカジョッキークラブCに挑むが、2週連続の重賞制覇の期待も十分。また来月に控えるサウジカップの参戦も決定したようだ。
愛知杯で新年の重賞初勝利!着差以上に強い内容をみせたマジックキャッスル
――まず先週は愛知杯(G3)をマジックキャッスルで勝利!今年の重賞初勝利となり、おめでとうございました。
率直に馬が力をつけていましたね。前節の3日競馬を観ていても、中京の芝は差してくる馬がいても勝ち切れなかったり、前有利の傾向。枠順が決まって大外枠とわかって、余計にどうやって組み立てればいいかな…と悩みどころでしたが、いいポジションで競馬ができました。最後は思い切って外を回したのですが、馬の力で勝ち切ってくれましたね。
――ジョッキー的にはコーナーで外を回していくこと自体がなかなか珍しいと思います。それだけあの位置の時点でやれる手応えがあったわけですね。
そうですね。あれなら差せるという手応えがありました。
――人気は割れ気味に感じました。戦前にこの馬をマークしていこうといった明確な目標とする存在はいましたか。
いや、特になかったです。何頭か上位の存在とみていた存在はいましたけどね。でも、ペースは速くなるんじゃないかとは思っていました。
――戦前の追い切りにも騎乗されていたわけですが、実際レースにも乗られて、成長を感じた部分はありましたか。
多少落ち着きが出て、ドッシリした感じは受けましたけど、もともと気性的に荒さがあるわけではないですからね。体質的には体も増えている通り、パワーアップして成長した感覚は受けましたね。
――かなり動きが切れていた追い切りをみて、距離がどう出るのかと思いきや、関係なかったですね。
オークスの頃は未知数な感じを受けながら、レースを観ていましたけど、惜しい内容でしたからね。今回、勝ってくれたことで余計に適性がどうなのか、自分としてはわからなくなりましたね。もちろん良い意味でのことですけど、どこでも上手に走ってくれそうです。
成長感じるサトノフラッグ 得意中山で明け4歳初戦を飾るか
――次は1戦挟んでヴィクトリアマイルとのことですね。今週の話題についてもよろしくお願いします。マジックキャッスルと同じ国枝栄厩舎で、同じディープインパクト産駒のサトノフラッグは追い切りに乗られたようですね。
「最後は強めに乗ってほしい」という追い切りの指示でしたが、良い雰囲気でしたし、状態も良さそうです。条件も前回よりもむしろ良さそうですし、しっかり騎乗をしたいです。
――今週の天気予報を見ると、雨の可能性は高そうですね。
よほどの道悪でなければ、こなせるんじゃないかと思っています。イメージとしては決して競馬が器用なタイプではないので、内が残るような窮屈な展開にならなければ、と思いますが、今の馬場を考えると、雨が降ってもタイトな馬群にはならないでしょうけどね。菊花賞以来ではあるものの、以前よりも力をつけた印象ですし、年長馬相手でもいい結果を残したいです。
――その他のレースでは、土曜1Rのラインオブフェイト、2Rのトリストラム、5Rのウエスタンエポナと3歳未勝利勢は継続騎乗となりますね。
ラインオブフェイトは休み明けだった前走が良い内容でした。追い切りでも上積みが見込めますし、前走以上を狙いたいですね。トリストラムは前走で自分が大事に乗り過ぎてしまいました。リズムよく運べるようならもう少しやれていいと思います。ウエスタンエポナは間隔も空いたので成長しているといいですね。
――3歳1勝クラスから7Rのエンテレケイアは前走でクラスにもメドが立ちました。
このクラスでもダートならやれるようですね。まだ自分から走る気に欠けるようなところがあるので展開や相手に左右される面は否めないと思いますが、引き続き上位争いをしたいところです。
――東雲賞のブルーエクセレンス、最終レースのラヴィンジャーとどうでしょうか。
ブルーエクセレンスはどんな競馬でも対応できるので勝てるよう組み立てたいところ。ただ、前走も自分から走っているわけではなく、促されて走っている感じでしたね。天気は未知数ですが、多少の道悪ならこなせると思います。ラヴィンジャーは中山で乗せていただいた際が惜しい内容でした。条件は合っていそうですし、力を出し切りたいですね。
――日曜5Rのソーヴァリアントは1着(失格)、2着と能力上位は明らかですね。
使いつつ決して気性的にいい方向へ向いているわけではないので、ゲートがポイントになるでしょうね。ただ、勝てる力はありますし、馬場も余程酷くならない限りは向いていそうな感じはします。
――7Rの1勝クラスからスペロデア、最終レースの2勝クラスではイルヴェントデーアも前走に続く騎乗です。
スペロデアはテンションの高さは気になるところですが、能力は証明していますし、当日の気配が鍵になりそうですね。イルヴェントデーアは引っかかるのとは違いますが、上手に力を抜いて走ってくれるようなら走っていいはずです。
来月はサウジアラビアへ!正式にGOサイン
――先週のその他のレースでは、京成杯(G3)のテンバガーは3着と賞金加算まであと一歩でした。
ゲートの中からうるさくて、まだ子供っぽさがありますね。ただフットワークの感触は良い素質、雰囲気を感じますし、まだ体が固まっていない中で3着に来るわけですから素質を感じました。フットワーク的にも不利は痛かったですし、何とか賞金を加算できればよかったのですが…。
――オープンに昇級したサンライズカラマはどうでしたか。
昇級しても通用すると思っていましたが、展開が凄く忙しかったですね。あそこまで速いことも毎度あるわけではありませんが、クラス慣れしていけばと思います。
――個人的には未勝利戦のアップストリームはあの位置でも伸びていい馬だと思いました。
本来はもうひと列、前の位置をとりたかったのですが、挟まれて下げることに。道中もタメが利いている走りではなかったですし、直線も道が空いた割には伸びきれていなかったですね。先生は「使ってきた影響もあるのでは」と言っていましたし、比較はないものの、コンスタントに使ってきた疲れもあったのかもしれません。
――重賞にも登録していた紅梅Sのルチェカリーナは3着でしたね。
未勝利戦の勝ち方が良かったですし、期待はしていました。一番後ろから行こうと考えていたわけではありませんが、末脚は良かったです。
――3歳1勝クラスのフクウンは昇級でもやれる存在かと感じていました。
良い馬ですね。ただ「おとなしい馬」と聞いていた割にレース前から随分と興奮した様子で、ゲートの中でも治まりませんでした。初めての競馬場、モマれる形になっても最後は伸びていたように、このクラスでもやれると思いますよ。
――そして、どうなるかと毎週気にはなっていましたが、川崎記念のJRAからの出走馬が発表されます。登録のあったチュウワウィザードはサウジC(G1)も予定していたわけで、最終的にはどうなりましたか?
正式に出走することになりました。僕も海外自体に行った経験は少ないですし、初めての国でどうなることやら、ですが(苦笑)、他の厩舎スタッフなり(昨年、サウジ遠征した)森先生もいるので色々教えてもらおうと思います。森先生にはリヤドダートスプリントに出走するマテラスカイの騎乗依頼もいただきました。
――帰国後の隔離もあり、未知な体験ばかりかと思いますが、今から楽しみにしております!詳しくは直前にまた語ってください。
ありがとうございます。また来週もよろしくお願いします。
※次回は1月29日(金)に更新予定です。当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。