'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
中京&中山で連日の重賞騎乗 そしてドバイへ出発!
2021/3/19(金)
海外遠征後、2週間の隔離期間を経て、先週から騎乗を再開した戸崎騎手。復帰早々に不良馬場と稀有な馬場状態の中での実戦になったが、土日1つずつ勝ち星を挙げられたのは何よりだろう。そして、今週はファルコンS、スプリングSと連日、3歳重賞に騎乗し、日曜からドバイへ出発することになる。コロナの隔離期間があることを踏まえると、再び次週から3週間は日本での騎乗から離れるだけに、その分も存在感をみせつけてほしいところだ。
ショックアクションは朝日杯敗戦からの巻き返しなるか
——久々に日本での騎乗となった先週と今週の交流重賞でしたが、今週は土曜が中京、日曜が中山での騎乗になりますね。まず土曜はファルコンステークス(G3)でショックアクションに騎乗されますね。
前走の朝日杯FSは期待して臨みましたが、とにかくテンションが上がってしまい、力を出し切るレベルの精神状態ではなかったですね。報道にもあった通り、当時は予定していたレースを使えなかった誤算もありましたし、追い切りの感触は悪くなかったんですけどね。ここは改めて仕切り直しの一戦になります。
——デビュー当初からフットワークを見ていると、距離が短くなる分にはむしろプラスかなと思います。
そう思います。馬場も前回は前が残りやすい状態でしたが、先週の中京を見ている限り、荒れた方が良いんじゃないかと思うほどです。
——土曜中京でその他にはスマイルフェアリーが新馬戦以来の騎乗ですね。
新馬当時の感触では未勝利は勝てる馬だと思っていました。当時より距離は延びますが、良い騎乗をしたいですね。
——日曜の中山では未勝利馬のジジには追い切りに騎乗されましたね。
追い切りの感触では順調にきていると感じました。日曜の天気は未知数ですが、こちらも未勝利は勝てると思いますし、上がりが掛かるようなレースが理想ですからね。
——ラヴィンジャーやラパンセソバージュは引き続きコンビを組まれますね。
ラヴィンジャーは乗りやすい馬で、常にしっかり走ってくれるだけに、何とか馬場が悪くないと良いのですが……。ラパンセソバージュは前走で初めて乗せていただき、初めてのダートで勝ち上がりましたけど、芝でも走っていましたし、改めてこのクラスでも走れるかどうか、力試しになりますね。
——グランスピードは新馬戦以来、久々の騎乗です。
当時から能力は感じていましたが、むしろダートでも良いんじゃないかと思ったくらい。芝でも上がりが掛かるような流れの方が良さそうなタイプだと思っていました。
——最終レースはリュードマンとの再コンビですね。
長丁場でしっかり脚を使える馬ですから、レースを上手く組み立てたいところですね。馬場がどうなるか気になりますが、得てしてダートの長距離戦に使ってくるような馬はタイプ的に近いですし、良いレースをしたいですね。
水曜日に美浦ウッドで追われたヴェイルネビュラ
——スプリングS(G2)にはヴェイルネビュラに騎乗されます。
2週続けて追い切りに乗せていただきました。状態的には順調に来ていると感じます。本音をいえばまだまだ良くなるのは先の馬だと思いますが、現状でどれだけやってくれるかですね。馬場はゆるくなると決して歓迎ではないように思います。
2週間の復帰も束の間、レース後はドバイへ向けて出国!
——水曜のダイオライト記念(Jpn2)はエルデュクラージュに騎乗。いや~これは押し切ったと思いました。
レースは上手くいったんですけどね。馬はイメージ通りにレースをしてくれましたし、セーフティリードをとれたと思いましたが、相手のエンジンが違いましたね。初めて乗せていただきましたが、長丁場や地方競馬のダートも合うと思いますし、まだまだこういった条件で頑張っていける馬じゃないかと思いました。
——先週のJRAでのレースも振り返っていただくと、ゲンパチリベロは序盤の位置からすると、よく勝ち切りましたね。
前半は置かれましたね。馬場も既に悪かったので焦らず、自分のリズムに徹しました。徐々に馬自身のフットワークも良くなっていって、最後は良い脚でしたよ。あれなら昇級してもやれるんじゃないかと思います。序盤の行きっぷりの悪さなどはまだ課題だと思いますが、キャリアが浅いながらも良いところをみせてくれましたね。
——それにしても、昨夏の復帰以降、芝の道悪での好結果が続きますね。(※2020年以降~芝の重・不良では12-4-4-28)
掴んだとまで大それたことは言いませんが、イメージは湧いてきていますね。だから、前よりも道悪で乗るのが面白いですよ。ただ、僕らがどうこうしても馬が走れるタイプじゃないとどうにもなりませんからね。そこは助けてもらっている証拠です。
——ゲンパチリベロについては新馬戦当時よりも調教内容が上がってきているのは感じましたが、位置どりからすると驚きの内容でした。
あれだけ馬場が悪くなると、どこを走っても同じだと思うんです。乾き具合にもよりますけどね。だから馬のリズムは重視した方が良いんじゃないかと、改めて思いますね。
——今週もまた悪天候の可能性がありそうですね。脱線しましたが、フルデプスリーダーはどうでしたか。
期待はしていましたし、通用する馬だと感じていましたけど、レース内容は思うように乗れただけに強いていえば、外を回った分と時計の出やすい馬場が苦手なのかもしれません。
——中山牝馬ステークス(G3)のドナアトラエンテは逃げ馬も残っていますし、ハンデ差を考えたら、展開が敗因ではなさそうですね。
イメージ通りの競馬はできました。道悪でも走っていますけど、結果的にあのクラスに入ってくると、あの馬場は向かないのでしょうね。
——3歳1勝クラスのダノンブレット、シャドウファックスとどうでしたか。ダノンブレットは未勝利戦当時、大柄のパワータイプかと思っていました。
ダノンブレットはその通りの印象ですね。ただ、脚抜きのいい馬場にも対応してくれました。砂を被るといやがるところはありますが、良い素質がありそうです。シャドウファックスはスタートしてすぐにゴチャついたり、ぶつけられたりしましたし、ああいう馬場も合わなさそうです。
——シンハリングは馬場や強風など難しい条件下でしたが、厳しいペースを押し切りましたね。
手応えよく運んでくれましたし、速い流れでも頑張ってくれました。以前福島で乗せていただいた時よりも馬がしっかりしてきて、昇級でも楽しみです。
——東風ステークスのアトミックフォースはエプソムCからすると馬場は大丈夫かと思いましたが、距離にも対応しましたか。
ずいぶんと馬が復調してきたようです。またどこかでチャンスは巡ってきそうですね。
——アネモネSのルチェカリーナは走りが軽いように見えたので、馬場がどうかと感じました。
でも、対応してくれましたね。急坂に戸惑っている感はありましたが。あとは全体的にもう少し力がついてくるといいですね。
——そして、レース後はドバイへ出発ですね。現時点での心境はいかがですか。
滞在している馬は順調にきているとのことでそこはまず何よりです。まだ今週末の競馬もあるので、気分はドバイ……というわけではありませんが、3鞍も乗せていただけることは楽しみです。コース自体も行って調教に乗ることで感じることができるでしょうし、例年、見ている分にはそこまでクセはないのかなと思っています。(坂井)瑠星とも連絡していると、サウジアラビアほど行動などに制限が厳しいわけではないですし、もちろんコロナ対策はしっかりしつつ、競馬以外にも国の雰囲気を感じ取れたらと思います。
——サウジの出国前にはPCR検査もされたそうですが、誰もが経験しているわけではないかと思います。いかがでしたか。
前回は何度かやりましたね。しかも鼻からチェックしたり、他にはノドや唾液などでも検査しました。まあ人によって凄く痛いと感じたりするようですが、僕とすれば、やらなくちゃいけないのでそこはやるのみ、ですね。
——ちゃんと連絡がとれるようならば、また来週も現地からお話は伺えるようで、詳しくはまた次週伺えればと思います。よろしくお願いします。無事のフライトを祈ります!
ありがとうございます。
※次回は3月26日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
ここで競馬ラボからのお知らせです。久しぶりに戸崎圭太騎手への質問を募集します。質問のある方は件名に「週刊!戸崎圭太質問係」と本文内にお名前(ペンネーム)を明記の上、以下のアドレスにメールをお送りください。
keita_tosaki@keibalab.jp
質問内容は複数でも問題ありません。今回の締め切りは3月28日(日曜日)までとします。メールをいただいた方から抽選で3名様にプレゼント(戸崎圭太騎手JRA通算1100勝達成記念グッズ)もあります。当選者は発送を以てかえさせていただきますが、該当の方にはこちらからメールを差し上げます。沢山の質問、お待ちしております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。