'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月23日時点1569勝
オークスはスルーセブンシーズと再コンビ!ダービー1週前追い切りにも騎乗
2021/5/21(金)
先週のヴィクトリアマイルではマジックキャッスルとのコンビで挑み、勝ち馬にこそ離されてしまったが、何とか馬券圏内を守り抜く結果に。そして今週からはクラシックも2冠目へ突入。今年のオークスはスルーセブンシーズと挑むことになる。何かと牝馬とのG1挑戦は相性の良い戸崎騎手、重賞実績馬に一矢報いることができるだろうか。また日本ダービーに向かうグレートマジシャンの1週前追い切りについても先行して触れてくれた。
オークスはスルーセブンシーズで一発なるか?
——さあ今週はオークス(G1)ですね。スルーセブンシーズとは2走前の1勝クラスで騎乗されて以来、1週前追い切りで久々に乗られたようですね。
追い切りではレースで乗せていただいた頃よりも馬がしっかりしてきたことを感じました。状態も良く感じました。最初は気合い乗りの良さが目立ちましたが、リズムが出てくると乗り易さも増してきましたね。
——枠は1枠2番。距離も延びますね。
枠は良いところに入ってくれたと思います。距離はこの時季の3歳牝馬で「2400mがベスト」という馬はなかなかいないと思いますし、その中でも条件はアドバンテージになりそうですね。
——これまでのレースを見ると、ゲートの課題はありそうです。
やはり東京芝2400m、少しでも1コーナーは良いポジションで入りたいですから、そこが一番の課題になるんじゃないかと思っています。
——小柄ながらユッタリとした走りをする馬ですが、兄姉とは違ったタイプですか。
この血統には縁があるのか、何度も乗せていただきましたが、上の馬たちとは全く違いますね。むしろ知らなかったらきょうだいだと感じないほど。身のこなしが良くて、軽い走りをしますし、似たところを探す方が難しいですね。
——重賞は初挑戦ですが、ジョッキーとしては過去に3度の2着があるレースですね。意気込みをお願いします。
手強い相手もいますし、実績的には先を行かれていますけど、能力の高さも感じていますのでしっかり乗って、良いパフォーマンスを見せたいですね!
——その他の騎乗馬では、土曜1Rのゲームアプレット、6Rのダノンブレットは前回に続く騎乗ですね。
ゲームアプレットは先行できるセンスはあるので、あとは展開なり相手関係なりでワンパンチを補えたら良いですね。ダノンブレットは距離延長がプラスに出そうです。
——7Rのリーディングパートは昨年、ケガから復帰した時に騎乗されていましたね。8Rのフラワリングナイトは前走に続いてダートの1400m戦です。
リーディングパートはトビの大きな馬で器用さに欠けるのでリズム良く走らせてあげたいです。フラワリングナイトは条件よりも走りのメリハリに欠ける現状なのでそこが改善できればと思います。
——高尾特別のプレシオーソは阪神で騎乗されていましたね。
前走は良い内容でしたが、一度叩いたことで良くなりそうなイメージも受けました。雨もこなしてくれそうですね。
——日曜のフリーウェイSのショウナンアオゾラは前走がもったいない、内枠がアダになる内容でしたね。
前走は惜しい内容でした。力を出し切れれば通用する感覚はあったので改めて頑張りたいです。
マジックキャッスルは惜敗でも持ち前の安定感を発揮して3着
——先週はヴィクトリアマイル(G1)でマジックキャッスルに騎乗。勝ち馬はとんでもない強さでしたが、2着争いは惜しい内容でした。
返し馬の時点から状態の良さを感じましたし、良い雰囲気でレースにむかえたと思います。1枠ということでゴチャつくのは避けたいと考えていましたが、スムーズな競馬ができましたね。あと2着争いは制したかったところですが、良いレースはできたと思います。
——先週伺った時点では枠は決まっていませんでした。ペースもそこまで速くはならないんじゃないか、との読みだったと思いますが、戦前のイメージと実際のレースぶりはどうでしたか。
枠は外よりも内の方が良かったですね。ペースは遅くもならないと思っていましたし、中盤がもう少し流れるのかなとは思いましたけど、マジックにとっては丁度良い流れでしたね。馬場は外差しが多かった開催でしたが、先週については内外そこまで差はなかったと思います。もっと外にシフトしていれば違った形を採ったかもしれませんが、内枠だけに外に出すにもロスも出てきますからね。結果、内に拘りました。
——確かにあの位置より後ろの馬は上位にこられなかったですからね。
この条件でも走ってくれて、改めて安定感の高さを感じました。課題という課題もないので秋や次戦のクイーンSへ向けて、順調にいってくれたらと思います。
——3歳未勝利のアイアゲート、ロンコーネで勝利されましたね。
アイアゲートはモマれるのは良くないということでハナへ行きましたが、非常に良い走りでした。距離は1200mに短くするよりはもう少しあっても良いくらいでしたね。ロンコーネは勝ち味が遅い面は感じましたが、良いモノは持っています。あとはもう少し走ることに気が向いてほしいですね。
——カントルは僅かな差。勝ったと思いました。
僕も勝ったと思いました。久々の騎乗で距離は延長。余計なことは考えず、伸び伸び走らせたいと思いました。コーナーで内にササってしまい、それを修正する分のロスはあるのですが、タフさもありますし、こういう条件も合っていますね。
——パラノイドは昇級でも健闘しましたね。
未勝利勝ちもレースは上手に走ってくれていたのですが、昇級でどこまで対応してくれるかは中間の変化がわかっていなかっただけに未知数でした。展開が味方してくれましたが、今後も条件次第で楽しみです。
——ところで、次週の日本ダービー(G1)にはグレートマジシャンとのコンビで挑まれますね。追い切りに乗られたそうですが、いかがだったでしょうか。
もっと良くなるのは先のようなイメージを受けていましたが、良い走りでしたね。まだ重賞も未勝利ながら能力の高さを感じました。
——詳しくはまた次週伺いたいと思います。今週もありがとうございました!
ありがとうございます。
※次回は5月28日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。