'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
宝塚記念はカレンブーケドールと共に惜敗返上なるか 帝王賞は帰国初戦チュウワウィザードとコンビ
2021/6/25(金)
上半期のJRAG1シリーズも今週でラスト。宝塚記念にはカレンブーケドールと挑むことになったが、ご存知の通り、これまで惜敗続きのパートナーを勝利に導くことができるだろうか。また、翌週の帝王賞にはチュウワウィザードに騎乗。海外を経験した地力を発揮できるだろうか。
G1・3度の2着 悲願なるかカレンブーケドール
——開催最終週となる今週ですが、日曜は宝塚記念(G1)で騎乗のため阪神へ向かわれますね。早速ですが、カレンブーケドールについて伺っていければと思います。
1週前追い切りは状態の良さを感じましたし、動きも前回より良くなっていると感じたほどです。見た目にも毛艶なんかも良くなっていましたよ。前走はイメージ通りに運べましたし、勝ちにいく競馬をしただけに惜しい内容だったのは悔しいところですが、戦歴の通り、もう惜しいというレースはいらない馬だと思います。結果を出したいですね。レースにはどんな形にも対応できるイメージですし、自信を持って挑みたいところです。
——前回の話を踏まえた上では週末に台風が接近しているのは気になるところですね。
雨馬場でも走っていますからね。ただ、乗った感触をいえば乾いた馬場の方が理想かと思います。多少の雨なら苦にはしないと思いますよ。
——前走の天皇賞・春では3着。初めて56kgの斤量を背負って、牝馬らしからぬ距離に挑戦しました。今、牝馬が強い時代とはいえ、あの距離でも走るのは相当タフな印象を受けました。
どちらかといえば、今回くらいの距離の方が走り易いのかと思いますが、どんな条件でも走れるだけに逆にどこに適性があるのか掴み辛いといいますか、わからないのは本音です。枠も少頭数ながら外目ですが、どんなレースもこなしていますからね。強い相手に先行馬もいますが、ゲート次第でどう運ぶのか、改めて考えたいところです。当日の天気も考える材料としてあるでしょうけど。
——前回とはまた違った顔ぶれですね。
皆さんもおわかりの通り、クロノジェネシスやレイパパレといった強いライバルもいますが、しっかりいい走りができるよう導いてあげられたらと思います。
——土曜東京の話題でいえば、2Rのノーティーガールはどうでしょうか。
本当は乾いた馬場が良かったですね。コースどうこうというより、速い時計になった場合への対応が気がかりです。
——5Rのアスクビクターモアはセレクトセールで1億8700万円の高額で落札されたそうですね。
追い切りに乗せていただいたところ、動けていますし、良い感触はありました。まだゆるさもあるので、それが実戦にいってどう出るかですね。
——清里特別のディスモーメント、12Rのルージュアドラブルとどうでしょう。
ディスモーメントは少し不器用ではありますが、力は足りる馬だと思います。多少展開が向いてほしいところではありますが、前走を踏まえると、同じような形になると思います。ルージュアドラブルは能力はあるのですが、気難しいところがどう出るか。気難しさを出さずに上手に走れれば、ここでもやれるはずです。
——カントルの前走は惜しかったです。
前走はポジションどうこうよりも気持ち良く走らせたいと思いました。力も証明してくれましたね。条件は替わるので再びリズム良くいけるかが課題になってきそうです。
次週・帝王賞にはチュウワウィザードと再コンビ
——先週の話題もお願いします。ユニコーンS(G3)はルーチェドーロに騎乗しましたが、4着でした。条件が変わったポイントは多かったものの、前走で先着したスマッシャーに勝たれてしまいましたね。
まず、状態は良かったです。外枠は良い馬ですが、終始外を回ったことがロスになりましたし、不器用なところもあるので1400mで終いを活かすような競馬の方が合っていると思いました。
——戦前に話していたようにスタートでの出遅れは芝スタートの分ですか。
そうですね。あれだけ脚抜きが良ければもっと内枠でも良かったでしょうし、何かと噛み合わなかったところはあります。それに時計も速すぎたかもしれません。
——そして、同じレースではサウジアラビアで共に闘ったピンクカメハメハが競走中止で亡くなるアクシデントがありました。
僕も初めて行った国で勝たせていただいた恩がありますし、思い入れのある馬でしたし、非常にショックです。ああいうラチに突っ込んでいくような難しい気性の馬ではなかったですし、あのアクシデントを見て、なにか故障があったのかとはすぐに感じましたが……。苦しくなってしまったということですね。ピンクカメハメハのご冥福を祈りたいと思います。
——まだ先がある馬だったと思いますし、非常に残念ですが、安らかに眠れることを祈りたいです。そして、スワーヴヨハンは3歳馬相手に惜しい内容でした。
思ったよりも掛かり気味。持ってかれた感じになりましたが、その中でも頑張ってくれました。力はありますし、もう少し安定感が出てくれば尚良さそうですが、クラスは突破できる存在だと思います。
——ギャリエノワールは惜しい結果でした。
いい感じでしたが、最後はジリっぽくなってしまいました。前の馬を交わせたと思ったのですが、その内からこられましたからね。
——新馬のエトワールジェンヌ、フェニックスループとどうだったでしょうか。
エトワールジェンヌは良い馬ですね。ただ、ダート向きの可能性が高いです。距離はもう少しあっても良さそうですよ。フェニックスループはバネもあって素質はありそうです。まだ競馬がわかっていないところはあったのですが、今後走ってきそうですよ。
——スレイプニルSのグレートタイムはどうだったでしょうか。
ポジションを取りに行こうと戦前から考えていました。ただ、もっとジリっぽいイメージがあって、それも聞いていたのですが、思いの外グイグイと行きっぷりが良すぎましたね。この行きっぷりなら1800mくらいでも良いと思いますね。
——ダノンヴェロシティは芝に戻って好走しましたね。
芝の方が良かったかもしれませんね。今後に繋がったと思います。
——サトノストロングは周りの馬を気にしたり、内枠が良くなかったですか?
いや、そんなことはなかったです。特に問題なく走れていましたし、リズムを崩したわけでもないので、なぜか弾けるところがなかったですね……。
——そして、次週には帝王賞(Jpn1)が行われます。帰国初戦になるチュウワウィザードと挑まれます。
海外でも良い走りをしてくれましたね。状態は良いと聞いているのですが、どんな状態で挑めるか楽しみです。海外の経験でまた馬が成長してくれていたらと思います。どんな条件でも走っていますが、地方のコースも苦にしていないですからね。新興勢力も多い印象ですが、期待を持って挑みます。
——今週、来週と上半期最後のG1・Jpn1ですからね。期待しています。
ありがとうございます。
※次回は7月2日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。