'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
G1でも上位入線のトーラスジェミニと七夕賞へ! 夏競馬にも気持ち新たに
2021/7/9(金)
福島開幕週は2勝の滑り出しとなったが、乗り鞍も少なめ。従来と比べれば物足りない夏競馬となったが、今週は七夕賞のトーラスジェミニをはじめ、15鞍の騎乗を予定している。
イメージ一新のトーラスジェミニ 重賞初勝利へ導く
——まずは今週の騎乗馬について伺っていきたいところですが、引き続き福島での騎乗となる中で土曜3Rのダノンヴェロシティは芝2600mに距離延長となりますね。
前走でようやく競馬になったという感覚ですね。距離は随分と延びますが、対応できるイメージはあります。天気がどうなるかはわかりませんけど、道悪はそう悪くないイメージ。血統的にもまずは一つ勝ちたい馬ではありますね。
——日曜4Rのフクノルッカは惜敗が続いていたところ、前走は勝ち馬が目立った内容の中で4着でしたね。
どんな競馬でもできる反面、詰めの甘さがあるのは否めないのも事実ですね。上手く噛み合ってほしいです。
——8Rのトモジャリアの前走はハイレベルな決着でしたが、見せ場もありましたね。
新馬で乗せてもらっていましたし、その比較でも馬が良くなっていることを感じました。クラスが上がっても対応できるイメージですし、コース替わりも悪くでないのではと思います。
——天の川ステークスのエクリリストワールは福島でも勝ち鞍はありますが、ここ一連が少し心配な内容ですね。
能力的には通用するのでしょうが、レースにいって気持ちが続かない状況がみえています。ブリンカーを試しますけど、効くかどうかはわからないのが本音ですね。良い方に向いてほしいですが。
——そして七夕賞(G3)にはトーラスジェミニが予定。安田記念では5着でしたね。
前回は凄いメンバーを相手に持ち前のしぶとさを見せてくれました。あくまでイメージですけど、条件自体は距離が1800mの方が良いのかなとは思いますが、乗り易さでカバーしたいですね。
——前走でも言えたことですが、今までは坂路でしか追い切りができなかった馬がコース追いをするようになりました。コース追いでは若干手前を替え辛そうに映りましたが、それでも乗り易いということですね。
特に難しいイメージを受けませんでしたね。展開だけは枠次第というところもありますが、前回でハナにいかなくても競馬はできていたので。あとは周りの出方も踏まえつつ運びたいです。
——このところ天気も不安定なイメージですが、馬場が渋った場合はどうでしょうか。
余程の道悪じゃなければ大丈夫だと思います。不良馬場でも走っていますけど、流石にそこまでの適性は感じ取れませんでしたが。
能力を発揮しきれなかったスペシャルドラマ
——先週の回顧の前に、先日の帝王賞で6着だったチュウワウィザードの骨折が判明と、残念なニュースが入ってきましたね。
そこまで重くはないとは聞いていますが、残念ですね。どこで骨折したのか、わかりませんし、どう影響したのかも未知数。乗っていても歩様がおかしいということもなかったのでね。ただ、あれだけ手応えがなかったのはそういうところもあったのかもしれませんが。
——発表されている全治期間でいえば秋には復帰できることを期待したいですね。ラジオNIKKEI賞のスペシャルドラマはどうだったでしょうか。人によって見解は違うでしょうが、この馬にとっては予想よりもペースが落ち着いたことはマイナスと感じました。
早目に落ち着いてしまったのは痛かったですね。コーナーでも外から来られたのも小脚が利くタイプではないだけに苦しい展開でした。ただ、勝ち馬の後ろで直線は迎えられましたからね。あそこから追っての反応がひと息だったのも事実。前回乗せていただいた時と比べると気負いがみられました。道中は我慢できていましたし、勝つまでは難しいにしても、あの位置からでももっと追い詰められるはずだと感じましたね。
——鶴ヶ城特別のカウンターエアは先週の時点で好感触でしたが、それにしても、この馬向きの展開でしたね。
いかにもハマったという展開でした。後ろからしかいけないタイプですし、中山よりは当てはめやすいイメージはあったんです。ただ、状態も良かった。返し馬から良い感触でしたし、色々噛み合ってくれました。
——関西の新馬、ヴァランシエンヌはどうでしたか。
凄く乗り易い馬でしたね。おとなしくてこの距離も合いそうです。ただ、コーナーで狭くなるところもあり、不利は痛かったですね。もう少し力をつけてくれれば勝負になりそうです。
——開成山特別のドリームインパクトは人気に応えての勝利でした。
強かったですね。最後も手応え十分でしたし、まだフラッフラしていて、ある意味余力もありそうでした。馬もようやく良くなってきたようで、成長していたタイミングで乗せていただけました。トモが甘いところもあるのでこういう距離も良かったんだと思います。
——ニルアドミラリは初出走に続く2戦目で3着でしたが、馬体重は減ってこなかったですね。
まだ体の重さはありますね。まだ余裕がありますけど、能力は高そうです。
——先週の競馬でいえば、夏の福島というと昨年は怪我明けという状態でしたが、例年でいえば稼ぎどころだったはず。土曜が4鞍、日曜が5鞍と物足りない頭数でした。CBC賞を制したファストフォースも一時は福島を予定していて、小倉に切り替えたことで騎乗馬がいなくなったりしましたが、この状況について感じられるところはありましたか。
本来何頭か乗る予定だった馬もいた中でのあの頭数でしたが、とはいえ前とは違うことは自覚しているつもりです。だからこそ、ではありませんが、余計に一鞍、一鞍しっかり乗らないといけません。でも、精神的にも体も充実してきているんです。馬とのコンタクトにも変化を感じていて、自分としては週末がくるのが毎週楽しみで……。
——騎乗数や乗るラインナップをみると、どう思うのかというところでしたが、ただ好走率でいえば決して悪くないですからね。
自分も学生時代はずっとレギュラーになりたいと思いながら野球部で6年間、補欠のままでしたし、こういうことには免疫があるのかもしれませんけどね(笑)。
——他ジャンルではありますが、このタイミングで同世代の松坂大輔投手の引退が明らかになりましたね。
記事を読ませていただいたところ、治りきらなかったんですね。怪我を治すため、苦労がつきなかったと思いますが、僕も怪我をして自分のパフォーマンスが戻せるのか、心配な日々を送ったのでわかるところはありました。
——騎手は選手寿命が長い競技、まだまだここからですね。
そう思います。全く腐るところなんてないですよ。毎日楽しみですし、雑草魂といいますか、ここから這い上がりたいです。決して幼少期も上手くいっていた人生ではないと思うので、41歳にして気持ち新たにいきたいですね。
——次週はコリエンテス、マジカルキュートといった楽しみな新馬も予定していますね。次週もよろしくお願いします!
※次回は7月16日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。