'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
秋の中山快走中!オールカマーはランブリングアレーと初コンビ
2021/9/24(金)
3日間開催はセントライト記念でこそ2着と2週連続の重賞制覇とはならなかったが、暮れや来年へ向けて期待の膨らむ2歳馬と勝ち上がらせ、2週目を終えたばかりでも開催を通して勝ち星を量産できている様子だ。今週は比較的、テン乗りの騎乗馬が多い感はあるが、次開催以降を含めても重賞レースでの騎乗馬も決定している様子。秋へ向けてさらなる加速を期待したい。
スムーズだったら… 悔しい2着のソーヴァリアント
——先週は3日間開催で5勝という成績でしたね。2歳の素質馬の活躍も目立ちましたが、ソーヴァリアントで挑んだセントライト記念(G2)は惜しい結果でしたね。
3日間で全体的には勝ちはしましたけど、セントライト記念があの着差。決して晴れやかな気持ちではないですね。ただ、ソーヴァリアント自体は力を証明してくれたと思います。
スタートも上手く出てくれて、1コーナーでスムーズに入れました。そこから動きがあり、上がってくる馬も多少位置をズラした分で力んでいましたね。その中でも我慢は利いたのは収穫ではありましたが、今後へ向けて課題もあり、馬の力があったからこそ、対応できた部分もあり、収穫もあったので良い面・悪い面どちらもありましたね。
——追い切りには2度乗られていました。レースにいってからの春との変化はありましたか。
馬はしっかりしましたね。精神面も良くなったことでゲートはスムーズになりましたし、成長を感じました。
——3コーナー以降は他馬がマクって蓋をしようという動きに見えましたね。あれがなければ勝っていたんじゃないかと思います。
そうですね。前半が上手くいかなかった分、我慢できるところまでは我慢したかったのですが、あそこは本来なら行かせる段階ではなかったですね。最後は凌いでくれという思いでしたが、勝ち馬の切れ味が上でしたね。ただ、レースに乗る前よりも成長も感じられたのは良かったですね。
連覇懸かるオールカマーは今年も牝馬とのコンビ
——今後の動向が気になるところです。今週も土日ともに中山での騎乗になりますが、土曜のゼログラヴィティは追い切りに乗られたそうですね。
能力は通用していいと思いますが、ひと息で走りそうなところがあります。そこを上手く誘導できるかがカギになりますね。
——九十九里特別のラヴィンジャー、ながつきSのデザートストームはどうでしょうか。
ラヴィンジャーはこのクラスでも安定していますね。どんな競馬にも対応してくれますし、ダメだと思っていた道悪でも走ってくれたりと幅は広がってきていますから信頼しています。デザートストームは昔のイメージなら1200mでも走れそうなものですが、やっぱりオットリしてきているのかな。年齢的なものがあるのかもしれません。
——日曜の新馬ソレントフレイバーは南関東に縁のあるオーナーですね。
追い切りに続けて乗せていただきましたが、時計こそ出ていて、雰囲気は良いものの、追ってからまだ頼りなさがあります。使いつつかもしれませんね。
——最終レースのワーズワースは新馬以来の騎乗です。
勝たせていただいた時から能力を感じました。1200mがどうかと思いますが、距離・流れに対応出来れば通用するんじゃないでしょうか。
——オールカマー(G2)にはランブリングアレーで挑まれます。
マジックキャッスルと勝ったり負けたりを繰り返している存在でよく目にしている印象があります。競馬は上手そうにみえますし、リズムよく運んで力を発揮できればと思います。
3日間開催は5勝!牡牝の2歳有力馬が勝ち上がり
——5勝の活躍だった先週。回顧もお願いします。1番人気だったヒシシュシュは小柄な馬で、馬場がこたえたでしょうか。
いや、思いの外、馬場はこなしてくれて上手に走っていました。それに先週の土曜は重馬場でしたが、馬場が良いところに水分を含んだ状態で内を回らないといけない馬場だったと思います。そこで外を回ったのと、勝ちにいった分の差ですね。
——アラビアンナイトは前回がフケの影響で、今回は巻き返したいところでした。
今回はスムーズにいけましたし、前回のような気配の問題はありませんでした。馬場は良い方が向く馬とはいえ、今回は枠がこたえましたね。
——アイアムハヤスギルはあの馬場で、内枠を存分に活かしましたね。
ダートは良いでしょうし、レースセンスのある走り。条件も合ったと思います。
——同世代のライバルが多かったメンバーでしたが、トーセンメラニーはどうでしたか。
出遅れもありましたし、外を回らされるロスはありましたが、もう少しハミをとってくれても良かったですね。右回りがダメなわけではないですし、ワンターンの方が乗りやすいと思います。
——ゴルトベルクは接戦を制しました。
待機所から出てこなくなったり、普段なら元気のいい馬がおとなしかったり、レース前はアレっと思うところはあったのですが、レースぶりは変わりありませんでした。最後は良い勝負根性をみせてくれましたよ。
——サンダーブリッツはどうだったでしょうか。
先生とは内枠を活かして進められたら、と話していたのですが、スタートをしてから二の脚で流れに乗っていけなかったですね。前回もそういうところがあって挟まれたのではないかと思いますが、その後は内を活かして巻き返せたものの、もう一列前なら、という競馬でしたね。手応えも怪しかったところ、外に出してからの乗り味は良かったですし、ワンターンの方が力を出しやすいのかもしれません。
——期待されていたアスクビクターモアは勝ち時計こそ目立たないものの、後半5Fは速いタイムでまとめました。3着以下に着差をつけただけでなく、良い内容だったと思います。
新馬からも期待はしていました。当時より少ししっかりしましたし、順調に来ていると感じましたね。距離はまだ延びても大丈夫でしょうし、今後も楽しみです。
——新馬のロムネヤも上がり勝負でしたが、3着以下を突き放しましたね。
ハナに行くつもりはありませんでしたが、スタートも速かったですし、上手くコンタクトをとりつつ、リズム良くいけたと思います。前向きさが次戦以降、どう出るかですが、期待通りの走りはしてくれました。
——スワーヴヨハンはしっかり乗れれば枠は問わない、とおっしゃっていましたが、流れも向きましたし、外枠も良さそうでしたね。
外の方が競馬はしやすかったですね。まだまだ課題があるだけにリズムをとって組み立てられるか難しいところはあるのですが、今はコース云々よりは1200mの距離の方がやりやすいですね。教えていくこと、学んでいくことは多いと思いますし、なかなかいないタイプの難しさは残りますが、上でも楽しみです。
——オーバルスプリントのカツジはどうだったでしょうか。
う~ん、やっぱりダートは合わないですかね。乗り味の良い馬ですが、気難しいところもあって、浦和コースも合わない印象でした。
——浦和といえば、地方競馬の半期後輩というか盟友である浦和の繁田健一調教師が初勝利されたそうですね。
いやあ、良かったです。南関東に行ったので久々で喋りましたけど、本当にすぐ勝てて良かったです。色々と大変なことはあるそうですが、コツコツやっていくといっていましたからね。今後も頑張ってほしいです。
——久々の南関東での騎乗でしたよね。
そうですね。南関東はいつ帰っても明るく迎えてくれて、嬉しい気持ちになりますね。
——しかし、ここ最近は悲観的なコメントの一方で、中山開催は8勝をマーク。重賞や2歳戦での活躍が目立っているのではないでしょうか(笑)。
そうですかね……。目立たないといけない立場。少しでも覚えてもらわないといけませんから。有力馬に乗せてもらってチャンスはもらっていますし、人間が頼りないですけど、割り切って何とか祈る思い出でベストを尽くすだけです。
——そうですか(笑)。ただ、G1に向かうかどうかわからない馬もいるとはいえ、あとは秋のG1をどこかで勝てればいいですね。
やっぱりG1は目立ちますからね。それは承知していますし、何とか勝ちたいです。
——スプリンターズS(G1)はアウィルアウェイ、南部杯(Jpn1)はソリストサンダー、京都大賞典(G2)のヒートオンビートなどの騎乗が決定したそうですね。次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
※次回は10月1日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。