'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月11日時点1556勝
祝・秋華賞をアカイトリノムスメで勝利!今週は東京で騎乗
2021/10/22(金)
アカイトリノムスメと久々のコンビで挑んだ秋華賞を勝利。自身にとっても昨年のチャンピオンズC以来となるG1勝利。秋競馬の真っ只中で景気づけとなる勝ち星となったことだろう。今週は連日、東京競馬場での騎乗になるが、期待馬もおり、来年以降へ向けても好結果を期待したいところだ。
牝馬最後の一冠をアカイトリノムスメで逆転!
——先週は秋華賞(G1)をアカイトリノムスメで勝利、おめでとうございました!コンビを組むのはクイーンC以来でしたが、春の2冠でも善戦していただけにチャンスのある一頭だったと思います。枠は理想より外になりましたが、いかがだったでしょうか。
ありがとうございます。枠は金曜に見て、もう少し内が良いなとは思いましたね。ただ、発馬機の繋ぎ目の枠でもあったり、左右の馬のゲートが決して良くなかったこともあってスムーズに流れに乗れた面はありましたね。
——戦前の国枝調教師のコメントをみても、ソダシをマークするような形は意識していましたか?
いや、どちらにせよソダシは先行するんだろうとは思っていましたからね。自然とそうなるという感覚でした。(福永)祐一さんの馬なども先行してくるだろうと思っていましたし、他には思ったほど出てこなかった馬もいましたが、あの形になりました。
——馬体重はほぼ変化はありませんでした。当日、再び跨られての変化はどうでしたか。
少しヤンチャなところのある血統でレースでは問題ありませんが、兄弟は共通して気性が難しいんですよね。返し馬は上手くいったのですが、待機所からゲートで集合が掛かってから跳ねることもあって焦りましたね。動きが素早いし、瞬時にやるので、気が抜けないところはあります。
——兄たちは上りの掛かる展開に強いイメージがありますが、こちらは牝馬の分、タイプはちょっと違いますかね。
そうですね。ただ、僕も乗せてもらっていた全兄のモクレレもこの夏に新潟で勝ちましたけど、以前と違って体がスカッと見えて、良くなっているんじゃないかなと思っていたんですよね。走りも変わったように思います。
——話題は戻りますが、そういう意味でもアカイトリノムスメも徐々に成長があったんじゃないですか。
攻め馬ではそこまでの差を感じなかったのですが、レースに行った方がしっかりしている感じはありましたね。
——道中は外々を回る形になりました。
本来、もう少し内に入れられれば良かったですけど、入るスペースもなかったですからね。外3頭目なら何とか凌いでほしいと思っていました。
——3コーナー以降の手応えはどうでしたか。見た目にはコーナーでサッと動けるところはまだないのかなと思いました。
手応え的には程よいものがありましたね。ただ、まだ非力ですし、緩さもあるのでシュっとした動きはできませんが、そこは成長次第かと思います。
——最後は半馬身差の着差でした。
道中は上手くいきましたし、最後の反応もありました。後続の足音も聞こえてきたので「あとは凌いでくれ」という思いでした。
——約一年振りのG1制覇ですね。
一年振りですが、やっぱりG1だと祝福の声も多いですし、良いものだなと思います。
——国枝厩舎、金子真人オーナーでのG1勝利は初めてですね。
オーナーには昔から良い馬を沢山乗せていただいていますし、何とか結果を出すことができて良かったです。国枝先生にも頻繁に乗せていただいていて、国枝厩舎の馬で勝ちたいと思っていました。勝ったことを本当に喜んでいただいていたようなのでホッとしました。
——枠順確定後のコメントでは「あとは圭太に任せる。上手く乗ってくれるでしょう」といったことも言っていたようです。戦前の指示はなかったですか。
もともと国枝先生から細かく指示をされることはないのですが、それでいてレースが終わればこまめに映像を見て、研究されていらっしゃる印象があります。かといって結果に対しては淡々としているところがある先生ですからね。
——先ほど、「道中」というコメントもありましたが、レース中の姿勢もこの一年でずいぶんと変わったんじゃないでしょうか。何度か話題にはしていることですが、先週も改めて感じました。
自分としてはハマりが良くなっていると思います。アプローチの仕方や感覚も変わって、とても良い、良くなったと思います。あとは周りの人がどう思うからは僕が決められることじゃありませんし、毎回上手く乗れるわけではないので、コツコツやっていくだけですね。
今週は東京で土日19鞍の騎乗!
——今週は土日ともに東京での騎乗になりますね。土曜のザアトムは追い切りに乗られたそうですね。
3週続けて乗せていただきました。ようやくここへ来て素軽さが出てきましたが、まだ良くなる余地はありそうですね。
——ランカンカン、トップリーチ、スマートワンなどは騎乗経験があります。
ランカンカンは東京で勝った時がしぶとい内容でしたし、クラスが上がっても対応しそうですね。トップリーチは良い伸びがあるタイプですね。どうしてもテンは置かれると思いますが、最後に盛り返してほしいですね。スマートワンは良いスピードがあるので、それを活かせる展開になってほしいです。頭が高いのでもう少し体を上手く使えるようになれば尚良いのですが。
——アイビーSのアスクビクターモアは前走が優秀な内容でしたね。
期待していた通りの内容をみせてくれました。昇級、相手関係も変わる中でどこまでやってくれるか、ですが、クリアしてもらいたい思いはあります。
——赤富士ステークスのゴールドレガシーも楽しみな存在です。
新馬がなかなかできない勝ち方だったので能力の高さは感じていましたが、前走も馬の力に助けられた内容でした。精神的にまだ不安定さは否めませんが、昇級でも期待しています。
——富士ステークス(G2)にはサトノウィザードで挑まれます。
レースを見ても良い脚をもっていますし、そこを引き出したいですね。追い切りは1週前に乗せていただいたところ、マズマズといった内容でしたね。今週で態勢は整ってきそうです。
——日曜の新馬リメインステディは追い切りに乗られたそうですね。
アタマの高いフォームでそこが実戦にいってどう変わってくるかですね。
——レディバランタイン、ブラックパンサーなどはどうしょうか。
レディバランタインはテンションとリズムが重要になりそうですね。上手にいけば能力を発揮してくれると思いますが……。ブラックパンサーは南関東で強い勝ち方をしてきたようですし、ダートでどんな走りをしてくれるか楽しみです。
——甲斐路ステークスのバジオウ、ブラジルCのグレートタイムも騎乗経験がありますね。
バジオウはこの夏をどう過ごしてきたか、楽しみですね。ダービーでも良い走りをしてくれていましたし、成長を期待したいです。グレートタイムは惜しい競馬が続いているだけに何とか勝ちを意識したいです。
——先週の話題でいえば府中牝馬ステークス(G2)のマジックキャッスルは調整内容も通常と異なっていたので気にはなっていましたが、まさかの結果でした。
終わってみれば行きっぷりも良くないし、最後もバランスが悪くなってしまい、本来の走りではありませんでした。覇気も元気もなかったですね。力のある馬ですし、また立て直せば活躍できると思います。
——プラタナス賞のケルンコンサートはペースを考えると、距離も長かったんじゃないでしょうか。
長いですね。ただ、馬が悪さをするわけではありませんが、遊び遊び走っているようなところもあって、自分からという気持ちには欠けていますね。
——パラノイドは序盤の行きっぷりが非常に悪かったですね。
こういうことは時にある馬なのですが、最後は伸びてきただけに前半がもったいなかったですね。一度使えば変わってくると思います。
——次週は天皇賞・秋ですが、JBCの出走予定馬なども発表されましたね。アカイトリノムスメの次戦はエリザベス女王杯に決定など大舞台での騎乗も続きますが、日頃の一勝だけでなく、引き続き好結果を期待しています。今週もありがとうございました!
ありがとうございました!
※次回は10月29日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。