'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月11日時点1556勝
【祝】全日本2歳優駿を制覇!週末は中山&阪神を転戦
2021/12/17(金)
全日本2歳優駿ではドライスタウトが快勝!世代の頂点に輝いたが、何と言っても勝ち方も目立つもの。過去には何度も同レースを乗ってきたジョッキーはどんな感触だったのか是非チェックしていただきたいもの。今週は土曜がターコイズS、日曜は朝日杯FSなどに騎乗するが、年内の開催も残り僅か。一つでも多く勝ち星をあげてほしいところだ。
不安材料を一蹴!ドライスタウトが2歳ダートの頂点へ
——昨日は川崎競馬場で全日本2歳優駿(Jpn1)をドライスタウトで勝利。おめでとうございました!非常に強い内容でしたね。
ありがとうございます!凄い勝ち方ができましたし、本当に楽な競馬で勝たせてもらったと思います。
——距離やコース形態、ナイターなど初物尽くしの一戦でしたが、パドックや返し馬の雰囲気はどうでしたか。
色々とクリアしなくちゃいけないことはあったのは事実ですが、そんな面にも臆することがないといいますか、何の心配もいらなかったという走りでしたね。ナイターなんかも未知数さは大きいものですし、その時になってみないとわからないものの、クリアしてくれましたね。
——枠は6枠10番からのスタートでした。今年はJRA勢のレベルが高いとは言われていましたし、NAR勢も粒揃いだったと思います。枠の並びや展開はどう捉えていましたか。
枠は内でゴチャゴチャするよりは外目で良かったです。カイカノキセキがハナに行くことも頭にありましたが、やっぱり2歳同士でキャリアが浅いですから、どういう展開になるかは未知数でしたね。それよりも馬の力を発揮させることを心掛けた方がいいなと。
ドライスタウト自身はどんな形にも対応してくれそうなところがありましたし、むしろ逃げる形にもなるんじゃないかと思っていました。外枠の馬がスタートでゴチャついていましたが、全く影響もなかったですし、位置取りはある意味考えていなかった中でとても良い雰囲気で走ってくれました。
——距離が延びることへの対応も必要でしたが、ゆったりとした走りなので小回りやコーナーが増えることも課題でした。
前走も良い内容でしたし、ある程度自信をもって臨みましたが、全く大丈夫でしたね。距離が延びていったと仮定すると、どこまで対応できるかはわかりませんが、1600mをこなせたことは大きいですね。
——日本のレース体系を考えると1600mさえこなせれば、というところですね。僕は現場にいないので写真を見る限りですが、レース後のドライスタウトの眼をみると、気性面の成長は必要でしょうか。
いや、そこまで課題があるわけではないですね。ただ、あれもレース後だからたかぶっているところだと思うので、もう少し冷静になれればより成長できると思います。
——デビューから約3カ月。短い期間の間にもパフォーマンスを上げていますね。
前回の内容が良かったところで前走からの比較で緩さも少し取れてきたように思いますし、状態も良かったです。この馬はまだまだ良くなると思いますよ。
——そこまで称賛されるのも珍しいですね。個人的な意見ですが、戸崎騎手は今年の2月~3月に海外遠征へ向かいました。サウジ、ドバイでの3歳馬のレベルも肌で感じている部分はありますよね。
そういったところも意識できるようなくらいの走りですね。ただ、来年はサウジも国際競走になるのでまた海外からの見方も変わるでしょうから。競馬なので何があるかわからないですが、もの凄い素質を秘めていますし、順調にいってほしいですね。
——久々に古巣・南関東でのJpnⅠタイトルとなりましたね。
川崎で乗ることも久々だったはず。最近はJRA騎手が交流に乗れる機会が制限されていたとはいえ、そもそも自分の乗り鞍も減っていますからね。やっぱり南関東で勝たせてもらうことはより嬉しいですし、今回は馬に感謝です。
朝日杯FSはトウシンマカオに騎乗
——今週は中山、阪神での騎乗とのこと。土曜中山のウラカワノキセキ、ジョーカーブラウンはどうでしょうか。
ウラカワノキセキは前走で思っていた以上に動いてくれました。いいスピードがあるので、距離にも対応できそうですね。ジョーカーブラウンは大きな馬でパワータイプですが、背中の良さを感じました。あとは本馬場でどれだけ動いてくれるか、ですね。
——ダノンブレットは東京で好走しましたね。
前走は精神面も体質面も成長を感じましたし、競馬も上手に走ってくれました。奥が深そうですし、中山替わりでもこなしてくれるんじゃないでしょうか。
——ターコイズS(G3)はギルデッドミラーに騎乗されます。
折り合いが一つのポイントになりそうですね。素質はいいモノがあると思うのですが、何とか引き出せればと思います。
——日曜の阪神ではジェットエンブレムは久々の騎乗です。
未勝利を勝った時は良い勝ち方でした。スピードとパワーを兼ね備えている印象でした。ここ最近はブリンカーを着けているそうですが、そんな兆候は確かに感じられましたね。
——朝日杯フューチュリティステークス(G1)にはトウシンマカオで臨まれます。
状態は順調に来ていると思います。いいスピードがあって完成度の高さを感じますね。
——1週前追い切りに乗られていましたが、今の美浦トレセンは右回りの調教が観え辛いといいますか、映像では一旦途切れる部分があるのでコーナリング、手前変換がわからないですね。
そうですね(笑)。ただ、走りは右回りでも問題なさそうですよ。あとは基本的に再び距離が延びるのは良い方に向くとは思えないのですが、許容範囲内といったところ。そこを上手く器用さでこなしてほしいです。
——トレセンと競馬場での気配の違いはありますか。
基本的には変わりないですね。前進気勢が強くてグイグイと走りたがっていますよ。
——関西地方は木曜から金曜にかけて雨予報ですね。
未知数ですが、雨は決していいとは思えないですね。課題はあると思いますが、キャリアの浅い馬同士。何とかベストを尽くしたいです。
先週の中山では2勝
——今週は長くなりますが、先週の回顧もお願いします。カペラS(G3)のデュアリストはどうでしたか。
レースは良い形でいけたと思ったところ、どうしてもひと息で走ってしまいますね。最後の残り100mで止まってしまい、難しさを感じました。
——前走は外枠で今回は内枠。または輸送なども影響したのでしょうか。
いや、テンション自体が高くなったりしていたわけじゃないですし、雰囲気は悪くなかったので。それに外から特に速い馬もいたので内枠が特にマイナスになったようには思いませんでした。あとはどうしても気が入るところと、外からプレッシャーを掛けられてちょっとした差によって前走のような走りができなかったですね。
——シングフォーユーは先週言っていたような展開になったのではないでしょうか。
その通りですね。一番理想的な展開でした。昇級しても同じような形持ち込められたらいいですね。
——プエルタデルソルは相手関係からすると、もう少し頑張れていいのかなと思いました。
前残りの競馬にはなりましたが、確かに前回乗せてもらった時より直線での反応がもう一つでしたね。物足りなさは確かに感じました。
——アランデルは前回から距離延長でしたが、いかがでしたか。
道中で力む面を上手くリラックスさせてやらなかったですね。改めて難しいところがあると感じました。
——ロジハービンは最後だけで抜け出しての差し切りでしたね。
タイプ的にゆったり走らせたいと思っていましたが、内枠であの位置に。なんとか我慢してくれて、最後まで道がなかったのですが、道ができてからは良い脚でしたね。いいモノはありますし、距離が延びても良さそうです。
——アメリカンシードのレースはハイペースになってしまいましたね。
乗り難しいですね。スタートして1コーナーまではゆったり運べたのに、そこからガツンと噛んでいきました。ひと息で走ってしまい、上手くなだめられなかったです。
——ロンコーネは惜しい結果が続きます。
スムーズにいけたのに勝ち切れないですね。中山でも大丈夫でしたが。
——ネレイドは勝ちパターンだったはずですが、最後の最後につかまりました。
いいスピードはあるんですけど。上手く溜められたと思ったものの、切れる相手にやられてしまいました。
——そういえば載せなくてもいい極めて余談ですが、全日本2歳優駿だけでなく、ここ最近、眉毛もしっかり整えられていますね(笑)。
ちょっと手入れしているので、そうなりました(笑)。昨日も矢野(大井の矢野貴之騎手)にもそんなこと言われましたよ。「テレビで見ると凄く目立つけど、実際みると自然に見えますね」ってね。
——中央移籍後、美容家かのように色々と手が込んでいます。ゆくゆくはビジュアル系バンドマンのようにならないか心配ですね。
ハハハ、もっと伸ばせるところは本業であるだろって話ですけど。
——ドライスタウトで勝たれましたが、ここのところダートでの活躍が顕著です。開催も残り僅かになりましたが、今年は有馬記念に騎乗が叶いませんでした。その点はどうですか。
年末の風物詩ですし、正直寂しさはありますね。競馬を知らない人でも参加される方も多いようなレースでしょうから乗りたかったです。そこは挽回できるよう頑張ります。
——そして、先日の香港国際競走はいかがでしたか。
ラヴズオンリーユー、グローリーヴェイズが勝ったことは非常に素晴らしいんですけど、香港スプリントであれだけの事故になったことはショックでした。凄い落ち方だっただけに怖さを感じましたし、馬は残念なことになってしまいましたが、騎手は命に係わるようなことに至らなかったのは何とかよかったです。
——大舞台での事故は改めて危険と隣り合わせですね。
自分もJBCで怪我は経験しましたが、あれは自分も悪いですから。ああいうことが起きうることを意識してレースをしなくちゃいけないと改めて戒めたいです。
——今回は長くなりましたが、また次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
※次回は12月24日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。