'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
ラスト3日間は中山で騎乗!年内の更新は残り1回の予定
2021/12/24(金)
先週の朝日杯FSはトウシンマカオと挑み6着。戦前から距離などの課題を口にしていた中で大きな差のない内容をみせたのではないだろうか。今週と年内最終日は残念ながら有馬記念、ホープフルSでの騎乗機会は得られなかったが、ベストを尽くしてほしいところだ。なお、当コラムの更新は次週月曜を予定している。引き続きご愛顧のほどいただければ幸いだ。
土日は中山で14鞍に騎乗予定!
——今週は土日に中山で騎乗され、年内最終日も中山で乗ることになりますね。時系列順に伺っていきたいですが、土曜の未勝利戦、新馬戦からキガサやルージュエヴァイユはどうでしょうか。
キガサは展開に左右されると思いますが、脚は持っていますからね。流れが向いてほしいです。ルージュエヴァイユは追い切りでは乗り易さを感じました。仕上がりも良いですし、早い段階から走ってきそうですよ。
——クリスマスCにはアラビアンナイトと続いてコンビを組まれます。
正直にいえば東京や新潟コースの方が合うタイプだと思いますが、状態さえ良ければ、力を発揮できると思います。
——日曜のネレイドは前回が惜しい競馬でした。
いいスピードは持っているので、スピードを活かした走りをさせたいところです。中1週は気になりますが、未勝利を突破できる力はあるでしょうからね。
——グッドラックハンデのラヴィンジャーは惜しい競馬が続きます。
中山になるのは良いと思います。もうワンパンチという競馬が続いていますけど、その辺りを上手く騎乗でカバーしたいですね。
——フェアウェルSのカイアワセは2勝クラスを圧勝しました。
条件は良いと思います。昇級初戦でも掲示板には入っていたようですが、モマれない外枠を引ければこのクラスでもチャンスはあるでしょうね。
先週は中山・阪神で勝利!
——先週のレースについても引き続き伺いますと朝日杯フューチュリティステークス(G1)のトウシンマカオは課題を挙げられていた中で6着でした。
思っていた以上にレースが上手くなっていましたし、リズム良くいけて、道中も気を抜いて走れましたね。
——懸念材料としては、やっぱり一番は前進気勢だったわけですね。
そうです。走ることに前向きなので。だから長距離輸送でテンションが上がり過ぎてしまう馬って少なからずいると思いますが、この馬に関してはただ走りたいという精神面から行きっぷりがいいので、輸送の影響などはないんですよね。
——1週前追い切りにも乗られていましたが、状態は良かったですか。
そこは問題なかったですね。むしろ過去3戦、常にいい状態をキープしてくれています。
——完成度が高いとは先週語られていましたが、馬体を見ると、同世代と比較してもまだ小柄な部類ですね。
僕が思うにはレースも上手ですし、完成の早いタイプとは感じています。その上で成長があれば素晴らしいとは思いますが、今回は何とか頑張ってくれたと思います。
——デルマグレムリンは人気薄での勝利でした。
乗り味はあんな人気になるようなものではなかったです。ゲートを出てから自分のペースを保って走っているようなところがあって、大丈夫かなと思ったほど。でも、キレるより長く脚を使うタイプかと思い、早めに動いていきましたが、あれだけ外を回った中でもバテずに伸びて押し切ってくれました。
——単勝142.9倍での勝利。(2013年12月1日の阪神9R・単勝153.8倍)ジョッキーのJRAでのキャリア史上過去2番目の単勝オッズでの勝利となりましたね。
それだけついたということは、正直信頼がないからだと思います。その2013年の当時は地方からの転入初戦だったりということもあったのでしょうが、もっと信頼できるような存在にならないといけないですね。
——テーオークレールは距離が長そうな惜しい内容でした。
そういう感じはありましたね。ただ、1700mを試した時の内容がもう一つだったようです。今回も色々スムーズさを欠いた中で頑張っていましたし、力は感じました。
——ターコイズS(G3)はギルデッドミラーで3着でした。
折り合いが難しいと思っていましたが、外枠でリズム重視のレースに徹することができたのは良かったです。先生からは「流れの中で折り合いをつけて乗ってほしい」と言われていましたね。勝ち切るということでいえば、もっと枠は内じゃないといけないのかもしれませんが、前も引っ張ってくれましたし、上手に走ってくれました。どこかでチャンスのある馬だと思いますし、今回はキッカケになったんじゃないかと思います。
——それにしても中山マイルの重賞では通算で(6-5-5-15)で連対率35.5%、2度に1度は馬券に入っている確率です。
そうですか。まあ、2着、3着の多い男ですから。それなりに勝ち切れている理由はあまり自分では何故かわかりませんけどね(笑)。
——ダノンブレットはブリンカーを外したことか、内枠が堪えたのでしょうか。
色々原因はあると思います。馬具やコーナーが増えたことなど……2走前に大きく負けていますし、やっぱり一筋縄ではいかない馬だなと感じました。連続好走するには東京の方が力を出しやすかったかもしれません。
——コングールテソーロは初ブリンカーでしたが、コースとの相性がひと息でしたか。
結果、ブリンカーで変わり身はなかったのかなと思います。まだ走れるのに走り切っていないといいますか、そんなところはあります。タイプとしては東京の方が合いそうですね。
——ジョーカーブラウンは追い切りではマズマズでしたが、大型ですし、使いつつでしょうか。
体重も増えていましたし、使いつつどこかでチャンスがありそうです。
——ウラカワノキセキは追い切りがかなり軽く感じましたが、未勝利なら対応できましたね。
新馬前もそんなところがありましたが、やっぱり実戦にいって良いタイプなのでしょうね。そこを信じて乗りましたし、コース適性もあったようです。
——あとは先週、ドライスタウトで全日本2歳優駿を勝利されましたが、このところシニスターミニスター産駒も好調ですね。産駒の印象はありますか。
う~ん……ダート?ですかね(笑)。
——血統的にはダートに集中していますね。産駒とは36戦8勝とのことで、産駒で勝たれた馬ではドライスタウト以外では、アシャカトブ、スリーグランド、トモジャリアなどです。
比較的悪さをしないような傾向があるんじゃないでしょうか。長距離でも引っかかるイメージはないですね。僕が乗っていませんが、テーオーケインズなんかは行きっぷりがよく見えるものの、収まるポイントがあるんでしょうね。
——ということで、残り開催は28日だけになります。有馬記念、ホープフルSと騎乗馬がないのは残念ですが、また次週もお話を伺えるということで、よろしくお願いします。
よろしくお願いします!
※次回は12月27日(月)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。