'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
中山最終週は18鞍の騎乗!
2022/1/21(金)
今週で中山開催も一旦区切りとなるが、ここまで1着3回に対して2着が8回という成績に留まっている。例年、一月は勝ちあぐねるパターンの多い戸崎騎手ではあるが、最終週で巻き返しとなるか。
AJCCはラストドラフトに久々の騎乗
——今週で中山開催も最後になりますが、土曜の騎乗馬から追って伺えればと思いますが、1Rのバオバブスピリットは前走が初ダートでしたね。
いいスピードがありますが、展開的には上手く行ったのも事実。時計はもう少し詰めてほしいところです。
——レイヴンズコーは新馬で低評価に覆して2着でした。
まだ緩さはありますが、血統的には短距離のようですし、走りからも詰まるのは問題ないと思います。一度使ったことで体の締まりが出てくれれば尚良いですね。
——東雲賞のホウオウサミットは追い切りに乗られていましたね。
素質を感じる走りでした。これからどう成長していくか、楽しみに感じたほどです。
——初茜賞のヴァシリエフスキーは前走で厳しいペースのレースを凌いで昇級となります。
背中の良さを感じましたし、能力はありますね。体質的に弱いところがあるそうなので、間隔を開けながらの競馬。そこに関してはどう出るかなというところはありますが、昇級自体は気になりません。
——初富士ステークスのタイセイモンストルは一度乗られていますね。
当時はマイルでしたが、距離を延ばして良さが出ているようですし、昇級でも頑張ってほしいです。
——アスクヒーローは久々のコンビですね。
当時から素質はあると感じていました。どんな成長をしているか楽しみに乗りたいです。
——日曜のルワンジュは中京ではモタれるところがあったそうでしたが、前走は中山に対応していましたね。
モタれる面は問題なかったですよ。ただ、ムキになるような面もありましたし、そこが収まればいいですね。
——フィルムフェストは一昨年に乗られましたね。
センスのいい馬という印象ですね。あとは今の馬場がどう影響するか、そこは気になりますね。
——先週の競馬ではジョッキーのコメントをみると、荒れた馬場で脚をとられる類の回顧は増えてきましたね。
自分の場合は一頭くらいしか感じなかったですけど、そういう馬場にはなってきました。向き不向きは出てくると思いますよ。
——アメリカジョッキークラブカップ(G2)はラストドラフトに騎乗されます。
この条件で好走していますし、馬場という意味では今のコンディションもこなすんじゃないでしょうか。イメージ的にはスムーズなレースをしないと気持ちが持続しない印象。そこに気を付けて乗りたいです。
ここまで2着が多数 戸崎騎手の一月ならでは?
——先週のレース回顧ではジョーカーブラウンは2戦続けて乗られたものの、なかなか変わり身がなかったですね。
前走からの上積みがもう少し欲しかったところ。ただ、前から思っていましたが、ダートも合いそうです。
——ホウオウセレシオンは先着された馬を前に置いて、突き放される結果。もっとやれるかと思いました。
返し馬ではいい馬だと感じました。馬体重も絞れたようですし、状態も良かったんだと思います。最後に頑張れない辺り、気性面もあるかもしれません。馬具を試しても良さそうです。感触的にはまだ出し切っていないと思いました。
——ロムネヤは前回から巻き返して欲しいところでしたが……。
どうしてもゲートは遅れてしまいますが、新馬と比べても当時の方が体はパリッとしていたように思います。馬場に脚をとられてバランスを崩していましたし、体も成長してほしいですね。
——ノーブルシルエットは遅いペースもこたえましたか。
比較はつきませんが、コーナーでかなり外へ張っていて、脚が溜まらなかった様子。相手関係的にも勝ちたいところでしたが。
——ダノンチェイサーは内枠から抜け出した印象からも、外枠替わりがどうかと感じました。
レースを見て、内で壁を作って溜めてズドンという競馬がしたかったですね。外枠を引いた時点で組み立てが難しい印象もあり、後方からの競馬も作戦としては採り辛いですし、上手く内に潜り込ませられたらと思ったものの、そうはいきませんでした。
——ゼログラヴィティは昇級初戦とはいえ、序盤からゴチャついた展開に苦しみましたね。
初めてモマれる競馬になりましたね。最初のコーナーでブツけられてあそこでスイッチが入ってしまいました。普通ならあんなに負ける馬ではないですから。
——京成杯(G3)のロジハービンは2着でした。
追い切りよりも数段馬が良くなっていて返し馬ではビックリしました。その分、行きっぷりも随分と良くなっていて、これは折り合いも心配だなと思ったほどです。結果、2コーナーではペースが遅い分、苦しかったですね。実際の数字の額面と比べてペースを遅いか速いか感じるかは捉え方次第だと思いますが、僕は遅いと思いましたし、周りのジョッキーもそう言っていましたね。大トビの馬でもあり、早めに動く形で長く脚を使ってくれました。
——過去2戦と異なり、今回は外枠からのスタート。前回は2歳馬ながら馬群の中でも我慢が利いていたことは評価できるポイントだと感じましたが、フットワークを考えると伸び伸び走れた方が良いのかなとも感じました。枠順についてはどう思いましたか。
決まった時は内枠の方が良かったと思いましたが、終わってみれば外枠だからこそ、あの位置で流れに乗れたんじゃないかと思いますね。
——道中はペースが落ち着いたところで動きましたね。あれは折り合い面なのか、ラップ的にも見える通り、ペースが落ち込んだからなのかどうでしょう。
あれは遅かったから動きました。ペースが速かったら、もっと折り合いも楽だったとは思いますけどね。
——前回は内へ刺さる部分があったと思います。
それは変わらず多少ありますね。体が良くなってくれば、もう少し良くなるのかもしれませんが。
——次は弥生賞ということで、同じコースで引き続き走ることになりますね。
現状はこのコースは合っていると思います。折り合いがカギにはなりそうですが、トビも大きいし、パワーもあるので自分のリズムでいける競馬ができればいいですね。
——ブロンズレッドはここまで前残りの結果になるとは思いませんでした。
一枠を活かしてイメージ通りの競馬。あとひと押しだったのですが、前が捕まりませんでしたね。
——今週で中山開催も終わり、次週からは東京開催が始まります。ここまではどうでしょうか。
正直、勝ち切れていないですね。しっかり結果を出さないといけません。
——騎乗馬のラインナップが違うとはいえ、一月はこんな結果をよく見るとも言えますが……(苦笑)。
まあそうですよね。ただ、昔の一月に惜敗が続いた時と違うと言いますか。自分の中では感覚が良くなっている部分はありますし、当時の敗因も俯瞰してみられるところがあります。と言っても結果の世界。結果を出さなくては何を言っても説得力はありませんから。しっかり乗っていくだけです。
——競馬とはまた違った勝負の世界で、第一線を張ってきた体操の内村航平さんも引退を発表されました。
面識があるわけではありませんし、体操に詳しくありませんが、好きな選手でした。長い間、お疲れ様でしたという思いです。内村さんが拘っていたピタッと止める着地は本当にカッコよかったですね。
——先週の記事で話題にしたTCK女王盃(Jpn3)は今週ではなく次週でした。お詫びして訂正いたします。ということで、次週はTCK女王盃のブランクチェック、根岸ステークス(G3)のソリストサンダーとダートで注目馬の騎乗が続きますね。
ええ、どちらも楽しみです。
——今週もありがとうございました!
※次回は1月28日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。