'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
弥生賞はインダストリア、オーシャンSはスマートクラージュに騎乗!
2022/3/4(金)
開催替わりの1週前は4勝をマーク。年明けで出遅れた感のあった勝ち星のペースも徐々に挽回してきたところ。そして、今週は土日ともに重賞で上位人気が目される素質馬の騎乗も控えている。全体的な勝ち星だけでなく、重賞でも2勝目、3勝目と期待したいところ。月が替わってさらなる加速を期待したい。
課題と期待を抱えるインダストリア
——今週も中山での騎乗になりますが、特に重賞の騎乗馬は楽しみじゃないかと思います。まず、弥生賞(G2)のインダストリアは前走に続く騎乗ですね。
楽しみですね。距離だったり、左に張るところがあって、課題があるのは事実なのですが、どんなレースをしてくれるか、楽しみという言葉に尽きます。
——前走で乗られた後は「あれだけ外に行く馬もなかなかいない」と言っていたことが印象的でした。
それは変わらずあると思います。左側にチークピーシズを着けるようですけど、追い切りよりもレースに行ってからの方がある意味、動きのいい馬なんです。だから攻め馬で大丈夫でも、実戦でどこまで補正されるかは難しいですし、気性的な課題には気を付けたいです。
——末脚のいい馬でなかなかそんな展開にはならないと思いますが、たとえば左に他馬を置いてもそうなりますか。
そうだと思いますよ。左にあれだけ行くということは、逆に行く可能性もありますからね。強いていえば、前走で一度乗った経験が活きればと思います。
——距離は初の2000mですね。
3歳同士ですし、対応してほしいところです。切れ味が持ち味だと思うので、この距離でも同じように脚を使えれば十分に通用するとは思いますけどね。
——土曜から他の騎乗馬を窺うと、レーヴドゥラプレリは前回が取消。出ていればおそらく上位人気だったと記憶しています。
このクラスでもやれる馬だと思いますし、チャンスはあると思って臨みたいです。
——潮来特別のラヴィンジャーはここのところが少し成績を落としているものの、本来は安定している馬ですね。
勝ち切れない面は否めないのですが、上手くレースを組み立てたいところ。引き続きこのハンデは好感です。
——上総Sのノーブルシルエットは前回がコーナリングに課題があったようですね。
地力上位だと思うんですけどね。あのモタれたところさえなければ走って不思議ではないのですが……。一度経験したとはいえ、気になるポイントではあります。
——オーシャンS(G3)のスマートクラージュは初コンビですね。
高松宮記念を意識しているのでしょうし、その重要な前哨戦。上がり馬の勢いがあると思いますし、いい結果を目指したいです。
——日曜のディベルティールは所属厩舎の管理馬ですが、久々の騎乗です。
当時より成長しているでしょうし、先行力を活かした競馬ができればと思います。
——マイネルメサイアはそろそろ決めたいところですね。
本当にそう思います。中山になるのもいいと思いますからね。
——湾岸Sのアルビージャもマイネルメサイアと同じコース、同じ厩舎です。
こちらも中山替わりはプラスです。課題がないわけではありませんが、上手く嚙み合えば前走以上もあると思います。
勝ちあぐねた1月から一転して2月は11勝
——先週の話題では、ロンコーネは1勝クラスの惜敗から連勝となりました。
この馬にとっては勝ち切れたことが大きいと思います。やはり精神面の充実が結果に繋がってきたのかと思います。
——全体レベルでいえばハイレベルとは言わずとも強い相手もいた中で、周囲には後方から見られる形でのレースぶりでしたね。
こちらとしては今までがポジションをとっての形だったところ、前走の内容にいい感触があったので、それを続けようと思いました。控える形もあっていますね。
——既に引退が発表されましたが、弥生賞(G2)のマルターズディオサはどうでしたか。
状態面は比較がありませんでしたが、囲まれるとカーっとしてしまうそうで、1~2コーナーでそんな形になってしまったことは良くなかったですね。とはいえ、それだけでここまで成績を落とすとは思いませんが……いい頃よりは走れていないのかもしれませんね。
——カイアワセは2着。前が止まらなかったですが、ここ一連よりは着順を上げました。
課題であるモマれる競馬にはなりませんでした。ただ、正直な印象でいえば、もっと力をつけてほしいところ。まだセンスだけで走っていて、今回は展開とハンデで上位にこられましたが、上を目指すには成長してほしいですね。
——ルージュエヴァイユはデビュー2連勝ですね。
スタートと前半のスピードはああいうこともあるのかと思いましたが、思っていた以上に鈍かったです。新馬を使ったことでもっと流れに乗ってくれると思いましたけどね。そこからは末脚はしっかりしていると思い、脚を溜める形に切り替えましたが、最後は力があったからこその走りでした。
——ハーツクライ、ジャスタウェイという血統からか、多少外に開くような走りに見えました。コーナリングには課題がありますか?
いや、そんなことはないですよ。ただ、広いコースよりは小回りの方が現状は向いていますね。
——東京コースのように切れ味を求められることを比較して、ですか?
そうです。できれば上りが掛かってくれるような方が向いていると思いますね。今後の成長に期待したいと思います。
——ザアトムは待望の勝利でした。
やっと勝てて良かったです。まだ課題はあると思いますが、おそらく冬場より暖かい方がいいタイプだと思います。もっと上を目指して行って欲しいですね。
——ハーモニーマゼランはケチのつけようがない内容だったと思います。
乗り易い馬でしたし、いい形。最後は手術明けで久々の分かもしれませんね。
——セイルオンセイラーはマークされながらも、ラストも減速することなくまとめて押し切りました。
まだ緩さがある中で勝ち切ってくれましたね。これから伸びしろもあると思いますし、楽しみです。
——先日のサウジカップデーはチェックされたと思いますが、どう感じられましたか?
日本馬の活躍は素晴らしいですね。去年、経験したことで芝は合うんじゃないかと思いましたけど、それにしても凄いと思います。クリストフ(ルメール)もたくさん稼いだんじゃないかな(笑)。
——昨年、ジョッキーはサウジカップにも乗られましたが、今年はテーオーケインズとマルシュロレーヌで挑んだものの、及ばなかったですね。
やっぱりあのレースになると外国勢のスピード、パワーが長けているのかなと。コース形態的に走りやすいはずでしょうけど、テーオーケインズがあれだけ追走が難しいのも見ると、改めてそう感じました。
——今週はここまでとなりますが、先日、JRA通算1200勝を達成されたことでどうやら新しい記念品もあるとかないとかですね。また詳しく発表していただければと思います。
ハハハ、そうですね。また近々お知らせできればと思います。今週もありがとうございました。
——今週もありがとうございました!
※次回は3月11日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。