'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
先週は1日6勝の大爆発!今週は安田記念などに騎乗
2022/6/3(金)
残念ながら日本ダービーでは騎乗が叶わなかった戸崎騎手だが、先週土曜は2016年以来となる1日6勝の固め打ち!2回東京開催、5月月間も最多勝で締めくくり、存在感を放った。その勢いを今週以降も持続させていただきたいところだが、2歳戦がスタート、3歳と古馬の混合戦も始まる。例年、夏は勝ち鞍の稼ぎ時でもあり、改めて期待したい。
差しが利く流れ、馬場になってほしいカテドラル
——今週も土日ともに東京での騎乗となりますね。展望について伺っていきたいと思います。土曜のルチア、フラッシュアークと前走でも上位争いをしています。
ルチアはこのクラスを卒業できるだけの能力は持っていますね。あとはテンションがカギになりそうなので連戦での精神面や、モマれる競馬になった時の不安はまだありそうです。フラッシュアークは前走でいいスピードを感じたので1400mになるのは良さそうです。
——新馬のハッピーパンニャは追い切りに乗られたそうですね。
馬はしっかりしている印象でした。ただ、操縦性に課題がある分、レースにいってどう出るかが気がかりです。
——サイモンルグランの前走は8番人気の評価以上に5着と健闘しました。
馬はいいものを持っているのですが、気性が邪魔している面を感じました。気性の我慢が利くかが焦点になりそうです。
——アハルテケSのゴールドレガシーは4走ぶりのコンビです。
僕もいい印象を持っていた馬です。距離自体には対応できるんじゃないかと思いますが、差しが利く流れになって欲しいです。
——以前、乗られた時と違い、前進気勢が出たことでブリンカーを外しても走れるようになったそうですね。
多少エンジンの掛かりが遅いといいますか、初動の動き出しが遅く、詰まったりするのでしょうね。でも、馬群でヒルむような馬ではありませんからスローの前残りのような展開にならなければと思います。
——日曜のジョンソンテソーロは新馬以来のコンビです。
追い切りよりも実戦タイプという印象でした。昇級後の内容からも強気にはなれませんが、勝った時のような走りができればと期待したいです。
——ホンコンJTのサトノフォーチュンや麦秋Sのロコポルティはどうでしょうか。
サトノフォーチュンはもう少し体を起こして走れるようになれれば詰めの甘さを解消できそうです。ロコポルティは前走のような馬場がどうかなという感覚があったのですが、それでも走ってくれました。あれならクラスが上がっても対応してくれるんじゃないかと思います。
——安田記念(G1)にはカテドラルで挑まれます。
どうしても後ろからの競馬になってしまう面は否めませんが、差しが利く流れになってほしいですね。先週の東京の芝は土曜日と日曜日では傾向が違って、日曜も決して馬場が硬い訳ではなかったものの、ダービーではあれだけの時計が出ましたし、先行有利の馬場でした。今週末も多少は雨があるような予報を見ますけど、東京コースだけに早々馬場傾向が変わるとは思えないところ。何とか展開が向いてくれればと思います。
ダービー前日は1日6勝で存在感!
——先週はなんと言っても1日6勝の固め打ちでした!
あそこまで行くとはね……(笑)。神がかっていました。自分でも驚きましたよ。
——1日6勝は2016年以来とのこと。1日5勝含む8連対という年はあったようですが。
むしろ6勝もしたことあったんだなという思いです。大井の頃も1日に乗れる乗り鞍の制限があるので、6勝なんてしたことあるかなと思うほどです。
——しかも一時行われていた口取り撮影も今は再開されています。昔のような形ではないにせよ、ファンの声援にも応えたりしていたようですね。
昼は挟みますけど、3Rから乗りっぱなしだったんですよね。だから嬉しい忙しさでしたね。その中でも一時よりファンの方も競馬場に入っていただいた中で声も掛けてもらったり、そんな面でも嬉しい結果でした。
——日曜の方がから振り返ると、目黒記念(G2)のバジオウはやっぱり距離が敗因でしょうか。
馬の状態は良く、レースのプランとしても思い通り。リズム良く運べました。それでもあの結果ということで距離かなと思います。
——ホウオウラスカーズは気性面に課題のある印象でしたが。
距離に関してはもう少し短い方が良さそうですね。出遅れもゲートの中が悪いわけではないので、精神的なものによりますね。能力は秘めていそうなだけに精神面を良くできるかが今後のカギになりそうです。
——オーバーディリバーは久々の騎乗でした。
結果的にいえば勝ちにいく競馬を選択した分、最後はヤメてしまいましたね。返し馬では以前よりも落ち着きがあるし、緩さも多少なりとも良くなっていて、感触は良かったほど。ワンパンチ足りない面はいずれにしてもあるのですが、ああいう競馬をしたことで力を発揮してくれませんでした。溜める形で展開が向いてくれるような競馬が理想です。
——スプラウティングはペースを考えればしぶとい内容でした。
モマれ弱いと聞いていましたし、ブリンカー効果もありましたね。アテにし辛い面はありそうですが、能力的には1勝クラスでは足りますね。
——その前日、ジョディーズマロンで6連勝でしたね。
馬は凄く乗り易いですね。レースも申し分ない形でしたし、反応もよく強い内容でした。
——5勝と来たら、もう一丁という意識はあったんですか?
まあ、ありましたね(笑)。ただ、勝つのは簡単ではないですし、上手くいけばと思っていました。
——レモンポップは連勝が延びました。
正直なところ状態は前回の方が良かったです。その中で自分の形もとれて、いいリズムでした。
——秋まで休ませるということですね。アオイシンゴは惜敗が多いタイプでしたが、こちらはどうだったでしょうか。
今回はゲートのうるさいところがあったのですが、内枠の分、リカバリーがききました。いい形で直線を向いて、追ってからの反応もしっかりしていました。
——ラインオブフェイトは課題があったと思いますが、勝ち切ってくれました。
追い切りで少しトモの甘さを感じましたし、モマれ弱さもありましたからね。体質的な面は気性的に勝っている分でカバーしてくれたのかと思いますが、モマれ弱さも上手く運べたことでこなしてくれましたね。
——その他のクラスでもいえますが、クラス編成がある直前の古馬1勝クラス。ビヨンドザシーンの勝利は大きかったですね。
前半でどう運んで行けるかが重要でしたが、調子も良さそうで楽に流れに乗れて、最後も手応えは十分。終始危なげなく運んでくれましたよ。
——ファロロジーは再度のコンビで接戦を制しました。
走った時のイメージで乗りましたが、直線も狭いところを割ってくれましたね。しっかりした脚取りで勝ち切ってくれましたよ。
——それにしても最近、髪型も変えているそうで、現地に行かれた方はそんな風貌もみられたと思います。
そうですね。真似しているわけではないのですが、流石に乗る時は邪魔なのでヘアバンドもするようにしています。
——容姿の取り組みは抜かりない感じを受けますが……今週から3回東京開催、月も替わりますし、また同じようにとは言いませんが、いいリズムで勝ち星を重ねられるよう期待しています。
ありがとうございます。
※次回は6月10日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。