'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
エプソムCのタイムトゥヘヴンなど土日18鞍に騎乗!
2022/6/10(金)
春の東京といえば5週連続G1など一年の中でも最も盛り上がるシーズン。となれば、リーディング上位騎手も集まるところだが、2週前の固め打ちなど気を吐いた。その積み重ねもあり、現在53勝。予てから目安としている年間100勝に向けて、好ペースで臨めている。夏競馬は過去の傾向からいえば、勝ち星を加算できる時季でもあり、さらなる加速を期待したいところだ。
夏競馬ならではの斤量で今週も勝ち星なるか
——今週から競馬界では函館から北海道シリーズが始まり、ジョッキーの顔ぶれも各地で変わっていきますね。戸崎騎手に関しては引き続き東京での騎乗と例年取りのスケジュール。土曜の騎乗馬から伺いたいと思いますが、2歳新馬のカレイジャスは2週前に追い切りに乗られていましたね。
2週前の時点でも仕上がりの早さを感じました。以降の状態はわからないですが、スピードのあるタイプだと思いますし、仕上りの良さを活かした立ち回りができればいいですね。
——サイモンバロンとビヨンドザシーンは前走で勝ち上がって、引き続き乗られますね。
サイモンバロンは2走前の時点でもいい走りができていましたし、前走はさらに上向いてきました。あれならクラスが上がっても対応できるんじゃないかと思います。ビヨンドザシーンの前走は追うところもほとんどなく勝てました。競馬は器用だと思いますし、昇級してもいい走りをしてくれるんじゃないでしょうか。
——ジューンSのブレークアップはどうでしょうか。
正直にいえば中山の方が合うタイプですね。天気がどうなるかわかりませんが、東京ならば多少渋ってくれた方が良さそう。この馬の持ち味を活かした競馬を心掛けたいです。
——日曜のグッドルックスは1週前追い切りに騎乗されました。
少し脚元の硬さを感じました。ただ、追い切りでは動けていましたし、走り出せば問題ないのかなという感触。現状でどこまでやってくれるか、でしょうね。
——マンドローネも追い切りに乗られたようですね。
こちらも硬さを感じたのですが、動き出せば素軽さはありましたし、準備運動の段階で問題ありませんでした。レースではまた違った姿をみせてくれそうです。
——先週も騎乗されましたが、暑くなってきた時季で52kgの斤量、今は苦になりませんか。
前も言ったかもしれませんが、普通に生活する分にはほぼ影響はないです。ただ、自分としては汗取り(=減量)をしたくないので、日曜や月曜、火曜は大丈夫ですが、水曜以降は食事に気を遣う必要はあります。
——この時季に軽い斤量で乗れることは大きいですが、それだけ今は体質面が変わっているということですね。
今は筋肉量がそれだけ増えたから多少の制限は必要になりましたね。減量がもっと大変な方もいらっしゃると思いますが、僕はその必要がないのは周りより運が良かったです。
セブンデイズはこのコースで勝った際が強い内容でした。コース適性はあるでしょうし、ここでも楽しみです。アベックフォルスは番組的になかなか適条件が限られているということもあり、「今ならこの条件でも試していいんじゃないか」とのことで、ここになりました。距離は短くなりますけど、ここ最近も安定していますし、幅広く条件に対応できている辺り、こなしてくれるんじゃないか、という期待はあります。
——エプソムC(G3)はタイムトゥヘヴンに騎乗されます。
久々でどう成長しているか楽しみです。自分から競馬を作れるタイプではないのかな、という印象はありますが、末脚はしっかりしたものがありますからいい勝負に持ち込みたいです。
先週は2勝で関東トップに
——先週の競馬では、安田記念(G1)のカテドラルはこれまでよりも着順を落としてしまいました…。
ブリンカーを着けたものの、最後の直線では気持ちよく伸びていってくれるところがなかったです。状態が悪いという訳ではなく、精神面での衰えみたいなものは感じましたね。従来よりも脚を使えていないですから。
——ロコポルティは馬場的にも前走よりいい条件じゃないかと思っていたのですが、いかがでしょうか。
状態的には悪くなかったと思います。ただ、僕が乗せてもらった時はそんなことがなかったのですが、性格的な弱さを露呈してしまいましたね。今後、気を付けた方が良いなと感じました。能力的には通用していい馬ですが。
——ジョンソンテソーロは昇級後の敗戦からガラっと変わりました。
新馬の勝ち方が良かっただけに期待はしていたのですが、以降の走りからも見立てが間違っていたのかなと思っていたのですが、合っていたようで何よりの結果です。1ターンのコースは合うでしょうし、内容的にも強かったです。
——ゴールドレガシーは不利が目立ちました。
2度もあったのが厳しかったです。スタートと直線で勢いがついたところでしたから。勝ち馬が強かったので、スムーズだったら勝てたとは言い切れませんが、改めて走っても東京1600mの適性を感じましたし、いい走りはできたんじゃないかと思いますよ。
——サリエラも極端な競馬。相手のレベルが高かったかはわかりませんが、あの競馬でもよく勝てましたね。
強かったですね。今後も楽しみです。
返し馬からスイッチが入っていないような感覚でずいぶんオットリしていると思ったのですが、道中もモタついていました。ゲートの中では気が入っていましたし、あくまで今回は休み明けの分が影響したように感じますが、まだまだ上でもやれると思います。
——フラッシュアーク、ルチアと惜しかったです。
フラッシュアークは距離短縮も合っていて、いい内容でしたね。ルチアはどうしても追ってから浮ついてしまう分、終いが甘くなりますね。惜しい内容を続けているのですが。
——今週は古巣・大井では東京ダービー(S1)が行われましたが、ご覧になられましたか。
前哨戦の内容からもレース前から今年は荒れるんじゃないかなと思っていましたが、やっぱり荒れましたね。ただ、羽田盃の勝ち馬が競走除外になったりというアクシデントまでは予測できなかったですけど。
——東西別々のトップに異議を持たれているかはさておき、2週前の固め打ちもあり、関東所属ジョッキーではトップに立ちました。
そうらしいですね(笑)。下にいるよりは上にいた方がいいとは思いますが、全体のトップではないですからね。
——ここ最近で取り組まれていることはありますか。
変わらずという感じですが、強いて挙げるとしたら重心が変わってきたのかなと。といっても、初歩的なことではあるのですが、今までは自分のクセで乗っていることもあり、それを段々と解消できているだけです。
——馬に乗ったことのない人間から見ても変化を感じますね。
馬に寄っては気を付けないといけないことが多いタイプがいたり、バランスの問題でどれも同じように乗れる訳ではありませんが、意識付けしたことができてきていますね。自分でも映像を見直して、これは良かった、これはダメだったなど感じていますが。
だから下半身を安定させること、体の使い方ですね。感覚の領域でもあり、体を鍛えたから良いか悪いかの分野じゃなく、力の使い方が重要で、以前よりも馬にフィットさせられていると思います。古武術の本を読んだりしているのですが、いつか習って体の使い方を学んでみたいほどです。
ここで競馬ラボからのお知らせです。「週刊!戸崎圭太」のコラムでは読者の皆様からジョッキーへの質問を募集しております。
受け付けは件名に「戸崎圭太騎手への質問」と明記の上、「お名前(ペンネーム)・競馬ラボにご登録のID(メールアドレス)・質問内容(複数OK)・競馬ラボへのご意見&ご感想&ご要望」を明記の上、以下にメールでお送りください。
keita_tosaki@keibalab.jp
今回の締め切りは6月23日(木曜)まで。質問をいただいた方の中から抽選で3名様に、戸崎圭太騎手・JRA通算1200勝の除菌スプレーセットをプレゼントいたします。
応募者多数の場合は抽選になります。当選者の発表は当選者の方へのメールでご連絡させていただきます。ふるってご応募ください!
※次回は6月17日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。