'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
秋の開幕週は連日の重賞騎乗!
2022/9/9(金)
1週前時点で確定的ではあったものの、晴れて夏の新潟リーディングを獲得。福島に続き連続でのトップに輝いた。その勢いを秋競馬も持続してほしいところだが、一年を通して目標としていた年間100勝もあと僅かに迫っている。紫苑Sや京成杯AHなどの注目レースにも騎乗する開幕週からスタートダッシュを期待したい。
前走を踏まえて乗りたい京成杯AH
——先週は改めて夏の新潟リーディングということでおめでとうございました!リーディング表彰でのインタビューでは表情も良く見えましたね。
ありがとうございます。去年までは(以前に負った怪我が)良くなっていると思って乗っていたのですが、やっぱり今の状態と比べるとまだまだだったのだなと。今は違った感覚で乗れていますし、その分、表情に出たのかもしれません。
——秋競馬も可能な限り勝ち星のペースはキープしたいですね。
詳しくは知りませんけど、今の社会情勢であれば秋になれば外国人騎手も来るでしょうし、そうは簡単には……というところですが、今の感覚でいければ、目先の結果に左右されずにいけそうですね。もちろんその時々で感情もあるので、未知数ではありますが、今の感触なら、という手応えはあります。
——ということで、今週は中山での騎乗です。土曜のバンドネオンはダート替わりになります。
芝よりはダートかなという印象はありますが、悪さをする訳ではないのですが、レースに集中し切れない感。まずはそこが良くなって欲しいです。
——紫苑S(G3)のライラックは1週前追い切りに乗られたそうですね。
追い切りの走り自体は素軽く、いいモノを感じました。ただ、真面目過ぎて繊細という感も受けました。当日にテンションが上がり易いとも聞きましたし、他馬を気にするようなところもあるので、レースにいってどう出るか、という感もあります。
——フェアリーSでは大味な勝ち方の一方で関西圏では結果が出ていなかったり、オークスもゲートで後手を踏んでいましたね。
総合すると、新馬は先行していましたし、逃げるか追い込むかという形で結果が出ているのも頷けます。少しばかりでも頭数が少ないのは良さそうですし、馬群での形にならないよう気を付けたいところです。ゲートも課題ですね。
——日曜はファイナルヒート、新馬のダノンゴーイチとどうでしょうか。
ファイナルヒートの前回はヘタに乗ってしまいましたからね。きちんと力を出したいところ。ダノンゴーイチは2週前に乗せていただきましたが、雰囲気も良くポテンシャルもありそうです。
リトルポピーは僕が乗せていただいた際はまだ若さを覗かせるような走りでしたね。当時とは変わってきているようですし、ペースに惑わなければ昇級でもやってくれるのではと思います。エピファニーは2走前の内容が良かったですし、あとは折り合いでしょうか。前回は強気にいっている感もあったので、タイプ的にその後に影響しないといいですが。
——セプテンバーSのゼログラヴィティは力があると思いますがどうでしょうか。
折り合いがカギになりますね。モマれ弱い面もあり、昇級してから大きな不利も受けたりしていましたが、能力的には通用していいと思います。流れに乗せて走らせたいです。
——秋の中山といえば野芝の開催になりますね。
時計が出やすい馬場だと思いますが、合うかなと思いますね。
——スワーヴヨハンは中山でいい勝ち方をしたものの、長期休養明けです。
1年振りはどうかですが、いい素質はあるのでムキにならないよう先を見据えつつ結果が求められればと思います。リズムを崩さぬよう走らせたいですね。
——京成杯AH(G3)のルークズネストは新潟に続く騎乗です。
前走は中途半端な競馬をさせてしまいましたし、前回を踏まえた騎乗をしたいです。こちらもスタートが速いわけではないものの、折り合いがポイントになりますね。かといってペースが速くなり過ぎても良くなさそう。まずは自分のリズムで運んで、最後にどれだけの脚を使えるか見てみたいところです。どちらかといえば内枠の方が良さそうですが、まだ重心も低いままで上手く溜まった走りができていないように思えましたし、半信半疑な面はあるものの、いいモノは秘めているのではと感じます。
年間100勝へ向けて一つ一つ勝ち星重ねる
——先週のレースでは新潟記念(G3)のココロノトウダイはどうでしたか。
このクラスにいるだけの素質は感じましたが、その反面、休み明けということではなくて、凄く緩さを感じました。それは昔っかららしく、これで走ってきたことに驚きを感じました。ただ、競馬としてはずっと気持ちが入ったままで、もう少しリラックスして走らせたかったですね。1600mくらいで走っていてもいいんじゃないか、とは先生にも伝えました。
——カフェサンドリヨンはここ最近からは着順を落としてしまいました。
休み明けの影響でしょうね。以前の休み明けも走れなかったですからね。
——アーレンダールは以前を考えれば不思議ではないものの、前走と比較すると相当に雰囲気が違いましたね。
全く違いましたね。返し馬から気が入り過ぎていて、リラックスして走れていませんでした。
——ドリームアジェンダは前走と同じようにはいかなかったですね。
状態は良かったです。ただ、前走みたいな競馬がしたかったのですが、周りも速かったですし、内枠も不利に働いてしまいました。
グレンハイウェイは凄く大人しくて乗り易いですね。ただ、上に飛ぶような走りでフットワークが沈めないですね。距離的には忙しさも感じました。テンカノギジンの道中は遊び遊びといった感。追い出してからスイッチが入ってくれましたが、気性的に課題はありそうですね。ただ、最後の伸びは良かったですよ。
——コレオグラフィーは新馬で不利がありましたが、今度は自らモロさを出したような負け方でしたね。
一度使って気持ちがたかぶっていましたね。ゲートも決まらなかったですし、コーナーでは少し他馬に振られるようなところがあったとはいえ、周りを気にするような面が目立ちました。体もまだ緩いですが、走り方的にも変化があって、ダートでもいいのかもしれません。
——カーペンタリアは未勝利勝ちの内容から期待が膨らむところでしたが。
道中はスムーズだったのですが、追い出してからはハマりが悪くて反応がなかったです。あんなに負ける馬だと思いませんし、状態面がどうだったのか気になるところです。
——ガンダルフは引き続きダートでしたが、新潟だと合わないのでしょうか。
それはありますね。テンについていけず、随所に置かれて不器用さが目立ってしまいました。
——ジャスティンヴェルは上がり勝負になったところで差し切りました。
折り合いがポイントかなと思っていましたが、長くいい脚を使ってくれました。まだ緩さもあるので、今後成長してほしいですね。
——ミラビリスのレースは勝ち馬が強かったですね。
ゲートもうるさかったのですが、内枠だったのでカバーできました。相手は強かったですけど、競馬も上手でいい走りをしてくれています。
——ウインエイムハイは距離延長でしたが、こなして惜しい内容でした。
ずっとハミを取りっぱなし。それで好走するように珍しいタイプですね。普通なら最後まで頑張れないでしょうから。あれが折り合ったら逆に走れないのかと思いますが、この距離も結果的に良かったのだと思います。惜しかったです。
——ジュエルラビシアは行きっぷりなどもひと息でしたが、最後はいい差し切りでした。
バネがある馬ですね。レースは手応えが怪しいと言いますか、ラストも先頭に立ったら遊んでいたほど。まだまだ走り切っていない感があります。気性も体も成長できれば楽しみです。
——リチャはどうでしょうか。
芝だと硬さを感じましたね。追い切りでも離してからの伸びに不安があったので、もう少し良くなってきて欲しいです。
——ブロードリーチは距離が合わなかったですか。
忙しかったですね。スタートも出てくれましたけど、芝でもハマってこない走りで後手を踏んでしまいましたから。
——先週をもって夏競馬も終わりましたが、今年の勝ち鞍も昨年を抜きました。
繰り返しになりますが、そこはやっぱり昨年との違いもあるのかなと思います。年間100勝もかねてから大きな目標としてきましたし、今年は何とかと思っています。あと僅かですが、毎週、毎週が危険と隣り合わせなのが競馬ですから、気を引き締めて乗りたいですね。
——次週は3日間開催ですね。引き続きよろしくお願いいたします。今回もありがとうございました!
ありがとうございました!
※次回は9月16日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。