'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月23日時点1569勝
葉牡丹賞を制しG1へ弾み!今週も中山で騎乗
2022/12/9(金)
中山開幕週の葉牡丹賞ではミッキーカプチーノが連勝。クラシックを意識させる勝ちっぷりをみせてくれた。気の早い話ではあるものの、下半期は最も勝っているだけあって、来季へ向けて楽しみが膨らむパートナーも増えてきた様子だ。年内、残りの開催も受賞候補に挙がるMVJ獲得などへ向けてラストスパートを期待したいところだ。
ミッキーカプチーノが圧巻の連勝!
——まず、先の騎乗馬について伺う前に、先週の葉牡丹賞ではミッキーカプチーノが新馬に続く勝利となりました!
新馬でも能力を感じていましたし、それが証明できて良かったです。走る馬だとはわかっていましたし、新馬直後なのでガラっと変わったわけではありませんが、ここでも連勝できたことが何よりです。
——コース替わり、頭数の増加など条件も変わりましたね。
ゲートの中でもどっしりし過ぎていたり、レース内容もまだ修正できるポイントはあると思いますが、その中でも体も引き締まって、速い時計にも対応してくれたのが良かったです。次に向けても順調に行ってくれれば何よりです。
——気の早い話を先走り過ぎないようにしておきますが、次戦が楽しみになる走りでしたね。今週末の騎乗馬は土曜から伺っていきたいと思います。新馬のマルディランダは追い切りに乗られましたね。
まだ追い出してから手前を替えてしまったりする辺りは体幹の弱さから来ていると思います。それでも追い切り全体でいえば動けていますし、これでどこまでやってくれるか、期待しています。
——ロジマンボは未勝利で惜敗が続きましたが、昇級初戦となります。
休み明けだけが心配ですね。能力的には1勝クラスでやれてもいいと思っています。
——アクアラインSのアルファマムは昇級戦です。
末脚はいいものがありますね。どうしても展開頼みな面はあるのですが、昇級しても通用するだけの勝ちっぷりとは感じましたよ。
——日曜のパルフュメは惜しい結果が続きます。
メンバー次第でしょうが、勝っていいところですよね。ただ、追い切りでは少し走りが単調になってきたような雰囲気を感じました。開幕して2週目の馬場で、先行有利の恩恵があれば、引き続きやれそうですが。
——サトノロワは1週前に乗られたそうですね。
トビがゆったりして長く脚を使うタイプですね。追い切りの動き自体は良かったですし、楽しみです。
——アドマイヤサジーはどうでしょうか。
新馬では距離が短いと感じました。延ばしてどこまで対応できるか、でしょうね。
——スペンサーバローズは未勝利勝ちがいい内容でしたね。
追い切りの良さに反して新馬は物足りない内容でしたが、ダートで一変してくれましたね。クラスが上がってもやれそうですね。
——ディープリッチも秋の中山で勝って昇級です。
前走はいい内容ですね。クラス慣れが必要かもしれませんが、競馬自体は上手かったです。
——カペラS(G3)にはクロジシジョーで臨まれます。
競馬はとても上手な馬という印象で、どこからでも脚を使えるイメージがあります。さすがにこのクラスまでくると、力関係がカギになると思いますが、レースの巧さを活かしたいですね。
調教師試験に合格!福永祐一騎手に対する思い
——先週のレース回顧について映る前に、何度もコンビを組んできたサンライズノヴァの引退が発表されました。
18年武蔵野Sを戸崎騎手とのコンビで制す
8歳まで長い間、頑張ったと思います。基本的には終い一手というタイプだったと思いますが、勝つ時は豪快なレースぶりで本当に強さを感じさせられましたね。ワンターンや馬場状態など好走条件がハッキリしたタイプではあったものの、高い能力をみせつけてくれたと思います。
——先週のレースではスティクスは前残りの決着ではありましたが、10着でした。
いいスピードはみせてくれたと思います。上手く息を入れられましたし、そこまで差を離されていませんし、粘ってはくれましたが。
——ゼログラヴィティはゲートさえ出ていれば…というところでしょうか。
返し馬では覇気がないなと感じるところはあったのですが、レースになればスイッチが入ってきますね。全体的にいえばリズムを作れませんでした。シビアなレースになったのも事実ですが、追い切りでは引っ掛かるようなところもあったそうですし、実戦でいかに平常心の走りができるかがカギになりそうです。
——セイウンハルカニは先行馬揃いと思っていましたが、アッサリと先手を取っての押し切りでした。
まあ、他よりスタートも速くてリードをしていましたからね。以前、乗せていただいた時との比較でも調子は良さそうでしたし、力も付けているのでしょうね。頭の高さは相変わらずながら、その中でも体を使って走れるようになった印象です。
——珍しく過怠金の制裁もありました。
あれは情けないですね。周りにも迷惑を掛けて申し訳ない内容でしたよ。
——エコロアレスは他の先行勢を突っぱねての押し切り、強い内容でした。
ポジション争いが上手くいかず、リズムを何とか保てた、という状態。ペースも速くなりましたが、距離短縮にも対応しましたからね。このコース、距離も合っていたのかもしれません。
——新馬のホウオウバーナードは惜しい結果でしたね。
もう少しゲートを出てくれたら…という内容でした。外枠ながらも上位に来てくれましたし、能力自体は見せてくれたと思います。
——ステイヤーズS(G2)のディバインフォースはテン乗りでしたね。
状態は良さそうに感じました。勝った時のイメージで乗りましたが、最後は止まってしまいましたね。結果的にはもう少しゆったり走らせて良かったのかなと思いました。
——リラスカイも惜しい結果でした。
非力なところもありますが、スピードは持っていますからね。あとちょっとでした。
——さて、本日はJRA調教師試験の合格発表がありました。福永祐一騎手の合格も明らかになりました。
一発で合格されることは並大抵なことではないでしょうし、流石だなという思いです。騎手としても凄く論理的で、研究熱心な姿勢は常日頃から感じられますし、レースにも一つ一つ、丁寧に乗っていられる方です。僕なんかは感覚で乗ってしまうので、そこは真似できません。調教師になっても、騎手時代の通り、凄く細やかな姿勢でいかれるのかな、と思いますね。
騎手としてもまだまだできるでしょうし、勢いもある内に転身する決断って、なかなかできないことだと思います。そうした人生像の設計もされているのかなとも感じさせられました。
もちろんパッと考えて受けた訳ではないでしょうし、何年も前から準備して受けたのでしょうからね。僕ならズバッと決断することはとてもじゃないが、できません。そんな点からも凄いですよね。もう騎手としてレースに乗る回数は限られてくるのでしょうが、色々な思いを抱きながら乗られるでしょうね。
——そして、サッカーのワールドカップ、日本代表に関してはどうでしたか。
(クロアチア戦の)前半はリードできていたのですが、世界は甘くないのだなと感じさせられましたね。それでも、日本中を盛り上げてくれたと思いますし、いいニュースも届けてくれましたから、また4年後に向けてがんばってほしいですね。
——サッカー経験はないかと思いますが、ご自身でPKのキッカー役だったら、どう想像されますか。
自分なら脚が震えて、枠を外してしまうでしょうね。こんなにも止められるのもキーパーのファインセーブもあったのでしょうし、とんでもない重圧だったのかと思います。
——戸崎さんは年内のラスト騎乗まで、残り7日間の開催日となってきました。MVJも懸かっていると思いますが、ラストスパートですね。
はい!コツコツやっていきます。
——次週もよろしくお願いします。
※次回は12月16日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。