'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
年内残り開催もあと5日!今週は17鞍の騎乗
2022/12/16(金)
今週も引き続き中山での騎乗。当連載をご覧いただいている方ならご存じの通り、MVJランキングではトップに立っている現状だが、残りの開催でもラストスパートなるか、注目どころだ。また、次週以降のG1も含め、年末をにぎわせてくれそうな予感。ベストプレーを期待したい。
6年振りMVJ獲得へラストスパート
——今年の開催も残り2週と28日になってきましたが、今週も土日ともに中山での騎乗ということでよろしくお願いします。土曜の騎乗馬から伺っていきたいのですが、土曜のディヴァーザウェイはどうでしょうか。
新馬の内容でいえばまだ重たさを感じましたね。一度使って素軽さが出てくればと思いますが、もう少し使いつつかもしれません。
——モリーダーリンの新馬は勝ち馬が強かったとしても、もっと走って欲しかったという存在ですね。
そうですね。追い切りの感触は凄く良くて期待はしていたのですが、弾けなかったですね……。ハッキリとした原因はわかりませんが、2戦目になる分、期待したいところです。
——自厩舎のジジはどうでしょうか。
勝っている条件に戻ることはいいと思います。あとはレースに行っての集中力が持続するといいのですが。
——ターコイズS(G3)のフラーズダルムに以前、乗られた時は状態面がひと息だったのかと思います。
デキが悪かったのか、手が合ってないのかはわかりませんが、前走の勝ちっぷりは驚かされました。手が合ってくれることを期待したいですね。
——勝っている時は速い上がりを使って差し切っている印象、中山はどう感じられますか。
欲を言えば直線まで持って運びたいタイプなのかなと思いますね。その点、中山よりは直線が長いコースの方が合う印象ですね。
——日曜のリラスカイは前走が惜敗でした。
非力な面がどうかと思っていたところ、スピードがある持ち味を発揮してくれました。今回も前走のような走りができればと思いますが、非力な印象からいえば、雨で馬場の脚抜きが良くなるのは歓迎です。
——ノットファウンドも徐々に良くなっているように感じます。
走りは安定してきていますね。改めてといったところです。
——メタルスピードは前の中山開催以来のレースになります。
競馬は上手な反面、追ってからがもう一つなのですが、前走から成長があればと思います。
——北総Sのショウナンマリオは久々の騎乗です。
気性的に難しいところがあって、なかなか勝ち切れない印象はありますが、決してイメージは悪くなかったですよ。
——ディセンバーSのヴィクティファルスはテン乗りですが、メインレースでもあり、印象を伺いたいところです。
実際に中山で重賞を勝っていますし、フットワーク的にも馬場が悪くなってもこなしそうですよね。
1番人気で苦戦続いた先週だが2勝をマーク
——先週のレース回顧では、ディープリッチは戦前の馬体重を見ると、アレっといったところでした。
ちょっと重たさは感じましたね。使ってからの方がいいと思いましたが、その中でも上手に走ってくれましたよ。
——カペラS(G3)のクロジシジョーは父とは馬格が違いますが、フリオーソ産駒でもあり、期待された方もいらっしゃったと思います。
競馬は上手ですし、レース自体は対応力があるので、不安なく臨めました。ただ、乗せてもらったことがあるのでわかりますが、休み明けの分はあったと思いますね。
——スペンサーバローズはもっとやれるかと思いましたが、どうだったでしょうか。
気性的なものもありそうですね。レース間隔が空いたこともあり、遊び遊びでした。
——芝とはいえ、追い切りの良さとは裏腹に結果を残せなかった新馬の敗因にも感じるところはありましたか。
それは言えますね。
——サトノロワは1週前追いに乗られて、当週の追い切りも映像ではチェックしていたところ、いい動きだなと思ったのですが……。
僕も思いました。ゲートは出ないとは頭にあったので大外はかえって良いかと思いましたし、ポジション的にもリカバリーが利きました。ただ、追ってから変わらないといいますか、反応がひと息でした。返し馬で攻め馬の時と違って硬さを感じたのもありそうですね。
——パルフュメは絡まれたとはいえ、先行馬が勝っていますし、意外な結果でした。
展開的に競りかけられたのは痛かったですね。ただ、ひと息で走る面が出ていましたし、あそこでこられても楽に走れる馬はいるでしょうからね。
——サルモンはラストまで大きく失速することなく先行して押し切りましたね。
返し馬では立派な馬だなと思いました。気持ちが入り過ぎている面もあったのですが、能力で押し切ってくれましたよ。
——ブルームスベリーは惜敗が続いていましたが、勝ち切りました。
福島で乗せていただいた時とは違って雰囲気が良かったです。気持ちも前向きでしたし、リズム良く運べました。
——アルファマムはああいう競馬になるのは想定内だったかと思いますが、惜しい内容でしたね。
昇級しても力が通用するのはわかっていましたが、あとは条件次第ですね。
——スプレモフレイバーは不利があったにしても、もう少しというところでしょうか。
バランスのいい馬だなと返し馬で感じました。前走のようにリラックスして走れればと思っていましたが、4コーナーまでの気配は良かったものの、追ってからもう一つ欲しいところ。伸びてはいますが、不利がなくても3着があったかどうか……。もう少し伸びてほしいところでしたね。
——マイネルサハラはブリンカーを着けてから安定はしているのですが、あとちょっとでしたね。
道中は少しハミを取ったり、取らなかったりというムラがありましたね。その辺りはブリンカーを着けているだけあるな、と感じたものです。休み明けでもありましたし、一度使えば変わってきそうです。
——ロジマンボは同世代ばかりというこの時季にしては珍しいメンバーでしたが、まさかの内容でした。
休み明けに尽きますね。このクラスでもやれると思いますが……。
——ラップスターは見た目にも気性的な課題が出たのが敗因でしょうか。
砂を被ったら天井を向いて走っていました。進みも良くなかったですし、勝負所からもハミを取り切れていませんでした。
——マルディランダは追ってからがひと息とは戦前もおっしゃっていました。
レースにいっても上手く運べたと思いますが、その辺りは変わらずといった内容でしたね。
——サイモンギフトは距離短縮、ダート替わりにも対応していました。
終始、外へ張っていた面があり、そこがなければ押し切れていましたね。ただ、条件替わりにも対応してくれましたよ。
——年内の残り開催も迫ってきましたが、次週は有馬記念(G1)でブレークアップと再コンビ、ホープフルS(G1)はミッキーカプチーノに騎乗されますね。いい一年の締めくくりを期待しています。次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
※次回は12月23日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。