'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月23日時点1569勝
有馬記念はブレークアップとの再コンビ!
2022/12/23(金)
2022年の開催もラストスリーデイズ。そして、暮れの風物詩でもある有馬記念には今年はブレークアップとのコンビで挑むことになった。枠順抽選会の結果こそ思わしくない条件になってしまったものの、負傷離脱の影響もあり、自身は4年ぶりに臨むグランプリの舞台、好騎乗を期待したい。
有馬記念はまさかの外枠に
——今週末は有馬記念(G1)にブレークアップで挑まれます。先ほど行われた抽選会では枠順は15番となってしまいました。
中継見て笑ったでしょ?
——う~ん、1番・8番・15番が空いていた時は最内をとれるのかな、と思っていましたね(笑)。あと、事前に伺っていた話では先に抽選した関係者ほど早く引き上げる流れになるのは伺っていたので、最後になるとは。
僕もいい枠になるのかと思ったのですが、正直に言えば内が欲しかったですね。与えられたところでやるしかないですからね。先行力はあるので、持ち味を活かした競馬にはなると思います。
——成長を感じるとおっしゃっていましたね。
一戦ごと変わってきたタイプでもないように感じましたが、2走前に関しては確かな成長がありましたね。それ以前は惰性で走っているようなところがパワーもついて、フットワークが良くなりましたね。走りのメリハリが出てきました。
1週前追い切りのブレークアップ(左)
——東京2400mより2500mはスタミナ寄りにはなるとはいえ、分が悪い東京で勝てたのもそういう背景ですね。
そう思います。1週前追い切りでも順調にきていると感じています。
——有馬記念は2014年に勝ったことのあるレースですね。
今はホープフルSがありますけど、年度末に行われて、普段なら競馬を見ない人も参加するようなお祭り的なレースですからね。極力乗っていたいと思いますし、4年ぶりに乗れることに感謝しています。
——土曜の騎乗馬からサイモンギフトは前走に続いての騎乗です。
ダートに替わっていいスピードをみせてくれましたし、同じような競馬をしてくれれば前走のような競馬が期待できそうです。
——フェーレンベルクは新馬以来のコンビです。
こちらもいいスピードがありますね。安定して走れているので、乗せてもらった当時よりも成長していそうですね。
——ノエル賞のエリカコレクトは前走の展開ならもっとやれそうなところでしたが……。
未勝利の内容からすると、昇級しても通用しそうでしたけどね。硬めのフットワークなので、そういったところがあるのかなと。ただ、芝に行ってもいいんじゃないか、とは伝えましたので、芝になる分、頑張ってほしいです。
——グレイトフルSのヴェローナシチーはテン乗りですが、メインレースでもありますので、話題には触れさせていただきますが。
長丁場が合っている印象。クラシックにも乗れそうなところまで来ていましたからね。楽しみです。
——日曜のリアルマーヴェルやスズハローム、ショウミーザマネーといった未勝利勢はどうでしょうか。
リアルマーヴェルはレース自体が上手で距離も大丈夫でした。追ってから浮いてしまう面が良くなってくれれば、というところ。スズハロームはフットワークにバネがあるようなところはあるのですが、もう少し反応があってほしいところですね。ショウミ―ザマネーは新馬の追い切り自体は悪くなかったのにレースでは動き切れなかったですね。2戦目で変わり身をみせてほしいです。
——冬至特別のセイウンハルカニは昇級初戦になります。
前走が思った以上にいい内容でしたね。クラスが上がって忙しくなる面も出てくるでしょうし、その中でどんな走りをしてくれるか、ですね。
——レーヴリアンは東京で乗られて、今度は中山となります。
器用なタイプですね。中山になる分、位置取りは下がるのかなと思いますが、どんな形でも対応できそうだと思います。
——キャンドルライト賞のシャークスポットはどうでしょう。
いい馬ですけど、前回、僕が乗せてもらった時はトモの状態がひと息でした。でも、そこから使っていっても走れていますからね。ダートでも脚抜きのいい馬場が良さそうなタイプでもあり、芝で走れたのも頷ける部分はあります。
先週は2勝!あと2つで2015年超えの勝ち鞍へ
——新馬のホウオウカブキは人気をしていたものの、残念ながら結果は芳しくなかったですね。
進み具合はもう少しほしかったですし、フットワークも正直、ダートの方がいいのかな、という感触でしたね。良いモノはあると思いますが、
——モリーダーリンは速い流れで相手も揃っている中で頑張ったと思いますが、レースぶりをみると、行きっぷりが少し気になりました。
期待はしていました。勝った馬も新馬で乗せていただいて素質のある馬だとはわかっていましたが、気性だと思いますが、こちらも進み具合が良くなかったですね……。1~2コーナーから促していたくらいでした。
——流れが忙しいにしても、あの道中でよく来たなと思いました。
そこは能力で来ていると思います。馬に幅は出たとは思いますが、気持ちの面では新馬の方がスムーズに走っていたくらいです。
——ここから一度使っての変わり身となると……。
いや、次はブリンカーなり、メンコを外すといった装具で工夫した方がいいのかなと。それくらいの走りでしたね。
——サクラファシナンテはどうだったでしょうか。
ハミの取り方は引っ掛かるようなところがあると聞いていました。返し馬から落ち着いていましたし、レースにいってもスタートも決まって、ある程度、いい位置で運べたと思います。ついていった分なのか、いつもの弾けっぷりは末脚は鈍っていた印象でしたが、勝ちに行くならあの辺りで競馬はしたかったですね。
——ターコイズS(G3)のフラーズダルムはあのペースになるとは思いませんでしたが……。
1枠で馬群を捌ければというレース運びにしたかったのですが、捌けず、脚を余したもったいない競馬でした。
——スムーズだったら、もう少し来ていても、と思いました。ただ、パトロールを見ると本当にスペースがなかったですね。
スムーズだったらもっと上には着ていたでしょうね。ただ、枠も内でしたし、一か八かの組み立てにはなりましたが、道中で一つ前に入ったところがあって、そこを下げたままでいれば結果的には動ける位置にいたのかなと思いますね。
——それにしても意外な流れでしたね。
馬群もバラけなかったですからね。もっと流れるとは思っていました。でも、2走前に乗せてもらった時とは状態が全然違っていて、前走の走りはフロックではなかったです。
——リラスカイは人気を集めたものの、決してレベルが高くない中での人気という面もあったかなと思います。
新馬の時よりも、もう少しリラックスして走れていれば粘れたんじゃないかと思いましたね。ペースも速くなった分の影響もあったと思います。
——ノットファウンドはコースなりの競馬をしたように思いましたが……。
やれると思いましたけどね。特に問題なくソツなく流れに乗れていたのですが、結果、新馬もああいう感じで負けたらしく、4つコーナーの右回りが合わないのかな、という結論ですね。あそこまで負ける馬ではないですし、バランスが悪い訳でもありませんからね。あまりにも走らなさ過ぎて気性的な問題なのかなと思います。
——シャドウレディーはどうだったでしょうか。
フットワークは良い印象を返し馬では感じました。ただ、中山の渋った馬場で3~4コーナーは脚を取られていましたね。綺麗な馬場でもう少し距離があれば変わり身がありそうです。
——メタルスピードはソツなく立ち回ったように思いましたが、あともう少しでした。
返し馬では重心が変わってきたなと思いました。ただ、すごく内に刺さるところがあって、けっこうロスしている感はありました。以前よりもそのクセが出ていましたね。返し馬のスピードだったら問題ないのですが。
——サクセスエースはテン乗りでしたね。
馬格が合って立派な馬でしたね。内枠も良かったと思います。レースは上手でしたし、抜け出してから遊ぶようなところはありましたけど、手応えもありましたからね。上に上がってもペースに惑わされる可能性もありますが、条件が合えばやれそうですね。
——アウトパフォームもテン乗りでしたが、モマれ弱い性質からすると、内枠でも頑張っていました。
モマれ弱いということで本当は1列目で競馬はしたかったのですが、道中も雰囲気は良かったですし、今後を考えるといい内容だったように思います。追い出してから前の馬を交わそうとしない面も見受けられましたね。
——ヴィクティファルスは走りに気が向いていなかったり、ブリンカーを着けたら折り合いを欠いたりとあったようですが、今回は再びブリンカーを外して臨んだようですね。
先生ともポジションよりは最後を伸ばすイメージで、と言われていましたし、リズム良くいければと思っていました。道中は特に掛かることなくいけましたが、追い出してからは内に刺さって気持ちよく走れていなかったですね。
——ブローザホーンは急遽使ったようですが、相手関係を考えると、良さそうな存在に思いました。
メンバー構成をみても先行できればいいなと思いました。ペースにも恵まれましたけど、終始いい手応え。最後も弾けてくれましたね。
——走法的にはピッチだと思いますが、距離は短い方がいいですか。
でも、新馬の頃と比べるとかなり変わりましたね。弾んでいるようで。長いところでもいいのかもしれませんね。
——水曜はホープフルS(G1)を予定しているミッキーカプチーノ、年明けのレースを予定しているドライスタウトなどの追い切りに騎乗されたそうですが、詳しくは次回、伺いたいと思います。今年の振り返りを含めよろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
※次回は12月27日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。